職業、暗殺者
「なんだこれ?」
日を改めてAIオンラインにログインをすると連続ログインボーナスと一緒に画面上にヘルプが表示されていた。
『――――おめでとうございます。この世界で最初に職業、暗殺者の条件を達成しました。暗殺者ギルド。ギルドマスターの権限を付与させていただきます』
メニューを開くと新しくギルドという項目が増えていた。
もしやと自分のステータスを開くとそこには『職業 なし』という表記の代わりに『職業 暗殺者』という表示があった。
「いやいや、なんでこうなった?」
ギルドマスターという文字をタップするとお馴染みの説明が始まった。
『ギルドマスターとはその職業に最初になった方にのみ与えられる称号です。その職業になった他のメンバーを管理する権限が与えられます。またギルドマスター専用アビリティーを1つ獲得します(自動発動、効果永続)』
と、いうので管理できるというのなら試してみようとギルドの項目を押してみる。
『未実装です』
ダメじゃねぇか…。
「おーいコバト」
後ろから声が掛かった。
恐らくシークだろう。
「おーう、待った?」
振り返ったそこにいたのは始まりの服を着たシークではなく神父の服を着た片手に杖を持った彼の姿だった。
「いやシークお前レベルいくつだよ!」
――――――――――――――――――――――――――――――
「武器と装備はここで買うんだ」
「いやお金がないんだけど」
「あぁ大丈夫。始まりの服が売ると一万Gで売れるから安い装備なら揃えられるよ。初心者救済措置なんだろうなぁ」
その後俺は寝る間も惜しんでゲームし続けたレベル40のベテラン冒険者シークに教えられながら冒険の準備をしていた。
AIオンラインはキャラクターが動かない状態で一時間が経過すると自動的にログアウトするらしいと彼は誇らしげに語っていた。
つまりゲームしながら寝たんだなお前…。
「どうやらこのゲームはそれぞれの職業の転職条件みたいなのがあってそれをクリアすると自動で転職するみたいだな。騎士が騎士団に入団すると転職できて弓使いがエルフの森ってとこで転職できたやつがいたらしい。掲示板情報だから宛にできないけどな」
「あぁ、それでお前は神官みたいな職に…ってなんでそうなったんだ?」
「分からんなー武器買ってモンスターを狩りに狩って。満足して教会の中で寝ちまって自動ログアウトしたところまで覚えてる」
「もしかして神官の条件って教会の中でじっと祈るとかじゃないだろうな?」
「俺寝てただけ」
神様、こいつが神官でいいんでしょうか…?
「と、とりあえず装備を買うか」
俺が武器屋の渋いおっちゃんのNPC(中でプレイヤーが操作していないキャラ)に話しかけるとシークが待ったをかけた。
「待った!まず職業を決めてからにしたほうがいいぞ!職業に合わない武器は本来の性能が出せないらしいし。防具に関しては装備すらできないらしいぞ!」
そんな彼の言葉を無視して買い物を終えるとその場で装備を全て装着した。
腰の左右にそれぞれ二本の短刀を装備しその上から身体を隠すように黒い外套を装備したその姿はまさしく…
「俺も職業には就いてるからな」
「か、かっけぇぇえええ!」
俺、渾身のドヤ顔であった。




