第二十二章 終局
応策局の監獄。何もない牢屋の中で、ウェルズはぼんやりと座り込んでいた。
ここに入れられて二日目だった。体の傷には簡単な手当てが施されていたが、両手には魔力を制限する手錠が掛けられ、今の彼は常人も同然に無力だった。
この数日、彼はさまざまなことを考えた。黒蓮は記憶を取り戻しただろうか。ラロリアも同じように捕まったのか、それとも無事に逃げおおせたのか。サンドラはもう帝国を離れただろうか。さらには、フリーデのことまで思い出した。
監獄で応策局の処分を待つ身ではあったが、ウェルズには、自分はただ死を待っているだけのように思えた。
応策局が犯人を勾留することは滅多にない。よほどの重罪人でもない限りは。言い換えれば、ひとたび応策局に捕らえられた罪人が、生きて監獄を出られることはまずないのだ。
聚宝者もおそらく、すでに応策局の手に落ちているだろう。その末路が彼よりましなはずもない。生死への執着はもうなかった。彼は監獄の中で、静かに結末を待っていた。
災害後応急管理所では、現地の公爵が謀反を起こしたことを受け、応策局二課の課長「霄」が最高指揮権を掌握していた。所内では誰もが慌ただしく書類をめくっている。臨時に呼び寄せられた事務員もいれば、応策局員の姿まであった。帝国の機密機関である彼らは、殺戮のみならず後始末にも長けているのだ。
「課長、聚宝者の表の身分はどう処理しますか?」
「反秘密結社法第二条に基づきその人権を剥奪し、全財産を洗い出したうえで没収とする。君は二名を連れて、財産の洗い出しに当たれ」
霄は冷ややかな面持ちで命令を下した。
「課長、騁馳財閥の財産資料の取りまとめが完了しました!」
「命令を出せ。財閥は分割処分とし、騁馳財閥を解体する。以後、騁馳企業連合はこの世に存在しないものとする。同時に、秘密結社幇助罪により、アスヘタイト男爵およびその一党を逮捕せよ」
彼は財閥粛清を命じた。誰の同意も要らず、異を唱えられる者もいない。
「課長、公爵邸の惨劇の犠牲者について、必要な資料の収集が完了しました」
白いマントが一人、また一人と進み出ては、指導者に報告していく。
「事は重大だ。公爵ほどの権貴が秘密結社にたぶらかされたと漏れれば、帝国の名声を損ない、政権への疑念の声も強まる」霄の答えは相変わらず淡々としていた。「本件は終末救贖者によるテロ行為の一つと位置づけ、嘉徳市内のすべての報道機関に通達せよ。事情を知る者がいれば口を封じろ。真相の記録は甲一級の機密等級で密封のうえ帝都へ送り、逃亡中の公爵は別の罪状で指名手配し、各国に布告せよ」
帝国の機関は非凡の力を独占している。帝国の人民に向けて事実を操作することなど、造作もなかった。
「……!」命令を聞いた青年は一瞬悔しげな色を浮かべたが、やがて頭を垂れた。「了解しました、課長」
まさにその時、ある人物が応策局の拠点を訪れた。
彼女は扉を押し開け、後始末に追われる霄と正面から向き合った。
静かに死を待っていたウェルズは、自分の牢に訪問者が来るとは思ってもみなかった。
それは、霄に伴われて地下牢へやって来たラロリアだった。
ラロリアは鉄格子の外に立って彼を見ていた。普段の彼女なら、きっと声高にウェルズを嘲笑っていただろう。だが今は表情が硬く、とてもそんな気分ではなかった。
「お前……捕まったのか?」その姿を見て、ウェルズはしばし呆気にとられた。だが、どうもそういうわけでもなさそうで、何がどうなっているのか見当もつかなかった。
「あんたを助けに来たの」ラロリアが口を開いた。
