第四十四話 ネオの決意
集落に戻ると――全員無事だった。
《マスターリスト》の通り。セナが門の前で待っていた。
「……外からの変な干渉があった。でも――何もされなかった」
「番兵が機能したか」
《ピグマリオン》で動かした、かつての敵の兵士たち。彼らが外部からの干渉を弾いたようだ。
「……あいつら、役に立ったな」
「褒めてあげなよ」
ラフが走ってくる。「ねこにいちゃん!かえってきた!」
「帰ってきた」
「しんぱいした!」
「……そうか」
ネオは、少しだけ――居心地の悪い顔をした。心配される、という感覚に、まだ慣れていない。
夜――全員が集まった。廃都から来たプレイヤーたちも含めて、集落の人数がまた増えた。焚き火が増え、その光が集落を照らしている。
「《マスターリスト》で全員の状態が分かるようになった。危険なことがあれば――すぐ動ける」
「……《パンドラボックス》は?」
セナが慎重に聞く。
「持ってる。使う予定はない――今のところは」
「今のところは、か……」
「使わずに済む方が良い。でも――最後の手段として、ある」
その言葉で、誰も何も言わなかった。
ネオは焚き火を見た。揺れる炎。増えた人たちの顔。それぞれが、帰りたい場所を持っている。
「……次が、最後になる」
「え?」
「残ってるマスター魔法は、あと二つだ。それを取り戻せば――世界を修復できる」
カイが静かに言う。「……そしたら、みんなログアウトできる?」
「そのはずだ」
「……そしたら、ネオは?」
沈黙。
「そのことは――後で考える」
リリィが、小さく言った。「……ちゃんと、考えてよ」
「……分かった」
ログが一行。静かに。
```
「……ありがとう」
```
「何に対して?」
```
「全部に、かな」
```
その声は――ほんの少しだけ、震えていたような気がした。




