尋問されてみた
「レベル64ってすごいね。あの何で初心者の街のすぐ近くにこんなやつ配置してんだとか酷評されてた墓地で高速周回してたなんて。僕らもけっこう頑張ったけどレベル59だよ」
「私は57ね~」
「えっと、経験値はすごく美味しかったから…」
「あら~それにあのシークさんとパーティーを組んでたの?すごいじゃない!」
「まぁ、えっと…正確にはコバトと組んでたらセットで付いてきたというか…」
「へぇ~シークさんは回復職だしヒカリちゃんは弓なんでしょう?そのコバトって人が盾役ってことよね?そのコバトって人あの墓地で盾をするなんてすごいじゃない。どんな人なのかしら~?」
ナナミさんの目が怖い。尋問されてる気分なんですけど。横のフブキさんはたぶん天然だろう。たぶんこの人はすごいねーくらいにしか思っていないと思う。
「コバトは避けるのが上手なのよ!あとはだいたいシークと私がほぼ瞬殺するし!」
まぁ間違っていないだろう。
コバトも最初は「攻撃を受けてるだけなら二刀流よりも盾片手に持ったほうがいいかな~」とか言って盾を持って戦ってたけど相手の攻撃パターンを完全に把握した後半は盾を持たないどころか両手に何も持たず、装備を全部外して「青コーナー!殺戮のデスポッポ!コバートォォオオオ!!」とかワケわからんことぬかしながら素手で突っ込んで行ってたし。
いや、あれは横で両手を頭の上で叩きながら「まっくのうち!まっくのうち!」とかワケわからん煽りをしてたシークも同罪だと思う。
今思えば何であれでコバトはやられないのか、そしてしっかりとモンスターを引き付けて盾役をこなせていたのか不思議で仕方なかった。
まぁ何度かコバトの背中に無駄にエフェクトの大きいスキルを叩き込むと焦って回避ができず何度か倒れてたのは面白かったからいいけど。よくない、私もその後倒れたんだった。
「ふーん、そのコバトさんってすごいんだね。プレイヤースキルで戦う人なのかな」
そう、このゲームはスキルの補正さえあれば戦うことは何の問題もない。弓を引けば勝手に矢は相手に飛んでいくし魔法も同じ、剣のスキルなんかも勝手に身体が動く。だけどその補正を使わない人だって一定数いる。
代表的なのが弓と魔法の偏差撃ちと呼ばれるものでスキルによる狙いをわざとずらすことでスキルを避けようとする相手の移動先に当てることができるのだ。
まぁ単純なAIで動くモンスター相手ならそんな技術いらないけど対人戦闘となるとこれが必須の技術となる。
コバトは初めて見る相手の攻撃でも数回も見ればそれはもう見事に避けるのだ。おそらくゲーム中最も身軽であろう暗殺者の身体を使いこなして人外のような動きで。
おかげで最初の数回の戦闘以降はシークが回復スキルを使うことはなかった。ぶっちゃけ私とシークで敵を滅多撃ちにできるので凄い楽だった。
そう考えるとコバトはプレイヤースキルが高いのかもしれない。調子にのるとシークとバカなことを始めることは置いておいて。
「是非とも会ってみたいわね~コバトさんに」
たぶんナナミさんはめっちゃ疑ってる。コバトが現在公開されてない新職業ではないかと。でもコバトもそのうち誰かが暗殺者になったらそいつがゾンビに取り囲まれるだろうからそれから皆にバラせばいいでしょ?
ってひきつった笑顔で言ってたしここは私が守ってあげなくては!
それにうちのパーティーにまだ誰も知らない新職業にしてギルドマスターがいるなんて考えると優越感で自然と笑みが…危ない危ない。顔にでちゃうところだった。
「この子何もしてないのにニマニマしたり呆れた顔したり面白いね…」
「そうね~もう少しこのまま見ていましょうか~」