霄は手早く地下牢の錠を外し、ラロリアに付き従って牢の中へ入った。そして自らウェルズに掛けた手錠を、自らの手で外した。ウェルズが自由の身に戻ったということだ。
「これは……どういうことだ?」
ウェルズはまだ驚きから覚めず、ラロリアがどうやってここまで来られるほどの力を持っているのか、まるで分からなかった。
「あなたは先に下がって。彼と二人だけで話したいことがまだあるの。安心して、どこへも行かないから」
「承知しました」霄は一礼して退出した。
応策局二課の課長がへりくだるその姿に、ウェルズはますます訳が分からなくなった。なぜラロリアに応策局を従わせるほどの権力があるのか、まるで理解できない。
「お前は……ラロリアなのか?」見慣れたはずの顔が、思わず見知らぬ他人のように思えた。
「当たり前でしょ。頭でも打ったの?私のことも分からないなんて」彼女はふんと鼻を鳴らし、あかんべえをした。
その茶目っ気のある仕草に、張り詰めていた空気がふっと和らいだ。
「ラロリアはただの偽名よ」彼女は言った。
「応策局が私の命令に従うのはね……私が『質麗皇女』だからよ」
ラロリアという名は偽名に過ぎない。帝国の皇室の者には昔から封号と称号しかなく、自分だけの姓名を持たないのだ。
「皇女が、こんなふうに品もなく人の襟元を掴んで前後に揺さぶるか?」ウェルズは、自分が口にしたその言葉を思い出した。
「質麗皇女……?」ウェルズは驚愕した。「なら、どうして……お前がここにいる?それに、なぜライカベサへ行った?」
彼女はため息をつき、ゆっくりと語った。
「それは……父上が終末救贖者の構成員と通じているんじゃないかと疑ったからよ」
「ここ数年、父上は気難しくなって、家族のことも顧みなくなった。その変化が心配で、最近寵愛を受けている内臣を何人か内緒で調べたの。そうしたら、彼らには終末救贖者の息がかかっていると分かった。彼らは人目を忍んで宮廷に出入りして、父と何かの取引をしていた」
「だから宮廷を出て、手がかりを探すことにしたの。止めたかった。父を昔の優しい姿に戻したかった。何より、全部ただの誤解であってほしかった……!でも今、動かぬ証拠が目の前にある……父上は確かに終末救贖者と通じている。最初のあの血ダイヤ鉱山の経営特許状は、欽差大臣が出したものだったのよ」
「つまり……帝国の皇帝が終末救贖者と通じていると?」ウェルズは驚きを隠せなかった。
ラロリアは頷いた。
「シュミットもホフマンも、殺したのはあいつらよ。機織り屋の濡れ衣なんかじゃない。あの時は二人して読み違えてた」
「劇場では七百人以上が死んで、死体すら残っていない。公爵邸には生き残りが一人もいなくて、召使いまで搾り尽くされた」彼女の声は平坦だった。「新聞には終末救贖者の暴挙と書かれて、公爵の名前は洗い流される。それが応策局のやり方よ」
「で、私たちはといえば、一人は牢の中、もう一人は宮殿へ送り返される」
「だから、あんたが私の代わりに行くのよ」
「これが、私がこれまで調べた記録」彼女は懐から一冊の手記を取り出した。「私の知っていることは全部書いてある。あんたに私の代わりに……教廷へ行って、禦死長城を越えて、上古の失われた国『月の潮汐』まで行って、あいつらが帝国で何を企んでいるのか突き止めてほしいの」
「お前の代わりに……?お前はここに残らなきゃならないのか?」
彼女はしばらく沈黙した。
「あんたを連れ出すために、応策局に身分を明かしたの。父上はとっくに命令を出してたのよ。私を見つけたら帝都へ送り返せって。その命令は私の命令より上だから、姿を見せた時点で行くしかない。でも、あの人たちが私を車に乗せるまでは、私はまだ皇女。私が釈放しろと言えば、あの人たちは従うしかないの」
