表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マスターネオはネコまない ―黒猫GMのマスター魔法奪還ログ―  作者: Master NEO
第一章 奪われたマスター魔法

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/75

第七話 最初に助けた男

 森の中を歩きながら、リリィがぶっきらぼうに聞く。


「で、どこ行くの」


「決めてない」


「は?」


 ネオはあっさり答える。「行ける場所が増えたからな。適当に面白そうな方へ」


「最悪」


「褒め言葉だな」


 そのときだった。


「――あ」


 前方から声。ネオが足を止める。見覚えがあった。


「……あの時の」


 そこにいたのは、最初に助けたプレイヤーだ。ワイバーンに追われていたあの男。


「助かった……また会えた……!」


 明らかに安堵している。表情が緩み、肩から力が抜けている。しかし――ネオは少しだけ目を細めた。


「……随分元気だな」


「え?」


「いや」


 ネオは軽く笑う。「普通、あの状況ならもうちょいビビるだろ。記憶が残るはずだし」


 男は一瞬だけ言葉に詰まる。「そ、そうかもな……」


 リリィが小声で言う。「知り合い?」


「一回助けただけ」


「信用できる?」


「全然」


「聞こえてるんだけど!?」


 男が抗議する。「まあいいじゃん。それで?なんでこんなとこにいるんだ?」


「いや、それが……気づいたら、ここにいた」


 沈黙。リリィの目が細くなる。視線が男を測るように動く。


「……それ、どういう意味」


「分からないんだ。さっきまで別の場所にいたはずなのに、気づいたら」


 ネオの視線が静かに鋭くなる。「座標移動か」――小さく呟く。だが違和感はそれだけではない。


 この男のタイミングが、良すぎる。


「(こいつ……)」――ネオは観察を続ける。挙動は普通。発言も自然だ。だが。


 そのとき。ログが浮かぶ。


```

「その人、どう思う?」

```


 ネオは無言で空を見る。「……さあな」


 リリィが怪訝そうに見る。「またそれ?」


「癖みたいなもんだ」


 男が口を開く。「なあ……ここ、なんかおかしくないか?さっきから、『同じ景色』を通ってる気がする」


 その言葉で、空気が変わる。


「……は?」


 リリィが振り返る。ネオは立ち止まる。そして周囲を注意深く見回す。


 同じ木。同じ岩。同じ光の差し込み方。


「……なるほど」


 同一パターンが繰り返されている。「ループしてるな」


「は!?」


「結界みたいなもんだ。外に出られないように『閉じられてる』」


 リリィが舌打ちする。男が不安を滲ませる。「どうするんだよ……」


 ネオは、にやりと笑った。「簡単だ。閉じてるなら――開ければいい」


 鍵を取り出す。空間に向かって突き出す。


「開け」


 カチリ。音が鳴る。


 次の瞬間――景色が「割れた」。ガラスが砕けるように。亀裂から空間の外が見える。


「行くぞ」


 三人は割れた空間を抜ける。世界が切り替わる。


「……出たのか?」


 男が呟く。ネオは振り返る。そして、少しだけ目を細めた。


「……なあ」


「なんだ?」


「お前さ。本当に『迷い込んだ』だけか?」


 空気が止まる。リリィも気配を読んで警戒する。男は一瞬――本当に一瞬だけ。表情を消した。ほとんど気づかないほどの、短い空白。


「……何言ってるんだよ」


 すぐに笑う。「俺はただのプレイヤーだって」


 ネオはしばらく見つめてから――笑った。「だよな」


「なんだよそれ……」


 そのとき。ログが一行。


```

「いいね、その疑い方」

```


 ネオの目が細くなる。「……趣味悪いな」


 男が聞く。「何が?」


「独り言」


 ネオは軽くごまかす。そして前を向いた。「ま、いいや。とりあえず進もうぜ」


 三人は歩き出す。だが――ネオは気づいていた。あの一瞬。「人間じゃない間」があったことに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