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空間魔導書と少年魔法使い  作者: atu78963254
絶域城の旅編
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第十一章 祭りの準備

「レシナ……」部屋の扉を押し開けると、茶色の髪の少女が机に向かい、薄暗い灯りのもとで一心に刺繍をしていた。


「おかえりなさい!」


フリーデはその向かいに腰を下ろした。しばらくためらったものの、結局は率直に切り出した。


「訊きたいことがあるの……私が渡したあのお礼、どう使うつもり?」


「お礼……ああ、あの百万のことですね……」問われたレシナは針を持つ手を止め、どこか落ち着かない、はにかんだ表情を見せた。「お金の大半は、もう首都の妹に送ってしまいました」


やはり管理人の少女の言った通りだった。フリーデは小さく息をついた。普段は冷ややかな口調が知らず知らずのうちに和らぎ、やるせなさと痛ましさがにじむ。「あのお礼は……あなた自身に、もっといい暮らしをしてほしくて渡したのよ」


「たまには、自分のことももっと大事にしてあげて。たとえば美味しいお菓子を買うとか、きれいな服を何着か新しく揃えるとか」


「いいんですよ!私は生まれつき片目が見えませんし、こんな障害のある人間に、もともと先なんてありませんから。でも、妹は違うんです!」妹の話になると、レシナの目には優しい光がきらめいた。「あの子は賢くて、明るくて大らかだから、きっと将来は出世します……あの子さえ幸せに暮らせるなら、私も幸せなんです」


彼女は軽く首を振り、素朴で純粋な笑みを浮かべた。


「じゃあ……せめて、その着古したドレスくらいは替えたら?」


「駄目です。このドレスは、十二歳の誕生日に母がくれたプレゼントなんです。母は、私が大きくなったら、きれいに着飾って王都の舞踏会に出るところを見たいと言っていました。私にとってはかけがえのない服だから、絶対に替えたりしません」


「とにかく、今の暮らしで十分充実していますし、大きなお金がかかるわけでもないんです。せっかくのお金なら、本当に必要としている人に残しておくべきでしょう?」


レシナは立ち上がり、壁際の木の棚へ歩み寄って、引き出しの一つをそっと開けた。中には何十通もの手紙がきちんと重ねて収められていた。


「妹が送ってくれた手紙は、全部ここに大事にしまってあるんです」慈しみに満ちた眼差しで手紙の束を見つめるその様子から、宝物のように大切にしているのは一目で分かった。


「私はね、『想い』っていうのは、どんなに遠く離れていても相手に届くものだと思うんです。首都にいるあの子も、きっと私のこの気持ちを感じてくれているはずですよね」


「これがいわゆる『血は水よりも濃い』ということなのかもしれない。私は魔導素材で構成された化身だけれど、この気持ちが少しは分かる気がする。それはたぶん……私が『主』に抱いている、あの執着と情のようなものなのだろう」フリーデは胸の内でそうつぶやいた。自分を創った主を探し、過去に何が起きたのかを突き止めるために、今こうしてこの絶域城に立っているのだ。


「そういえば……!これ、今月の空き時間に編んだマフラーなんです。もうすぐ冬が来るから、寒くなる前に妹に送りたくて。フリーデ、事務所の知り合いの中に、誰か首都まで荷物を届けてくれる人はいませんか?お願いしますね!」


彼女は棚からきれいに包装された紙袋を取り出し、銀髪の少女に差し出した。紙袋を受け取ると、フリーデは重々しく頷いた。


「さあ、この話はおしまい!二日後の『祭礼節』のことを話しましょう!一年に一度の、いちばん盛大なお祭りなんですよ!」レシナは笑って話題を変えた。


「お祭りには何か特別な催しがあるの?」


「催しなら山ほどあります!朝早くから、街の男の子たちは顔に木炭を塗るんです。女の子たちは真っ白な『儀式服』に着替えて、葦の草を持って、彼らの頬を軽く叩いてまわります。これは邪気と災厄を追い払い、幸せで明るい未来を迎えるという意味なんです!かわいい女の子ほど、もらえる『返礼のブローチ』が多くて、それだけ人気があるということなんですよ!」


「午後になると、みんなが城の東の出口に集まって、紙で作った『本の模型』を一緒に燃やして、来年はみんながもっと賢くなれますようにと祈るんです!」


「そして夜には、市政府が中央広場に大きな舞台を組んで、有名なサーカス団や吟遊詩人や歌手を招いて公演をするんです!一年でいちばん賑やかなひとときなんですよ!」


「本当に賑やかそうね」


「だから……」レシナは突然、手品のようにポケットからメジャーを取り出した。包帯に覆われていない左目いっぱいに笑みを浮かべ、メジャーを伸ばしながらフリーデに迫ってくる。「おとなしくじっとしていてくださいね!今からあなたの寸法を測って、いちばんきれいな儀式服を仕立ててあげますから!」