「本当は、今回の件が片付いたら、あんたと一緒に教廷へ発つつもりだった。でも……あんたは捕まった。私一人で月の潮汐を調べるなんて無理。でもあんたなら……絶対にあいつらの陰謀を暴ける。信じてるから」
帝国の人民を救い、皇帝と秘密結社の陰謀を暴く。
その途方もない重荷が、突然ウェルズの肩にのしかかった。
自由の代価として、彼は一度に数えきれない命運を背負うことになったのだ。
もっとも、手記だけ受け取って、何事もなかったような顔で立ち去ることもできる。
だがウェルズは、決してそうはしない。ラロリアもまた立ち去ることができたのに、自分の自由を捨ててまで彼を救い出す道を選んだのだ。その恩は確かに重い。
「約束する」
「命を懸けてこの件を片付ける。お前は自由と引き換えに俺を救ってくれたんだからな」
復讐を果たした今、彼にはちょうど新たな生きる意味が必要だった。真剣な面持ちで、彼はラロリアに応じた。
「そう言ってくれて嬉しい」彼女は早口だった。少しでもゆっくり話せば、別の何かを聞き取られてしまうのを恐れるように。
「それで、お前はどうなる?」ウェルズは気遣わしげに尋ねた。
「帝都に戻ったら、厳しい罰を受けるのか?」
「私のことは心配いらない……大丈夫。帝都に戻っても軟禁されるだけだから」
「これは私からの餞別。役に立ててくれたら嬉しい」
彼女は揃えた両の手のひらを差し出した。その上には、不吉な色を放つ黒い晶石が載っていた。
「これは……?」その輝きに、ウェルズは目を見張った。
「四階の象徴……奈落。聖者が世界の底まで行かなければ採れない、聖階の象徴よ」
「どうしてお前がこんなものを……?」
聖階と聞いただけで、その稀少さは十分に察せられる。聖階の四階象徴は、昇階を目指すすべての魔法使いが夢にまで見る品と言っていい。
ウェルズは驚愕した。あまりにも貴重な贈り物だ。
「私は皇女なのよ。国庫から何か持ち出すくらい、どうってことない。それと、聚宝者がたくさん魔法書を持ってたから、それも応策局からあんたに渡すように言ってある。中の魔法知識が必要になるはずよ」彼女は得意げに顔を上げた。
「四階の象徴探しで悩んでたんでしょ?これがきっと大きな助けになるわ」
「確かに、『奈落』は俺の陰影の特性と相性がいい。これを融合すれば、魔法能力を大幅に増幅できるだろう」
「皇女殿下、お時間です」そこへ霄が再び牢の外に姿を現し、声をかけた。
「分かった」ラロリアは立ち上がり、その場を去ろうとした。
「次に会う時には、四階になっていてほしいわ。もしかしたら私の期待を超えて、とんでもなく強い五階魔法使いになってるかもね!」
「がっかりさせないでよね……!」去り際に、彼女は手を振った。
「俺は謎を解いて、お前を帝国から救い出す」
ウェルズは拳を握りしめ、彼女の背中に向かって誓った。
階段を上る間、彼女は一度も振り返らなかった。振り返れば、霄に顔を見られてしまうから。
応策局の牢屋を出ると、ラロリアは傍らの端正な青年に目を向けた。
「あなた、宿駅のあの晩にはもう私だと気づいていたんでしょ?」
「いいえ」霄は答えた。「見覚えがある、と思っただけです。二課が捜していたのは、長年誰も姿を見ていない皇女です。その方が終末救贖者の獲物と行動を共にしているなど、誰も思いませんでした」
「銀行の時は?」
「満は査証しか見ていませんでした」
「私たちにも、話すことが山ほどあるわね。終末救贖者のこと、帝都のこと、それに帝国全体のことも」
「いつ何時でも御下命に従います、皇女殿下」霄は落ち着いて答えた。
