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第四十七話 コア領域
そこは――白かった。
完全な白ではない。光の密度が高すぎて、色が飽和しているような白。どこまでも広い、しかしどこかに収まっているような、不思議な空間だった。
地面はある。足がある。でも――どこを見ても、境界がない。
「……すごいな」
カイが静かに言う。
「コア領域だ。この世界の、データが集まる場所」
「この世界の中心?」
「そうだ。心臓みたいな場所だ」
ネオは、《マスターリスト》を展開した。
ここでは全員の情報が「濃い」。集落の全員、廃都のプレイヤー、遠い場所にいる存在も――全部、ここに集約されている。この世界のすべてが、ここに繋がっている。
そして――一点。
地図の外れにあったはずの光が、今は――すぐ近くにある。
「……いる」
ネオが呟いた。
カイが気づく。「……感じる。さっきより近い」
「ああ」
リリィが、ネオの横顔を見た。いつもと少し――違う顔をしていた。
「……ネオ?」
「大丈夫だ」
でも――足が、一瞬だけ止まった。止まって、それからまた動き出した。
ネオはゆっくりと息を吸って、歩き出した。
白い空間の奥に――光が、集まっていく。




