第三十三話 止まった兵士たち
翌朝――集落の周囲に、異変があった。
フィールドに、武装した人型の存在が現れていた。兵士のような外見。金属の鎧を着て、武器を持っている。しかし――動かない。
「……何体いる」
ネオが数える。十体。いや、もっと多い。集落の外周を囲むように、等間隔で立っている。完全な包囲だ。
「NPCか?」
セナが警戒しながら聞く。
「違う。ログにない」
「プレイヤーか?」
「……それも違う気がする」
カイが一体に近づく。「……これ、動く気がしない。目が――空洞だ」
「空洞?」
「光がない。何も見ていない感じ」
リリィが分析する。「誰かに送り込まれた傀儡――かな。でも操作されてるわけでもなさそう」
「単純な番兵プログラムだ。動かないが――集落から出ようとすると、反応する仕掛けだな」
「囲まれてるってこと?」
「そういうことだ。出入りを制限している」
集落の空気が重くなった。
「……どうするの?」
ラフが、ネオの後ろからそっと聞く。
「考える」
ネオは一体の兵士を見た。動かない。ただ立っている。
《ピグマリオン》は――対象を人形化する。でもこれは既に人形みたいなものだ。逆に使えないか。
思考が、別の方向へ向いた。
人形を――人形でなくすることは、できるか?
《ピグマリオン》は、動けるものを止める魔法だ。ならば――逆に、止まっているものを動かすことは?
「……試してみるか」