会談を終えたラロリアは応策局の臨時本部を後にし、二名の応策局員に護送されて、嘉徳市の豪華ホテルの最上級スイートへ向かった。間もなく専用列車で帝都へ戻り、軟禁されることになる。
同じ頃、応策局の手続きが済むのを待って、ウェルズは大通りに出た。自由の空気を胸いっぱいに吸い込む。
「自分の幸運に感謝しろ。ここに入ってまともに出られる人間など、そうはいないんだからな」彼を送り出した白いマントが、そう言い捨てた。
「さて……これから何をするかな」彼は伸びをした。
やるべきことが多すぎて押し潰されそうな時には、何から手を付けるかなど、もはや大した問題ではない。
黒い霧はもう晴れていたが、街ではまだ咳をしている者がいた。新聞売りの少年が「終末救贖者、劇場を血で洗う」と叫んでいる。紙面まるまる一面に七百の名前が刷られ、公爵に触れた文字は一字もなかった。
ウェルズはその場でしばらく耳を傾けてから、人混みの中へ歩き出した。
「課長……なぜこんな決定を……!」
課長室で、「武」の名札を付けた青年が机を叩き、声を荒らげて抗議した。
「まさか……課長はこんなこと、馬鹿げているとは思わないんですか?俺たちはこのために何人も仲間を失ったんですよ!なのに重要指名手配犯がこうもあっさり釈放されて、供述ひとつ取っていない。そのうえ俺たちが奴のために証拠を消さなきゃならない……!公爵の罪状を揉み消す件だってそうです。俺たちはどれだけ正義に反することをしてきたんですか。何もかもでたらめだ……!これで応策局が治安維持機関だなんて言えるんですか!?」
「応策局は……もとより治安維持機関ではない」
激昂する青年の怒声を前にしても、執務机の向こうの霄は淡々と両手を組んだ。
「我々応策局の唯一の指導方針は、帝国安定維持である」
「安定を維持するためなら、我々はあらゆる手段を用いて、あらゆる脅威要因を排除しなければならない。処刑、暗殺、待ち伏せ、脅迫、買収。損害は何であれ最小限に抑える。この件が帝国の声望を損なうというなら、新聞社に報道を禁じ、鍵となる人物の記憶を消し、被害者を沈黙させるまでだ」
その言葉に、応策局に理想を抱いていた青年は信じられないという顔をした。
「だが、この六文字の中で最も重要なのは安定ではない」
「帝国である」
「帝国を統治するのは帝室でなければならず、帝国の政体は帝政でなければならない。ゆえに帝室の指示を仰ぐことは、我々応策局にとって一刻の猶予も許されない任務である。この任務の重要性は、安定の維持をも、応策局そのものの存続をも上回る」
「ゆえに本件は質麗皇女の命により、全資料を破棄する。控えの記録も破棄の段階に入っている」
「また、当該犯罪者の罪名は取り消し、訴追は失効、無罪放免とする」
話を聞き終えた武は、拳を握りしめるしかなかった。「こんなもの……!あまりにも荒唐無稽だ!」
「自制してもらいたい。常に肝に銘じておくことだ。ここは過ちの許されない世界であり、我々には指示に従う以外の道はないのだと」霄の瞳が鋭く光った。
「この一切を変えたいのなら、辛抱強く待ち、力を蓄えていただきたい」
「機会が訪れた時、我々こそが火薬樽に火を点ける火花となる」
金箔と彫刻に飾られた部屋で、白く幼い手が扉を押し開けた。
扉の外に立っていたのは、ヴェールを掛けた聖女だった。朧な白いヴェール越しに、この世のものとも思えぬ美貌がうっすらと透けて見える。彼女が部屋に入ると、唯一の従者にして護衛であるシャーロットも後に続いた。
「聖女様……初めまして」黒蓮は立ち上がって出迎えた。これほどの大人物に会うのは初めてで、どうしても身が硬くなり、怖じ気づいてしまう。