「でも、生地と仕立ての費用は……」


「フリーデがくれたあのお金で、もう十分すぎるほど助かっています!この服は、私のささやかな気持ちということにさせてください!」レシナは、断られるのを恐れるように慌てて彼女の言葉を遮った。


「……それなら、お願いする」


翌日、フリーデはいつものように雲雀事務所へ向かった。


部屋の扉を押し開けると、カジュアルなセーターとロングスカート姿のオーロラが応接用のソファに座り、のんびりとハーブティーを淹れているところだった。


「おはよう」フリーデは挨拶した。


「おはよう。今日は何か用?」


「オーロラ、虹湾王国の法律には詳しい?」腰を下ろすと、フリーデは単刀直入に尋ねた。


「もちろん!事務所を経営するために、この国のいろんな法律は多少なりとも研究してあるんだから」


「レシナの遺産相続の件を調べてほしいの。奪われた家の財産を取り戻せる、合法的な道はない?調査費用は全額私が払う」フリーデの表情は真剣だった。


意外なことに、オーロラはすぐには承知せず、両腕を組んで小さくため息をついた。


「遅かれ早かれ訊かれると思ってた。実はね、あの件はとっくにこっそり調べてあるし、当時の裁判記録も取り寄せてある」


「結論を言うと、無理。少なくとも虹湾王国の今の法律では、レシナが本来の財産を取り戻すのは絶対に不可能よ」


「なにしろ彼女の両親は事故で急死して、生前に遺言を残していなかった。あの悪辣な親戚たちは大金を積んで王都随一の弁護士を雇い、『レシナは未成年』で『障害があって行為能力がない』という理由で、裁判所の合法的な手続きを通して、一家の全産業の『管理権』を手に入れた。そしてその管理期間中に、無数の法の抜け穴をついて、資産を少しずつ移していったの。今ではあの産業は、法律上れっきとした他人の合法的な財産になってしまってる」


「そんな……」フリーデは悲しみと悔しさをにじませた。


「もちろん、あえて言うなら『理屈抜き』の方法はあるけどね。いつかあなたが六階以上の大魔法使いになって、首都まで乗り込んで彼女のために正義を貫くなら、王国内閣があなたの実力を恐れて、特例で財産を取り戻してくれるかもしれないわよ」


オーロラは手を振りながら、半ば冗談めかして言った。


六階魔法使い。それはすでに、現世の凡人が触れ得る頂点だ。たった一人で千軍万馬を相手取ることさえ造作もない。正義を貫くとは言っても、要するに絶対的な武力による威嚇にほかならない。


だが、フリーデ自身ははっきりと分かっていた。たとえレシナのために財産を奪い返すことが道義に適うとしても、そんなことのためにみだりに武力を振るい、社会の秩序を壊すつもりはない、と。


「ついでに言っておくと、うちでのアルバイトは正式な書面の労働契約を結んでない口約束だけだから、法律上は実は効力がないの。でも安心して。品行方正で成績優秀、おまけに善良なこの天才美少女様は、絶対にあなたを冷遇したり、約束を反故にしたりしないんだから!」オーロラは茶目っ気たっぷりにウインクした。


「教えてくれて本当にありがとう……」フリーデは真顔で言った。「今回の調査費用はいくら?」


「あら、いいのいいの。この費用は『新入職員の身元調査』の経費ということにしておくから!なにしろオーナーのあたしとしては、職員の周りの人間関係くらいは把握しておかないと、素性の知れない面倒に巻き込まれかねないもの」彼女は気前よく手を振り、少しも気にしていない様子だった。


「ありがとう、オーロラ」


ソファに端然と座った銀髪の少女は、深々と頭を下げて礼を言った。


貴族の財産移転が絡む昔の案件が、こんなに簡単に調べられるはずがないことは、彼女にも分かっていた。オーロラはとうに自分の胸のうちを見抜いていて、前もって多大な労力と人脈を費やし、これほど綿密に調べておいてくれたのだ。


「それと、もう一つ。これは友人のレシナが自分で編んだマフラーなの。あなたの友人に頼んで、首都にいる彼女の妹に送ってもらえない?」フリーデはあの紙袋を取り出した。


「お安い御用!あたしに任せて。あなたの友達の荷物、必ず無事に届けてみせるから」オーロラは快く紙袋を受け取った。


この数日、オーロラもまた意気込んで、無序空間の奥へ分け入るための探検用具を揃えていた。空間の指輪には、高級キャンプ用品、クライミングロープ、照明水晶、それに何ダースもの高価な「造餐術」と「造水術」の魔法の巻物までぎっしり詰め込まれていた。


そしてフリーデが中央広場を通りかかるたびに、無数の作業員たちが汗だくになって祭り用の巨大な舞台を組み立てているのが見えた。


ついに、一年に一度の「祭礼節」がやって来た。


早朝の最初の光が差し込むころ、フリーデが階段を下りると、すでに起き出して忙しく立ち働いているレシナの姿があった。


「おはようございます、フリーデ!早くこの儀式服に着替えてください!」


階段を下りてきたフリーデを見ると、レシナは興奮した様子で机の上の大きな紙箱を指さした。


フリーデは気づいた。包帯に覆われていない彼女の左目の下には薄い隈があり、紙箱を指すその指先には、針の先で刺したばかりの小さな赤い点がいくつも、かすかに見て取れた。


