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悪徳業者と腐敗した政治家たち

 オルグ商会の本社社屋を、火炎弾フレイム十発で吹っ飛ばした俺は、大騒ぎする人たちを背にその場を離れて、オルグ商会会長宅に来ていた。

 門番に、殴打と蹴りで眠ってもらい、敷地へと入る。

 庭の中では、番犬として飼われているらしい大型犬が近づいてきたが、俺のことをクンクンと嗅ぐと、その場に伏せをして上目遣いで見られた。

 通してくれるらしい。

 コボルトとずっと生活していたので、もしかしたら、彼らの匂いがするのかな?

 玄関から堂々と中に入ると、水差しとグラスを運ぶ女性とかち合う。

「きゃ!」

「あ、失礼。会長は?」

「書斎です。水差しをお運びするところです」

「ご苦労様、俺が運びましょう」

「はぁ」

 笑顔で水差しとグラスを受け取り、「書斎は?」と尋ねた。

「二階の、右手奥ですが……どなたですか?」

「仕返しに来た者です。早く逃げたほうがいいですよ」

「は? ……はぁ」

「冗談です」

 そう言って相手を笑わせ、階段をあがって右手へと進み、奥のドアを押し開く。

 ランプの灯り……初老の男――あの時、見た男だ。間違いない。彼は一人、豪華な椅子に深く座って読書をしていた。

 俺は、堂々と彼に近づく。

 会長は、俺がサイドテーブルに水差しとグラスを置いたところで、ようやく尋ねた。

「えっと……君は誰だったかな?」

「仕返しに来た者です」

「仕返し?」

「オルグ商会の会長スチュワート・オルグ卿ですね?」

「いかにも」

「それならば、間違いありません。仕返しの相手です」

 スチュワートが笑った瞬間、俺は黒剣を一瞬で抜き放ち、振るっていた。

 初老の男は、自分の左腕が床に転がるまで笑っていたが、切断面から噴き出た血を見て、その笑みも固まる。そして、慌てて逃げようとして、椅子から転げ落ち、倒れた。

「ひ! ひ……ひ……ひひ……」

「逃げられません」

 俺は彼の前に立ち、片膝をつく。

「た……助けて……どうして?」

「貧民街を、焼いたでしょう?」

「知らない、私は知らな――」

「嘘はいけない……痛い思いをするだけです」

 遮って言い、剣を床に突き立てて見せた。

 それを見た会長は、剣と俺との間で視線を彷徨わせながら、震える口を動かす。

「なんなんだ! あそこは私の土地っ……うぐぅうううううう!」

 腕の切断面を殴ると同時に、彼の口を手で塞ぎ叫ばないようにする。

「ううう……ぐうううう」

 彼の口から手を離して、涎を床の絨毯で拭く。

 スチュワートが、俺を見た。

「本当に? これは本当のことなのか? 私を……殺しに来たのか?」

「まだ信じられないなら、右手もいきます?」

「待て……まままま待て……待って……どうしたらいい? 私はどうしたら助かる?」

「では、貧民街を貴方が焼いたせいで、死んだ人たちを生き返らせてください」

「無理だ、そんなことは無っぐぅううううううう!」

 彼の口を塞ぎ、傷口を剣先でグリグリとしてやった。

「ううううう! ううううううう!」

「貴方に協力した評議会の議員たち、名前を言えばこれ以上のことはしません」

 彼は、コクコクと頷く。

 スチュワートの口から手を離して、手についた涎を彼の絹服で拭いながら口を開く。

「じゃ、教えてください」

「……名前を……くくく」

 笑い始めた。

 ついに、おかしくなったかな? やり過ぎたかもしれない。

「はははは……名前……全員だよ、全員」

「全員?」

「評議会議員二十名……全員が私に協力してくれた。土地売却の時こそ反対する者もいたが……今のバルニアを見てみろ。多くの傭兵、冒険者、学者、調査員……大勢が島に来るが、宿も店も足りない。増やさないといけないんだよ……だから評議会は、私の事業を全員賛成で通してくれたんだ……それなのに、あの貧乏人ども!」

 彼は、口から唾を飛ばして喋る。

「あいつらは、先を見ず、目先のことばかり! 金を払うから引っ越せと言っても、ここがいいだのなんだの文句ばかり一丁前に言いやがって! 何が生まれた場所だ! 何が家族との思い出だ! そんなものが金になるか!? ええ!?」

「貴方の価値観では、理解できなかったんですね」

「できるわけがない……くそ……あいつらのせいで……あんなゴミ溜めみたいな場所に住んでいたクズどものせいで……なぁ……君、私は本当に? 死ぬのか?」

 俺は笑みを作って頷き、黒剣を掴むと一閃した。

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