第五十六話 世界の修復
ネオはコア領域の中心に立った。
GM認証が完全に戻っている。全てのマスター魔法が揃っている。管理者権限が、満ちている。かつてここにあったものが、全部戻ってきた。
「……まず、時間軸の修復から始める」
ヒカリが隣で案内する。「このコードが、時間サイクルを管理してる部分だよ」
「分かった」
ネオは《マスターキー》を構えた。管理者として――時間サイクルの制御に触れる。
「開け」
カチリ。
世界が、震えた。
コア領域の外――遠く――集落の空が変わり始めた。
「……!」
《マスターリスト》で確認できた。集落のプレイヤーたちが、空を見上げている。ラフが駆け回っている。セナが立ち尽くしている。
空に――光が差した。
「……朝が来てる」
リリィが、小さく言った。
「次――フィールドのリソース生成」
「こっち」
ヒカリが案内する。一つずつ、修復していく。
モンスターの挙動。NPCの意識。マップの整合性。アイテムのドロップ。
一つ直るたびに――世界が少しずつ、正常な音を取り戻していく。
「……ログアウト処理は?」
「ここ」
ネオはログアウトシステムを確認した。壊れていた部分を――丁寧に、直す。急がず、しかし確実に。
「全員、正常にログアウトできるようになった」
ネオは《クリエイト》で――全プレイヤーへの通知を作った。
名前を呼ぶように。言葉を置くように。
*「《ファンタズマル・アイランド》ゲームマスターより。ログアウト機能が回復しました。各自、安全にログアウトしてください」*
その通知が――世界中に届いた。