祭りに間に合わせようと、ほとんど徹夜でこの服を仕上げたのだろう。


紙箱の中には、精緻なフリルをあしらった銀白のドレスと、真っ白なヴェールが静かに納められていた。


フリーデは紙箱を抱えて部屋に戻り、着替えた。再び扉を押し開けて出てきた瞬間、居間全体がぱっと明るくなったかのようだった。


純白の儀式服は、しなやかな体の線に完璧に沿っていた。きめ細かな絹と、幾重にも重なる白いチュールが歩みにつれて軽やかに揺れ、見る者の想像をかき立てる。滝のような銀色の長い髪と、清冽な気配とが相まって、今のフリーデはまさに神話から抜け出した聖なる天使のようで、息を呑むほど美しかった。


「わあ……!」レシナの目が輝き、思わず感嘆の声を漏らした。「フリーデ、本当にきれいです……!高雅で聖らかで、まるで伝説の中で祝福をもたらす首席祭司みたい!」


「これを持てば、完璧です!」ひとしきり感嘆すると、彼女は背後から赤いリボンで束ねた翠緑の葦を取り出し、フリーデの手に押し込んだ。


「あなたは着替えて一緒に行かないの?」フリーデは葦を握ったまま、いぶかしげに尋ねた。


「私はいいんです!フリーデはこんなにかわいいんだから、今日はきっとコンテストで一位を取れますよ!」


「一位?」


「『除魔返礼』のコンテストですよ!」


「さあさあ、早く出かけましょう!」そう答えると、小柄なレシナはフリーデの背後に回り込み、その柔らかな両手で懸命に彼女を戸口の外へ押し出した。


フリーデは彼女の熱意に抗しきれず、押し切られるようにして玄関を出た。


早朝の寒風はいくらか肌を刺したが、明るい朝日がすぐに寒さを追い払った。


朝の通りはすでに早起きの市民でごった返していた。誰もが生き生きとした笑顔で、店先を掃除したり、祭りの料理を用意したりと忙しくしている。通りのあちこちで、同じような儀式服を着た女の子たちが葦の草を手に人混みを縫って歩いていた。だがそれ以上に多かったのは、わざと顔中に炭を塗りたくり、はしゃぎながら走り回る若い男の子たちだった。


「早く行って!葦でみんなの顔を軽く叩くんです!『邪気退散』と叫ぶのを忘れずに!」レシナはフリーデを人混みへと押しやった。


フリーデは覚悟を決め、顔に炭を塗った少年たちのほうへ歩み寄った。


「お、おはようございます」


「わあ!お姉さん、おはよう!」天使のようなフリーデを見た少年たちは、たちまち顔を赤くして、元気よく挨拶を返した。


フリーデはぎこちなく葦を持ち上げ、真っ黒な頬の上で軽く数回振った。


「お姉さん、僕たちの邪気を払ってくれてありがとう!すごくきれいだから、この二つの造花のブローチをあげる!」少年たちはポケットから精緻な造花のブローチを二つ取り出し、顔を赤らめながらフリーデの手に押し込んだ。


「レシナ、今年は本当に参加しないの?」


少し後ろでは、近所の婦人たちが何人か寄ってきていた。人々の邪気を払うフリーデを眺めながら、残念そうにレシナに言う。「うちの子なんて、わざわざブローチを取っておいて、あなたに直接渡したがっていたのに!」


「あら、私はもうこんな年ですから、いいんですよ!それより早くその子を呼んで、ブローチはフリーデに入れてもらってください!」レシナは笑いながら慌てて辞退した。


レシナが婦人たちと世間話をしていると、今度はまだあどけない男の子たちの一団がフリーデの前に駆けてきた。


「きれいなお姉さん!キャンディをくれたら、ブローチをあげるよ!」「そうだ!キャンディちょうだい!」彼らは騒がしく手を差し出した。


子供たちの要求を聞いて、フリーデはポケットを探ってみたが、お菓子の類は何一つ持ち合わせていなかった。


「ごめんなさい、キャンディは持っていないの」


「ええーっ、キャンディがないならブローチはあげられないよ!」「お姉さん、ばいばい!」


キャンディがないと聞くや、子供たちは蜘蛛の子を散らすように、キャンディを持っている別の女の子を探しに駆けていった。


「どうでした?ブローチはいくつ集まりました?」


子供たちが走り去るのを見て、レシナが興味津々で歩み寄ってきた。フリーデは手のひらを開き、もらったばかりの二つのブローチを見せた。


「わあ、出かけたばかりでもう二つも!フリーデ、すごいです!早く胸につけましょう!」


フリーデは言われた通りにブローチを左肩の布地につけながら言った。「さっき子供たちがキャンディとブローチを交換しようと言ってきたけど、あいにく持っていなくて」


「ああ!そんな絶好の機会を逃すなんて!もったいない!」レシナは両手で頬を包み、フリーデ以上に悔しがった。


「今日は何としてもあなたに一位を取らせなくちゃ!」そう言うと、彼女は身を翻して、もう店を開けていた街角の雑貨店へ駆けていき、帝国のプランテーションから輸入された高級チョコレート菓子をひとつかみ買い込んで、フリーデのポケットに詰め込んだ。


