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マスターネオはネコまない ―黒猫GMのマスター魔法奪還ログ―  作者: Master NEO
第三章 マスターネオの決意

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第三十二話 《ピグマリオン》

 それは――人形だった。


 等身大ではない。三メートルはある、木製の巨大な人形。関節が金属の蝶番で繋がれ、目の部分には赤い宝石が嵌まっている。天井から透明な糸が垂れ、それが人形の各関節に繋がっていた。


「マリオネット型ボスか……」


 ネオは素早く状況を読んだ。足元に糸の跡がある。天井から垂れた透明な糸が――この人形を操っている。糸は見えないほど細いが、確かにある。


「糸か。切ればいい?」


 カイが問う。


「糸を切っても、また繋がる。この手のタイプは――操作源を断たないと倒せない」


「操作源って?」


「……どこかに術師がいる。または――術式そのものが核になっている」


 人形が動き出した。両腕を広げ、ゆっくりと――だが確実に近づいてくる。木の軋む音。金属の摩擦する音。


「逃げる?」


「逃げない」


 ネオは《シフト》で人形の背後へ。《マスターキー》を構える――が、引っかかりがない。


 鍵穴がない。閉じているものじゃない。


 《ドロー》で引き寄せを試みる――人形は引っ張られない。固定されている。


 カイが石壁に飛び乗り、高所から叫ぶ。「ネオ!糸、見えるか?」


「見える!」


「天井の――中心部。糸が一か所に集まってる場所がある」


 ネオは仰ぎ見た。確かに――天井の中央に、糸が束になって繋がっている点がある。そこだけ、空間が「固まって」いる。


 あそこが核か。


 しかし高い。《ジャンプ》で飛べる距離ではない。


「リリィ!」


「なに!」


「足場を作れるか!?防御バフでもいい、踏み台になるやつ!」


「……やってみる!」


 リリィが詠唱する。魔法陣が床に浮かぶ――光の足場が現れた。一段、また一段。


「《ジャンプ》――《シフト》――」


 ネオは跳んだ。足場を踏み台に、さらに高く。天井まで、あと三メートル。


 その瞬間――人形の腕が伸びた。直撃コース。


「カイ!」


「任せろ!」


 カイが壁を蹴って飛ぶ。人形の腕を――身体で受けた。衝撃。HPが削れる。


「……行け!!」


 ネオは最後の一歩。手を伸ばす。核の点へ。


「開け」


 カチリ。


 天井が――光った。糸が一斉に千切れる。人形が――ガクン、と崩れた。関節が外れ、木のパーツが床に散らばる。轟音の後、静寂が戻った。


「……倒した?」


 カイが咳き込みながら立ち上がる。「……倒したな」


「無茶するな」


「お前が言うな」


 リリィがカイに回復魔法をかける。「二人とも、本当に……」


 ネオは、床に散らばった人形の残骸を見た。木の破片。金属の蝶番。赤い宝石が、光を失って転がっている。


 そして――視界にログが走った。


```

【Master Authority Fragment Detected】

【マスター魔法:《ピグマリオン》取得】

対象を人形化し、一定時間行動不能にする

```


「……なるほど」


 ネオはその魔法の感触を確かめた。人形化する。動けなくする。操ることはできない――ただ、止められる。


「使い方によっては……相当厄介だな」


 リリィが眉をひそめる。「自分で言う?」


「事実だから」


 視界の端で、ログが一つ。


```

「……いい魔法、手に入れたね」

```


「だろ。これで――少し、動きやすくなる」


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