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AIが運営するVRMMO  作者: ケイ
16/19

イベント前夜

AIオンライン バージョン1.0

・明日の8:00~10:00の間大型アップデートの実装の為、メンテナンスを開始します。その期間はサービスを停止しますのでプレイを中断し、ログアウトをよろしくお願いいたします。


――――――――――――――――――――――――――――――



世間を少しだけ騒がせたタイムアタック事件は2週間後、唐突に発表された大型アップデートによって騒ぎは別の方向へと向かった。


「で、シークさんや?結局今回のイベントは基本的にはヴァルハラからあまり動かない初心者達に色んな街を見て回りながらついでにレベルも上げてもらおうってやつなのか?」


教会も神官希望のプレイヤーが転職を終え、冒険に出始めたのかサービス開始直後の活気はなくなっていた。

そしてその教会前のベンチで次のアップデート…つまり明日なのだが、それに向けて色々と会話を続けていた。


「スタンプラリーみたいに特定の場所に回る度に経験値が貰えるみたいだな。混雑を避けるために回る順番は決まってないみたいだな」


2週間前と変わらない神官服を着たシークは武器こそ変わらないが空いた手に丸い小盾を持つようになった。


もともと杖でバシバシ敵を叩くようなタイプでもないのだしちょうどよかったのだろう。


「なら私達のチームがスタンプラリーを最速クリアするわよ!これは決定事項ね!」


そして2週間前のタイムアタック以来、俺がログインするとすぐに遠隔チャットを飛ばしてきて合流してくるようになったヒカリもこの場にいた。


彼女が初めて俺の連れてきたシークを見たときの「なんで?コバトの相方は私のはずじゃ!」という反応に対して「おいコバト!この女はなんだ!浮気とはいい度胸してるな!次に会うときは裁判所だな!」といいやがったノリのいいシークのことは二度と忘れない。

次までにハリセンというネタ装備があるらしいのでそいつを購入してこようと思う。


ちなみにシークとヒカリはそもそもお互いに名前だけは知っているようだった。

ギルドマスターをやっていただけあってプレイヤーネームだけはそれなりに有名になっているらしい。


「いや、俺は仕事終わってからしかログインできないから夜からしかできないって」


「こっちもコバトと似たようなもんかなー。夜からだね」


「なによ!そんなもん適当に休んじゃいなさいよ!」


いや流石にゲームで会社休むのは…ねぇ?


「ちっ!せっかくコバトの《影走り》で最速クリアしてやろうと思ったのに!」


「おいお前俺に街から街までの間ずっとMP消費しながら走り続けろってか!」


「その方法は俺もちょっと考えてた…」


「お前らまた毒瓶ぶつけるぞ?」


「へっへーん!残念でしたー!修正されてもう毒状態にはなりませーん!」


そう、早くも毒瓶の性能は修正されPvエリア以外の一般フィールドではプレイヤーにぶつけても毒状態にはならなくなってしまったのだ。

まぁ、プレイヤーを殺せちゃうのはまずいよね?


「ちぇっ、とにかく明日は俺もシークも夜じゃないとログインできないからな。なんだったら先にイベントをこなして俺達をあとで案内してくれよ」


「あぁ、いいかもね。俺も攻略サイトでしか他の街のこと知らないし」


「案内…案内…ふっふっふ。分かったわ。私に任せておきなさいって!」


胸をぽんと叩いて偉そうにベンチでふんぞり返るヒカリ。


「なんだろうシークさんや、すごく不安になってくるんだが?」


「大丈夫だろ。街から街までは一度行った場所なら街の中央の像からテレポートできるらしいし…」


「いや、一回行かないと駄目なのかよ!ヒカリ?お前エルフの森には行ったんだよな?他の街は…」


そちらをシークと一緒に向くとにへら~とだらしない顔をしながらフリフリと頭を左右に揺らすヒカリの姿があった。


「案内…案内…フフフ…」


「「聞けよ!!」」


あぁ、願わくば明日の仕事は残業になりませんように…。



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