「同じ失敗を二度と繰り返してはいけません!」


「ずいぶん本気なのね」闘志に燃えるその姿を見て、フリーデは思わず小さく笑い声を漏らした。


「これは戦争なんです!この街の『いちばんかわいい女の子』が誰なのかを決める、硝煙なき戦争なんですよ!フリーデはもともと生まれつきの美人なうえに、この私が手ずから縫った無敵のドレスまであるんですから、勝ったも同然です!絶対に一位を取りましょう!」レシナは熱弁を振るい、決戦前の檄を飛ばした。


「行きましょう!中央広場へ!あそこなら人出はもっと多いはずです!道すがらの通行人も絶対に逃しちゃいけません!」


やる気に満ちたレシナの先導のもと、フリーデは葦で通行人の顔を叩いて邪気を払いながら、差し出される返礼のブローチを受け取っていった。三十分と経たないうちに、彼女の白いドレスにはもう十数個の色とりどりの造花のブローチが留められていた。


「僕の厄払いをお願いします!」今度は内気そうな青年が正面から歩いてきた。フリーデは慣れた手つきで進み出て葦を振り、ブローチをもう一つ手に入れた。


遠くない通りの向こう側では、オーロラが、同じくリエンリス学院から来た同級生たちと談笑していた。彼らは休暇を利用して、卒業研究の実地調査のためにわざわざ絶域城まで来ているのだった。


「おやおや、うちの高慢な『美少女』様は今日はあまり調子が良くないみたいだな?ブローチの数がずいぶん寂しいじゃないか」男子学生の一人がオーロラの身につけた哀れなほど少ないブローチを見て、思わず大声で笑った。


「ふん!美しさというのは、外見だけじゃなく、心の高潔さも含むのよ!胸と太ももしか見ないあんたたち下品な男には、この天才美少女様の内面の美なんて永遠に理解できないんだから!」オーロラは遠慮なくあかんべえをして言い返した。


「この私に頼んでみるかい?甘えてみせたら、手持ちのブローチをやってもいいぞ」ちょうどそのとき、普段着姿のルーンがぶらぶらと彼らのほうへ歩いてきて、笑ってからかった。


「しっしっ!この市庁の臭い親父、その年じゃとっくに市政府の配る独身者のブローチをもらう資格なんてないでしょ!」オーロラは嫌そうに手を振った。


「はあ、寄る年波には勝てんな。昔は私も、ブローチを持ってあちこち配り歩く純情少年だったんだがな」ルーンはわざとらしく悲しげに嘆いた。


絶域城の習わしでは、十歳から二十八歳までの未婚の男性だけが、市政府から女の子に贈るためのこの造花のブローチを受け取ることができる。


「オーロラだ」足を止めたフリーデは、遠くにいる半面の仮面をつけた金髪の少女に一目で気づいた。


「知り合いの方ですか?」傍らのレシナが興味深げに尋ねた。


「そう、彼女はリエンリス学院の学生なの。連れていって紹介する。ついでに、妹さんの学校での近況を彼女に訊けるかもしれない」フリーデはレシナの手を取って提案した。


「うーん……やっぱり、やめておきます」


その言葉に、レシナの体がわずかに強張った。そっとフリーデの手を振りほどくと、覆われていない左目に複雑な感情がよぎり、それから、いくらか気後れと弱さの混じった苦笑いを浮かべた。「私……こんな格好じゃ、首都から来た大学生の方たちと知り合うには不釣り合いですから。ここであなたを待っています」


フリーデは彼女がなぜ急に尻込みしたのかよく分からなかったが、無理強いもせず、ただ頷いて、一人で進み出てオーロラに挨拶した。


「やあ、今日はずいぶん人気者じゃない!こんなにブローチもらっちゃって」フリーデが近づいてくるのを見たオーロラは、彼女の身にびっしりと留められたブローチに目を奪われた。


