第四十三話 別のログ
声が違った。
今まで聞いていた「ログの声」は――柔らかく、どこか遠かった。観察しているような、見守っているような声だった。
だが、今の声は――硬く、近く、意図的だった。距離がない。まるで耳元に直接届いているような声だった。
「……誰だ」
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「答える必要はない」
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「なるほどね」
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「黒猫。お前には選択肢がある」
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「聞こうじゃないか」
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「今すぐ、取り戻したマスター魔法を渡せ。そうすれば――全員をログアウトさせてやる」
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ネオは足を止めなかった。《ジャンプ》で進み続けながら、ログを読む。
「断る」
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「……即答か」
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「渡せるわけがないだろ。渡した瞬間、また全員が戻れなくなる」
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「賢いな。だが――集落にいる者たちは、今、危険だ」
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「《マスターリスト》で見てる。今のところ、全員無事だ」
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「今のところは、な」
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ネオの速度が、上がった。
「カイ、リリィ――先に集落へ」
「お前は?」
「もう一つ、聞きたいことがある」
カイとリリィが先へ向かった。ネオは立ち止まり、ログを見た。
「……一つ聞く」
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「何だ」
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「もう一つのログの声――ずっと見てた声。あれは、お前とは違う存在か?」
沈黙。
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「……何のことだ」
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「そうか」
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「……」
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「自分で会いに行く。それだけだ」
ログが、途切れた。
ネオは走り出した。




