第四十九話 倉城光
光――倉城光は、静かに言った。
「びっくりした顔、してるね。カイちゃん」
「……カイちゃん」
カイが思わず繰り返す。「……俺のこと、知ってるの?」
「知ってるよ。だって――私が作ったんだもの」
カイが少しだけ、固まった。「……そうか」
「カイはね、音央を守るために作ったの。ゲームシステムの一部として――でも、ちゃんと考えて動けるように」
「……それを、俺は知らなかったのか」
「知らなくていいと思ってた。知ってたら――きっと、自由に動けなかったと思うから」
カイは少しだけ笑った。その笑い方は、どこか人間的で、どこかシステム的で、どちらでもあるような笑い方だった。「……複雑だな」
「ごめんね」
「いや――いいよ。俺、ここにいて良かったと思ってるから」
光は、リリィに向いた。「リリィちゃんは――知らなかったのに、ずっとついてきてくれたんだね」
「……別に」
リリィが目を逸らす。「信用してたわけじゃないし」
「でも、離れなかった」
「……それとこれとは別」
光が、また笑った。「ありがとう」
それから――ネオに向いた。
「音央」
「……なんだ」
「怒ってる?」
沈黙。焦点の合わない沈黙。
「怒ってない」
「嘘だ」
「……怒ってる」
ネオは言った。低い、静かな声で。「どうして――ここにいるんだ」
「……話すね。長くなるけど」
「聞く」