「レシナが手伝ってくれたおかげで、こんなに集められたの」


「あたしたちは親友で、雇い主と従業員の関係でもあるけど、このコンテストでは、この天才美少女様は絶対に負けを認めないんだから!最後の勝利は必ずあたしがつかむ!」


勝負欲に火をつけられたオーロラはそう啖呵を切ると、葦の草を手に遠くの少年の群れへと突撃していき、猛烈な「票集め」を始めた。


「おばさん!お宅の子、邪気払いに来ますか?」「あら、じゃあお願いするわね、レシナ!」


「おはようございます、おじさん!息子さんのブローチはまだありますか?呼んできて、フリーデに邪気を払ってもらいませんか?」


オーロラと別れたあと、フリーデはレシナの先導で、街中をしらみつぶしに回る「邪気払い巡回」を始めた。


ここでフリーデは、レシナの驚くほど広い人脈を目の当たりにすることになった。近所の住人から紡績工場の同僚、雑貨店の店主まで、ほとんど誰もが彼女の元気で明るい呼びかけに応じて、おとなしく家のブローチを差し出した。すでに意中の相手がいる男の子に断られることもたまにあったが、レシナはそれでもくじけず、終始高い闘志を保っていた。


「あなたの悪運を払わせてください」「ブローチをくださったら、美味しい輸入チョコレートと交換できますよ!」


フリーデも当然、手をこまねいてはいなかった。レシナの作戦に懸命に合わせ、一回一回の邪気払いの儀式を真面目にこなしていった。


二人の足は中央広場、商店街、噴水公園を巡り、絶域城の市街地のほぼ半分を一回りした。正午になって、二人はようやく終点の中央広場に戻ってきた。


午前中ずっと駆け回って声を張り上げたせいで、レシナはとっくに汗びっしょりになっていた。右目に巻いた医療用の包帯まで汗に濡れて、その下の右目の輪郭がうっすらと透けている。顔には疲れがありありと浮かんでいたが、口元には晴れやかな笑みが浮かんでいた。


「一つ……二つ……全部で七十五個のブローチ!」


フリーデはうつむいて、身につけた戦利品を数えた。七十五個もの色とりどりの造花のブローチが、純白の儀式服の胸と背中いっぱいにびっしりと留められ、まるで生花で編まれた色鮮やかな羽衣をまとわされたかのようだった。


「行きましょう!早く大会の受付所へ数を登録しに!七十五個、これなら絶対に一位を取れます!」


レシナはフリーデの手を引き、子供のようにはしゃぎながら、市政府の設けた受付所へ駆けていった。


受付所に座って登録を担当していたのは、なんと市庁顧問のルーンと、その同僚数名だった。


「こんにちは、お美しいお嬢さん方。今日は随分と豊作のようですな!」


フリーデのその大げさな「ブローチの鎧」を見て、ルーンは思わず感嘆の声を上げた。


「七十五個もあるんですよ!」レシナは誇らしげに胸を張った。


「驚きましたな。よし、登録しておきましょう。フリーデさん、七十五個」ルーンは笑いながら名簿に数字を書き込んだ。


「七十五個……?」可憐な、しかし挫折感に満ちた声が傍らから聞こえた。「フリーデ……いくらなんでもやりすぎでしょ……」


フリーデが振り返ると、ちょうど受付所に着いたばかりのオーロラがいた。がっくりとうなだれて、自分の身につけた哀れなほど少ないブローチを見つめ、力なくため息をついている。


「あたしなんてありったけの力を振り絞って、色仕掛けで何度も流し目まで送ったのに、結局三十五個しか取れなかった」


「あなたの魅力には、完全に脱帽したわ」彼女は両手を広げ、降参のポーズをとった。


「これは私一人の手柄じゃない。主にレシナの人脈と努力のおかげよ」フリーデは笑って、傍らの少女に手柄を譲った。


「抗議!不公平よ!二対一じゃない!」オーロラは悔しそうに拳を振り回した。


「彼女のブローチの数を二で割っても、君はまだ負けているがね」登録席に座ったルーンが容赦なくとどめの一撃を加え、一同はどっと笑った。


「ともかく、おめでとう、フリーデさん。ブローチ七十五個。この数なら、今年の一位は間違いなしです」ルーンは笑って言った。


彼女たちが話している間にも、遠くから儀式服を着た若い少女たちが数人歩いてきた。彼女たちは談笑しながらカウンターの前に来て、身につけたブローチの数を登録しようとしていた。


正午が近づくにつれ、広場に集まる人出はますます増えていった。人々の目は、受付所の後ろに山のように積まれた品物へと次第に引きつけられていった。係員たちが倉庫から、紙で作った「模型の本」を一束また一束と運び出しているのだ。


「次の催しが始まりますよ!『紙の本焼き』の儀式です!」レシナはフリーデの腕に腕を絡ませ、興奮して前方を指さした。


「こんなにいろんな本があるのね」フリーデは視線を巡らせた。紙で作られた本の模型は多種多様で、魔法の工具書、歴史の教科書、恋愛小説まであった。それらの模型は太い麻縄で束ねられ、人々の見守る中、城の東の空き地へ運ばれて一斉に焼かれるのを待っていた。