「こんにちは、黒蓮さん。私はあなたのお仲間に、あなたの記憶を取り戻して差し上げると約束いたしました」
「それで……私はどうすればいいのでしょうか?」彼女は緊張した面持ちで両手を組み合わせた。
「心を静め、力を抜いて目を閉じていただくだけで結構です」
黒蓮は言われたとおりに目を閉じた。ほどなく、温かな光に照らされているのを感じた。その温もりは外側からじわじわと染み込み、やがて体の内側へ、ついには心にまで届いた。
光に包まれる中、自分の欠けた部分が繕われていくのを感じる。ほどなく、記憶の断片が次々と蘇ってきた。三歳、五歳、十歳、十五歳、そしてつい最近まで。
「思い出しました……私の本名は……ロザリア。匠極の広報マネージャーです……匠極は私たち一族の事業で、私は貿易契約の交渉を担当していて……それから、思い出しました。終末救贖者に誘拐されて、秩序編織者に記憶を消す魔法をかけられたんです……あの人たちは私を隠し駒にして、ウェルズさんの調査を攪乱しようと……!」
記憶が戻るにつれ、警察への恐怖もウェルズへの思慕も、少しずつ薄れていった。どちらも霊魂魔法による意図的な影響だったのだ。『質麗皇女』と聞いた時のあの激痛さえ仕込まれたもので、彼女を救った者の推測を皇女へ向けさせるためだった。
「さあ、これで記憶は戻ったはずです」聖女の優しい声が響いた。
「はい……でも……」
だが、ウェルズに惹かれる気持ちだけは、完全には消えていなかった。
「でも……?」聖女は訝しげに尋ねた。
「何でもありません」彼女は首を振り、胸の内でつぶやいた。「あの人は私を助けてくれて、たくさんのことを教えてくれた。本当にありがたい」
淡い恩義と好意が入り混じる。彼女はその恋心を胸の奥にしまい込んだ。次にいつ彼に会えるのか、分からなかったから。
「次こそは、必ず本当の気持ちを伝えよう。魔法に左右されていない、本当の気持ちを」
その頃、遠くの屋根の上ですべてをひそかに聞いていたウェルズは、その場を後にした。
最後にウェルズが訪れたのは、嘉徳市の城外にある、人影のない河畔だった。すでに日は暮れ、月明かりだけが荒野を照らしている。
小型の快速艇を用意したサンドラが、木陰にもたれて彼を待っていた。白磁のように白い顔を、月光が照らしている。
「君、予定より二日遅れたね」
「ちょっといろいろあってな」ウェルズは答えた。
「仲間を一人連れて来ることになるって言ってなかった?もう一人は?」
「あいつは、もう来ない」
「じゃあ、これからは?」
「予定どおり、帝国を離れよう」
それから二人は蒸気動力艇に乗り込み、川を下っていった。嘉徳川は海へ注いでおり、そのまま帝国から遠く離れられる。もともと彼が立てていた逃走計画だった。ただ、今やラロリアが来ることはない。
風がウェルズの頬を撫で、隣のサンドラの桜色の髪をなびかせた。
しばらく言葉を選んでから、彼は口を開いた。
「お前を雇って、一緒に教廷へ行きたい」
「いいよ」サンドラは二つ返事で引き受けた。
「ただ、俺は今回の雇い賃すらまだ払えないんだが」ウェルズはばつが悪そうに言った。帝国で出費がかさみ、懐はすっかり寂しくなっていた。
「構わない。ツケにしておいて」
ウェルズは口をぱくぱくさせ、驚いて尋ねた。「煉獄騎士はツケなんか絶対に受け付けないと聞いたぞ。時には金を払わない雇い主を殺して、借りを清算することもあるとか」
「君は例外」快速艇を操るサンドラの桃色の髪が強い風になびく。整った顔立ちは穏やかで、見る者を和ませた。
「望むなら、君はいつでも私を雇っていい。永遠にね」
「私の命は、君のものだから」




