第二十七話 廃工場の記憶
ヒントを求めて、集落の近くを探索した。
見つけたのは――廃工場だった。
石造りの大きな建物。内部には、機械のような構造物の残骸がある。ゲームの世界観では「精錬炉」や「製造台」に当たるもの――生産職が使う、アイテムを作るための設備の跡だ。
「……生産設備の廃墟か」
「ここでも、リソースが枯渇してるの?」
「稼働してない。電力か、魔力か――供給が止まってる」
カイが内部を歩き回る。「これ、直せるか?」
「設備自体は壊れていないかもしれない。ただ――動かすためのエネルギーが」
ネオは設備を観察した。大きな製造台。触れると――かすかに反応がある。完全には死んでいない。
ネオは《マスターキー》を当ててみた。
「開け」
カチリ――扉は開かなかった。代わりに、設備がわずかに輝いた。
「……起動した?」
「部分的に、だな。動いてはいるが――材料がなければ、何も作れない」
「材料を用意すれば、動くの?」
「そういうことだ。でも材料がないから困ってる」
三人でしばらく黙った。
そのとき――ログが入った。
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「ねえ。作るって、材料が必要なの?」
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「当然だろ」
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「GMは――材料なしでアイテムを出せるんじゃないの?」
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「それができれば苦労しない。今の権限じゃ――」
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「本当に?試した?」
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ネオは止まった。
「……試してない」
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「じゃあ――やってみたら。最悪、何も起きないだけじゃない」
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「最悪、何も起きない――か」
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「うん。できないと分かることも、情報だよ」
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ネオはその言葉を、しばらく転がした。
「……珍しく、建設的なことを言うな」
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「普段から言ってるつもりだけど?」
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「聞こえてない」
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「ひどい」
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カイが笑う。「何話してんの?」
「試せ、と言われた」
「そうしろよ」
ネオは製造台の前に立った。