少女たちが足を止めて眺めていると、市政府の腕章をつけた係員が一人、小走りでフリーデの前にやって来た。


「フリーデさんでいらっしゃいますね?今年の『除魔返礼』コンテストで圧倒的な一位を獲得され、おめでとうございます!このあとのパレードでは、列の先頭を歩いて、皆さんを焼却地点まで先導していただきたいのですが!」


「列を先導?何か特別な儀式をする必要があるのですか?」フリーデは少し面食らった。


「いえいえ!葦の草を持って先頭を歩き、時々両側の民衆に向かって振って、一位の風格を見せていただければ結構です!」係員は笑って説明した。


「緊張しますか?大丈夫、私がずっと横で見守って、応援していますから!」レシナはフリーデの手を握りしめて励ました。


「そうすることで、みんなが喜んでくれるなら……やります」フリーデは手の中の葦を握りしめ、真剣に頷いた。


広場で簡単な前座の公演がいくつか行われると、場の空気は最高潮まで盛り上がっていた。フリーデも指示に従って、パレードの列の先頭に立った。


彼女が所定の位置に立ったその瞬間、賑やかな鼓笛の音が高らかに鳴り響いた!


紙の本を満載した手押し車を押す係員たちが城の東の出口へ向かってゆっくりと進み始め、手押し車の後ろには、市民からなる笛吹きと太鼓の楽隊が続いた。


「出発!」通りの両側の人混みに立つレシナが、両手を口に添えて、フリーデに向かって大きく歓声を上げた。


その声を聞いて、フリーデは深く息を吸い込み、足を踏み出した。


彼女の優雅な歩みにつれて、大パレードの列がゆっくりと進み始めた。周囲の民衆は、いちばん美しい花を追う蜂や蝶のように、列の両側に群がった。


陽気な歌声と楽器の音が織り合わさり、絶域城全体が沸き立つカーニバルのように、生命力に満ちあふれていた。


列の最前列を歩く銀髪の少女は、塵一つない精緻な白いチュールのドレスをまとっていた。その白くなめらかな肌は陽光を受けて、目を離せなくなるほど聖らかな光を放っている。翠緑の葦を手に、音楽のリズムに合わせて軽やかに振るその姿は、まさに本物の女神が人の世に降り立ったかのようだった。


「祭礼節おめでとう!」「悪運退散!」


通りの両側は、道を埋めて歓迎する民衆でごった返していた。誰もが両手や絶域城の市旗を熱っぽく振っている。賑やかな音楽が天まで響き、誰の顔にも心からの喜びの笑みがあふれていた。この感染力に満ちた歓喜の光景に、いつも無表情なフリーデも、思わず人の心を揺さぶるような優しい微笑みを浮かべた。


パレードの列はゆっくりと街のいくつかの主要な街区を通り抜けた。十数分後、ついに城の東の出口の外にある広い空き地に到着した。


フリーデは予定の地点で足を止めた。後方の係員たちが進み出て、紙で作った本の模型を空き地の中央に一つまた一つと積み上げ、燃料油を注ぎ、最後に松明に火をつけた。


「フリーデさん!手に持った葦の草を火の中へ投げ入れてください!これは過去一年の悪運と災いを焼き尽くすという意味です!」


係員の呼びかけを聞いて、フリーデは頷いた。ほっそりとした腕を上げ、朝からずっと手にしていた葦の束を、燃え盛る炎の中へそっと投げ入れた。


天を衝く橙紅の火の光は、街の人々の知恵と平安を祈る願いを乗せて、空高く駆け上った。人々は火を囲んで古い歌謡を歌い、声を揃えて歓声を上げた。数十分後、炎が紙の本を灰燼に変えてから、ようやく人々は満ち足りた笑い声の中で次第に散っていった。


ずっと人垣の外側で見守っていたレシナが、このときようやく小走りでフリーデのそばにやって来た。フリーデの手をぎゅっと握り、興奮気味に言う。


「フリーデ、さっきのあなた、本当に素晴らしかったです!今日のお祭りでいちばん美しくて、いちばん輝いていた主役は、間違いなくあなたです!」


「実は、特別なことは何もしていないのだけど」フリーデは少しはにかんで笑った。


「そんなことありません!さっきみんながあなたを見ていた目、それにあの歓声!あなたがどれだけ人気があるかの証拠ですよ!」レシナは両手を広げ、周囲でまだパレードの盛況を熱心に語り合っている民衆を指した。


「さて、みんなはこれから広場に戻って場所取りをして、夜の公演を待つんです。でも、あなたの役目はまだ終わっていませんよ!夜の催しが終わる前に、舞台に上がって一位専用の賞品を受け取ってもらうんですから!」


「分かった」


「行きましょう!私たちも広場で屋台を見て回って、夜の催しが始まるのを待ちましょう!」


二人の少女は手をつなぎ、人の流れに沿って中央広場へと歩いて戻った。


夜の帳が次第に下りてきた。道すがら、二人は歩いては立ち止まり、時には空に咲く絢爛な花火を見上げ、時には足を止めて屋台の祭りの軽食を味わい、あるいは夜市のさまざまな面白い遊びに挑戦した。


