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マスターネオはネコまない ―黒猫GMのマスター魔法奪還ログ―  作者: Master NEO
第二章 マスターネオの奮闘

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第十五話 引力という名の力

 引っ張る。距離を縮める。呼び寄せる。


 ネオは考えながら動く。《シフト》でゴーレムの背後に回る。ゴーレムが振り向く。ネオはさらに逃げる。


 《シフト》は俺が移動する魔法だ。相手を動かすものじゃない。


 では――何が「引っ張る」に近い?


 ゴーレムが追ってくる。ネオは路地を曲がる。もう一体が別の方向から来る。挟み込む気だ。


 待て。ゴーレムは今、俺を追っている。俺に向かって来ている。それは――俺が引っ張っているのと、構造として同じことではないか?


 そうじゃない。今は俺が逃げているから追ってくるだけだ。俺が止まれば、ゴーレムも追わない。


 でも――もし俺が「目標」として、ゴーレムを固定したまま、俺だけ移動できたら?


 目標を俺に固定したまま――俺が移動することで、ゴーレムを誘導する。


 それは操作か。引力か。


 違う。もっとシンプルだ。


 引っ張るというのは――距離が縮まることだ。


 ネオは立ち止まった。ゴーレムが迫る。リリィが叫ぶ。「ネオ!?」


「大丈夫」


 ネオは右手を上げた。ゴーレムを見る。距離を測る。


 来い。


 イメージする。ゴーレムと俺の間の距離が――縮む。俺が動くのではなく、相手が動く。


 何かが、指先で引っかかった。


「……!」


 ゴーレムの動きが、わずかに前のめりになった。


 ある。


 もっと強く。もっとはっきりと。来い、ここに。距離を縮めろ。


 ゴーレムが――引っ張られた。


「なっ!?」


 カイが驚く。一体のゴーレムが、まるで見えない綱で引かれるように、急加速でネオの方へ滑った。


 ネオは即座に《シフト》で横へ。


 ゴーレムが――もう一体のゴーレムに、正面から激突した。


 轟音。石が砕ける。二体は互いに崩れ、倒れ込んだ。砂塵が舞い上がる。


 静寂。


「……何した今」


 カイが呆然とする。


 ネオは砂塵の中から歩き出す。「引き寄せた」


「引き寄せた?」


「距離を縮めた、と言った方が正確かもしれない。相手との距離を、こちらの意図で変えた」


「そんなことできるの?」


「できたから言ってる」


 視界にログが走る。


```

【Master Authority Fragment Detected】

【マスター魔法:《ドロー》取得】

対象を引き寄せる

```


 リリィが近づいてくる。「……また増えた」


「ああ。今度は引き寄せる系だ」


「使い方は?」


「さっきやった通り。引っ張る、と意図する」


「意図だけでいいの?」


「今のところは。もっと訓練すれば、精度も上がるだろう」


 カイが崩れたゴーレムを見ながら言う。「でも、その操ってたやつはどうする?」


「次に会ったとき、考える」


「楽観的だね」


「楽観じゃない。今は情報が足りないから、今できることをやるだけだ」


 そのとき。ログが一行。


```

「《ドロー》、面白い使い方してたね」

```


「……そうか?」


```

「うん。引き寄せるって、もっと直接的に使うものだと思ってた」

```


「直接的に、か」


 ネオは《ドロー》を握り直した。引き寄せる。ぶつける。それ以外の使い方も、あるかもしれない。


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