第五十七話 帰る声たち
《マスターリスト》に――変化が起きた。
点が、消え始めた。
一つ、また一つ。プレイヤーたちが――ログアウトしていく。
「……帰ってる」
リリィが、静かに言う。
「ああ」
廃都のプレイヤーたち。集落のプレイヤーたち。フィールドを彷徨っていたプレイヤーたち。壊れたプレイヤーデータの影もデータを復旧して、無事に送り届けた。
全員が――一人ずつ、光になって消えていく。
セナから通信が来た。
「……ネオ。全員、正常にログアウトしてる。体に異常はないって」
「そうか」
「……お前は?」
「まだここにいる。最後に、やることがある」
「分かった。待ってる」
通信が切れた。
ラフが、ネオに近づいた。小さな存在が、巨大な黒猫の足元に駆け寄ってきた。
「……ねこにいちゃん。みんな、かえってく?」
「そうだ」
「ラフも?」
ネオはラフを見た。
「ラフは――ここにいてくれ。この世界を、守っていてくれ」
「……ねこにいちゃんは?」
「……戻る。でも――また来る」
「やくそく?」
「約束だ」
ラフが、ネオの足元に頭を押しつけた。小さな手が、黒い毛並みに触れた。それから――走って集落に戻っていった。
ヒカリが、その様子を見ていた。「……可愛い子だった」
「NPCだ」
「それでも、可愛い」
「……そうだな」