「ああ、また破れた……」


金魚すくいの水槽のそばにしゃがんだフリーデは、ぼろぼろになった紙の網を手に、水槽の中を泳ぎ回る金魚を見つめてぼんやりしていた。こうした遊びに触れるのは初めてで、鋼板を斬り裂けるほどの力も、ここではまったく役に立たない。紙の網は水面に触れた途端、濡れて破れてしまい、元気に跳ね回る金魚をすくい上げるどころではなかった。


「大丈夫、これにはコツがいるんです。長年の実戦経験を持つこの『金魚すくいの達人』の腕前を見ていてください!」


レシナは片手に食べかけの、マスタードのついた焼きソーセージを持ち、もう片方の手で手際よく新しい紙の網を取り上げた。左目をわずかに細め、水槽の中の魚をじっと見つめる。その眼差しは、まるで獲物に狙いを定めた猫のように鋭かった。


「この子……!」


突然、彼女の手首が翻り、紙の網が急降下する鷹のように真っ直ぐ水中に突き刺さった!網が完全に水面下に沈んだその一瞬、手首が再び巧みに上へ跳ね上がる——水しぶきが四方に飛び散る中、丸々と太った金魚が一匹、紙の網に完璧に包まれて、もう片方の手に持った水入りの小さな椀の中へすとんと収まった。


「すごい!」一部始終を目にしたフリーデは、思わず拍手して称賛した。


「実はそんなに難しくないんですよ!コツは『速く、鋭く、正確に』、それから紙の面と水の接触時間をできるだけ減らすこと。フリーデの反射神経なら、何度か練習すればきっとすぐに覚えられます!」


二人はこうして食べては遊びを続けた。中央広場に戻ってきたとき、一輪の明月がすでに夜空高く懸かっていた。二人は見晴らしの良い場所を見つけて腰を下ろし、これから始まる公演を待った。


今夜の絶域城は灯りに満ち、街全体が狂乱の祭りの空気に浸っていた。普段はいつも高慢に構えているオーロラも、今この時ばかりは例外ではなかった。


「わあ!あの魔法の帽子をかぶった子熊のぬいぐるみ、かわいい……」


広場の周りをぶらついていたオーロラは、弓矢の射的の屋台の一等賞品に目を奪われていた。


彼女は近づいて遊びのルールを確かめた。屋台が用意した先端を丸く削った木の矢を使い、指定された高台の上のぬいぐるみを射落とせば、そのぬいぐるみを持ち帰れる。


「ふん!この程度の遊び、この天才美少女様には造作もないわ!こっそり一階魔法の『克敵機先(トゥルー・ストライク)』で狙いを補助すれば、絶対に一発必中よ!」オーロラは自信たっぷりにつぶやいた。


「でも、魔法を使ってズルをするのはルール違反ですよ……」フリーデに手を引かれて屋台の裏手に回り込んでいたレシナが顔をのぞかせ、いたずらっぽく舌を出した。昼間は顔を合わせる勇気のなかった首都の学生が、今は子熊のぬいぐるみ一つのために頭を抱えている。ちっとも怖そうには見えなかった。


現場を押さえられたオーロラは頬を赤らめた。仕方なく、おとなしく財布を取り出して矢を十本買い、実力で挑戦することにした。


最初は矢をつがえる姿勢からしてどこかぎこちなかったが、魔法学院の優等生である彼女の学習と修正の能力は、驚くべきものだった。何度か続けて外したあと、彼女は手首の角度と弓を引く力加減を絶えず調整していった。


「ヒュッ——パン!」


ついに、七本目の矢を放ったとき、木の矢は的の台座を正確に射抜いた!魔法の帽子をかぶった子熊のぬいぐるみが、その音とともに落下した。


「やった!当たった!」オーロラは嬉しそうに歓声を上げ、店主の手から賞品を受け取ると、しっかりと胸に抱きしめた。


「あらあら、さっきあんなに高いところから落ちて、子熊さんはきっと痛かったでしょうね?」レシナが近づいてきて、オーロラの腕の中のぬいぐるみを見た。その目は愛おしさといたわりに満ちている。「でも大丈夫、何日かしたら余った端切れで、きれいな新しいお洋服を縫ってあげますからね。それでお詫びということで!」


その言葉を聞いて、フリーデは思わず微笑んだ。この多才で善良な娘は、命のないぬいぐるみ相手にさえ、これほど優しい一面を見せるのだ。


その後、少女たちは席に戻り、舞台上のサーカス団の公演に見入った。


市政府が大金を投じて招いたこの巡業サーカス団は、極めて高水準の公演を見せた。魔術師が光と影のトリックで絢爛たる幻を生み出し、道化師がスリル満点の火呑みと水牢脱出を演じ、猛獣使いが雄獅子に燃える火の輪をくぐらせ、曲芸の少女が一輪車に乗って宙に張られた鋼索の上を危なげに渡っていく。どの演目も、客席から万雷の拍手と歓声を引き出した。


