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AIが運営するVRMMO  作者: ケイ
18/19

増えるギルドマスター

『エルフの神樹へようこそ!スタンプと経験値をプレゼントいたします。エルフの森とは…』


ヘルプの街の説明がやたらと長そうなので私はペシペシと画面を連続でタップして文章を読まずにスキップした。

ヘルプの表示が終わったと同時に経験値が入ってくる。


「んん?まぁ美味しいっちゃ美味しいけど…」


確かにリスクなく手に入る経験値としては破格だがこれならば普段コバトとシークと三人で戦っている時の方が経験値は多い気がする。


思えばここ数週間、コバトとシークと私で矢の束を抱え込んでは戦場に出て、私の矢が無くなっては街に戻って補充して再突撃といったハードな毎日だった気がする。


ぶっちゃけレベルが上がりすぎたのかもしれない。


シークは《ターンアンデッド》の熟練度が上がって使用するのに必要なMPが下がり、私も《ピアッシングアロー》の必要MPがどんどん下がっていったものだからMPポーションも使う頻度が落ちてガツガツと敵を倒せた。

どんどん戦いが最適化されていくものだから三人でまだいけるだろう。前よりも10匹も多く倒せたと楽しくなってしまったのだ。


なので必要経験値もだいぶ伸びているはずだ。

まぁこれはしょうがない、もともと初心者の為のイベントなのだ。ある程度初心者がゲームにのめり込んでくれるように作られているのだ。経験値の量もこんなもんなのだろう。


「よし、エルフの森はこれでおっけーかな?」


視界の端のマップを見て次の目的地を思い出す。

確か…ここから近いのは魔族のところだっただろうか。


マップの魔族の国を指でタップすると現在地から指でタップした位置まで最速のルートが矢印で引かれる。


迷わなくて済むのでこのシステムはいつも使っている。

ただコバトとシークはこのシステムに対して「ばっきゃろう!当てずっぽうに行くのが男の道よ!」「この雄大な景色を前にしてマップしか見ないのは勿体無いだろ!風情だ風情!」


と、意気込んで二人とも迷子になったことがある。

男の道だか風情だか知らないがそれ以前に私を目的地で30分も待たせたことに対して何かなかったのだろうか?


それ以降目的地に現地集合はせずに三人で集まってから移動するようにしている。

勿論罰として二人にはそれ以降、所持限界ギリギリまで矢束を持ってもらっている。


「さて、そろそろ行きますか?」


「ちょっといいかな?」


私はアイテム欄にある矢が充分あることを確認し…。


「君だよ君!」


「ん?」


肩を掴まれそちらを向くと…。


「げ、騎士!」


「え、いや。そうだけどそんなお化けを見たような目をしなくても…」


おっと、タイムアタックの時のトラウマが…。


目の前にいるのは革の鎧を上下につけた青髪ポニーテールの爽やかそうな青年だった。

あのバカは確かださい角のお面を被っていて顔は出していなかったはずだ。


「人違いだったわごめんなさい」


「ええと…なんだか知らないけれどごめんよ?ええと、僕はフブキ、こっちのお姉さんはナナミさん」


騎士のインパクトに目を奪われていたが冷静になると隣に黒髪ロングのお姉さんがいた。


「うわ、エ…綺麗なお姉さん」


「あら~?嬉しいこと言ってくれるわねぇ」


こんなキャラゲームで作れて大丈夫なのだろうか。

自分もこのミニスカはちょっとと思っていたが目の前のこいつは凄い。

薄手のローブを着ているがその下はほとんど水着のような装備だ。


胸とか半分丸見えになってるし、一応自信があった私のそれの倍はあるかもしれない。


確かにとんでもない美人だがそのうち猥褻物扱いされてAIオンラインから修正が入るんじゃなかろうか。

ログインした瞬間から身体にモザイクかかるとか。

なにそれ見たい。絶対笑う。


「あの、いいかな?ヒカリさんだよね?弓使いのギルドマスターの」


「そ、そうね!私がこの世界でたった一人、弓使いのギルドマスターのヒカリよ」


「あぁ、うん僕もナナミさんもギルドマスターなんだけどね」


「私は魔法使いギルドのマスター、そこのフブキくんは騎士ギルドのマスターね」


なんか一気にギルドマスターというネームバリューが地に落ちた気がした。

こんなはずでは…世界に一人しかいないはずのギルドマスターがなぜこんなに…。


そういえば目の前のこいつ…フブキは騎士ギルドのマスターということはあのいけすかない騎士と組んで私の記録を一度塗り替えた猛者ということになる。


やはりここで背中に矢でもぶちこんで亡き者とし、ギルドマスターの人数を減らすべきでは…。


「君、何か変なこと考えてないかい!?なんで街中で弓を取り出すんだい!?」


「話をすすめていいかしら~?」


「そうね。今は我慢するわ」「え?」


「私達ね?スタンプラリーイベントで魔族方面に行くのだけれど。ほら、あそこPvエリア多いじゃない?よかったら一緒にいかがかと思って~」


「いいわよ?ちょうどよかったわ」


「ちょうどよかったってどんな意味かな!?普通の意味だよね!?」


確かに私は高レベルになった。

だけどステータスは弓使いだけあって防御力はかなり低めに設定されている。今まではコバトとシークに守られながら相手にダメージを与える役をメインとしていたことを考えると不意を狙われる可能性のあるPvエリアに一人で向かうのは少し不安だったのだ。

ここで味方、それもギルドマスタークラスを二人も味方にできるのは幸運だったのかもしれない。


「じゃあ~」


ナナミさんが綺麗な顔をぐいと近づけてきた。


近い。近い。そしてなんか怖い。


「いろいろ教えてもらってもいいかしらぁ~?貴女の普段のパーティーのことについて…とか」


あ、これやっぱり不幸かもしれない


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