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マスターネオはネコまない ―黒猫GMのマスター魔法奪還ログ―  作者: Master NEO
第二章 マスターネオの奮闘

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第十九話 集落と、そこにいる人たち

 煙の出所は――小さな集落だった。


 崩れた木材と石で作った、急ごしらえの建物が数棟。土と枯れ葉が積み上げられ、かろうじて雨を防げる程度の屋根がある。その周囲に、プレイヤーたちが集まっていた。


「……十二、三人か」


 ネオが数える。装備はバラバラだ。前衛職、後衛職、生産職――様々なジョブのプレイヤーが、入り混じっている。顔には疲労と、それでも消えない警戒の色がある。


「猫!?」


 最初に声を上げたのは、若い男のプレイヤーだった。「でかい猫がいる!?」


「猫じゃない。元GMだ」


「嘘つけ!」


「まあ無理だな」


 ざわめきが広がる。ネオたちを囲む人の輪ができる。全員が、戸惑いと警戒と――微かな安堵の混ざった顔をしている。助けを求めたいのに、信じていいか分からない。そういう顔だ。


「……本当にGMなのか?」


 一人が前に出た。女性のプレイヤー。前衛装備を着ているが、かなりくたびれている。


「元GMだ。今は権限の一部しかない」


「それでも――来てくれたのか?」


「通りかかった、が正確だ」


 少しだけ、空気が揺れた。それでもいい、という気配が広がる。


「状況を教えてくれ」


 ネオが言うと、女性――自分をセナと名乗った――が話し始めた。


「……ログアウトできない。ここへ来てから、ずっと。市街地が壊れてからこっちに逃げてきたけど――もう丸一日、外に出られていない」


「食料は?」


 このゲームでは、食料の補給が不可欠だ。空腹も感じるし、身体の動きも鈍くなる。長引けば精神にも影響が出る。


「ゲーム内のアイテムがまだある。でも――減っていく一方で、補充できない」


「モンスターに襲われたことは?」


「ある。二回。でも、ここは比較的安全だ。何かが守ってくれてる気もする」


「守ってる?」


「うまく説明できないけど――こっちにモンスターが近づくと、何かに弾かれるみたいに去っていく」


 ネオはリリィと目を合わせた。リリィが首を横に振る――知らない、ということだ。


「分かった。お前たちの状況は把握した」


「……何かできることがあるか?」


「ある」


 ネオは即答した。「時間はかかる。でも――やれることはやる」


 セナは、少しだけ目を細めた。「……信じていいのか、猫」


「元GMだ。信じるかどうかはお前が決めろ」


「……分かった」


 短い答えだった。しかし、それで十分だった。


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