第二十六話 食料の問題
集落に戻ると――空気が重かった。
「どうした」
セナが、難しい顔で言う。「食料が――あと二日分しかない」
「外から持ち込めないのか?」
「無理だ。生産職がいるけど、材料がない。ゲーム内のリソースが枯渇してる」
「フィールドのドロップは?」
「モンスターが出ない。出るはずの場所が、ことごとく空になってる」
ネオは状況を整理した。「マップのリソース生成が止まってる、ということか」
「そう。ゲームのサイクルが壊れてるから――食料も、アイテムも、自然に湧いてこない」
「GM権限があれば、直接生成できるんだがな」
「今は?」
「今は――できない。まだ権限が足りない」
沈黙が落ちた。
「……どうするんだ?」
プレイヤーの一人が言う。不安が、声に滲んでいる。
「考える」
ネオは即答した。「解決策がないわけじゃない。時間をくれ」
「どのくらい?」
「一日以内に答えを出す」
それだけ言って、ネオはカイとリリィを連れて集落を出た。
「……どこ行くの?」
リリィが聞く。
「考えるのに適した場所を探す」
「歩きながらでも考えられるでしょ」
「歩くとアイデアが出る、という奴もいる。俺は止まった方が出る」
「どっちなの」
「両方だ。状況による」
三人は、集落の外縁に腰を下ろした。灰色の空。静かな森。木が風に揺れる音。
「……考えを聞かせてくれよ。一人より三人の方が出る」
カイが言う。
「整理する。問題は食料だ。生成が止まっている。外部からの補充はできない。プレイヤーの力では材料がない」
「ないものを、どうするか、だね」
「ないものを――作るか」
ネオは呟いた。「GM権限の中に、アイテム生成という機能がある。完全な権限があれば、コマンドでアイテムを出せる」
「今はできないの?」
「今のレベルでは――できない、はず」
「はず、か」
「試したことがなかった。今まで、その必要がなかったから」
リリィが言う。「試してみたら?」
「試して、できなかった場合――プレイヤーたちの希望を削ることになる」
「できた場合は?」
「……全員助かる」
「じゃあやるしかないじゃない」
ネオはしばらく黙った。
「……そうだな」




