幕間 三つの視線
その夜、集落の焚き火の周りで――三人は、それぞれに考えていた。
**――リリィ――**
ネオは強くなっている。
分かる。魔法が増えるたびに、できることが増えて、視野が広くなる。
あのパーティが壊れたとき――私は、何もできなかった。
今も、前に出るのはネオで、私は後ろにいる。回復して、守って、見ている。
それでいいと、思っている。でも――
あのNPCの子供が、戻ってきたとき。ネオが「連れて帰る」と言ったとき。
少しだけ――羨ましかった。
なぜだか、まだ分からない。
**――カイ――**
俺はここに、なぜいるのか。
ログインした記憶がない。でも、ここにいる。
ネオは俺を「使える」と判断した。それは分かる。
でも――俺自身は、なぜここにいることを、悪くないと思っているのか。
ラフが戻ってきたとき。泣き止んで、「ねこにいちゃん」と言ったとき。
何かが、胸の中で動いた気がした。
俺に、胸があるのかは――分からないけど。
**――ネオ――**
《ジャンプ》は――思ったより、ずっと使える。
存在に向かって飛ぶ。座標ではなく、誰かへ飛ぶ。
そのイメージは――引き寄せることとも、移動することとも、違う。
もっと直接的な何か。
「どこにでもいるって、どこにもいないのと同じかもしれない」
あの声が、そう言っていた。
《ジャンプ》は、どこにでも飛べる。ならば俺は――どこにいるのか。
……まあ、今は。
ここにいる。それで十分だ。




