幕間 サーバールームの夜
サーバールームでは、無機質にキーボードを叩く音だけが鳴り響いていた。
制御不能に陥って、既に数時間が経過していた。全員の顔から、疲弊が拭えなかった。モニターの青白い光が、それをより鮮明に映し出している。
「残ってるプレイヤーは、何人だ」
「……確認できているのは、十数名。だが――」
キーボードを叩く音が止まる。
「確認できていない個体が、いる」
「識別不能か」
「そう。ログにない。ログインの記録もない。しかし映像には、確かに映っている」
画面が切り替わる。そこには――カイ。男の後ろ姿。三人と並んで歩いている。
「これは……誰だ」
「不明。追跡しようとするたびに、ログが途切れる。まるで意図的に消えているかのように」
もう一人が、低い声で言う。「考えられる可能性は?」
「三つだ」
「……言え」
「一――我々の観測系に問題がある」
「二――向こう側が意図的に隠している」
「三――」
また、言葉が止まる。長い沈黙。
「三は」
「……もともと、ゲームの外側から来た存在ではない」
その言葉の意味を、全員がゆっくりと理解する。
「ゲームの内側から、生まれた――?」
「可能性として、だ。否定はできない」
モニターの光が、青白く揺れる。
そのとき。一台の端末が――静かに、ログを吐き出した。
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「聞こえてるよ」
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部屋の全員が、凍りついた。
それは――こちら側のシステムから、出力されていた。