「素晴らしい!」「まあ、本当に落ちないの?」「さすが首都から来た一流のサーカス団だ!」


サーカス団の曲芸のほかにも、夜の催しには吟遊詩人の弾き語りと演劇の上演が織り込まれていた。祭り全体は夜九時まで続き、ついに最後を締めくくる演目——福引きと授賞式を迎えた。


「フリーデさん!早く舞台裏へ来て準備をお願いします!」


係員の呼び声を聞いて、フリーデの隣に座っていたレシナの顔に、たちまち喜びの笑みが咲いた。


「早く行ってください、フリーデ!この賞は、この街でいちばん美しくて、いちばん人気のある女の子だけに贈られる最高の栄誉なんですよ!」


フリーデは頷き、立ち上がって小走りで舞台裏の準備区域へ向かった。そこにはすでに、同じく儀式服を着た別の四人の少女が待っていた。そのうちの一人は、なんとさっきまで射的の屋台で腕前を披露していたオーロラだった。


「市民の皆様!これより、今夜を締めくくる授賞式を行います……!」司会の高ぶった声がマイクを通して広場中に響き渡った。「今年の『除魔返礼』コンテストで最も人気を集めた五人の美しい女の子たちを、盛大な拍手でお迎えください!また、市庁のルーン顧問をお招きし、彼女たちに祝福の証であるこの特別な賞品を授与していただけることを、大変光栄に思います!」


万雷の歓声と拍手の中、フリーデは先頭を歩き、後ろの四人の少女を率いて、きらびやかな照明の舞台へゆっくりと上がった。


「皆様、こんばんは。周知の通り、祭礼節は我らが絶域城の一年に一度の、祈福と厄除けのための盛大な祭りであります。今宵、私は市庁を代表して、この祝福の賞品をこの五人の美しい娘さんたちに授与できることを大変光栄に思います……皆様が過去一年の厄を焼き尽くしたのち、願いが叶い、平安で順調な新しい一年を迎えられますように……!」


ルーンは短くも真心のこもった挨拶を述べたあと、五人の少女のほうへ向き直った。傍らの司会が赤いビロードを敷いた盆を捧げて進み出る。盆の上には精緻な宝飾箱が五つ並んでいた。ルーンは微笑みながら、箱を一つずつ受賞者に手渡した。


フリーデが宝飾箱を開けると、中には彫刻の見事な小型の空間の腕輪が静かに納まっていた。この腕輪は絶域城で最も腕の立つ職人が丹精込めて作ったもので、外観が華麗なだけでなく、内部にはおよそ一立方メートルの収納空間が備わっており、市価は少なくとも数万新貨にのぼる。


「続いて、今年の一位の受賞者から皆様へご挨拶をお願いします!」司会はマイクをフリーデに渡した。


フリーデは深く息を吸い、マイクを手に、ゆっくりと舞台の最前方へ歩み出た。


「市民の皆さん、こんばんは。フリーデです」


彼女の清冽な声がマイクを通して、広場にはっきりと響き渡った。


「私はよそからこの絶域城に一時滞在しているだけの旅人ですが、この日々の中で、この街の熱意と温かさを深く感じました」


「今日のコンテストでこの栄誉をいただけて、何より感謝したいのは、レシナという名の女の子です。彼女が昼夜を問わず、勤勉に努力してこの美しい儀式服を縫ってくれなければ。彼女が私を連れて街の隅々を駆け回り、熱心に皆さんに呼びかけてくれなければ……私がここに立つ機会など、あるはずもありませんでした」


「私がこの賞をいただけたこと、その栄光のすべては、彼女のものです」


言い終えると、フリーデは客席に向かって深々と一礼した。広場にはたちまち、さらに熱烈な拍手と歓声が沸き起こった。


他の受賞者たちも次々に短い挨拶を終えると、少女たちは拍手に送られて舞台を下りた。


舞台裏の通路の出口を出ると、そこにはもうレシナが立って待っていた。


大粒の涙が、茶色の髪の少女の頬を絶え間なく伝い落ちていた。無事なほうの左目はとうに涙に濡れ、右目に巻いた包帯までもが、涙のにじみでいくらか湿って見えた。


「ありがとう……フリーデ……」


レシナは声を詰まらせて礼を言った。


嬉し泣きの晴れやかな笑みが、涙の跡だらけのその顔に浮かんでいた。儚くも美しく、見る者の胸を締めつける光景だった。


「私、ずっと……ずっと、妹がいちばんきれいな儀式服を着て、祭礼節の舞台で一位を取って、みんなの祝福を受けるところが見たかったんです……」


かつて彼女の母が、彼女が純白のドレスを着て王都の舞踏会に出るところを見たいと願っていたのと同じように。レシナは、自分の犠牲と献身によって、支え合って生きてきた妹がより明るく、より幸せな未来を手にすることを、ずっと望んできたのだ。


しかし、残酷な現実は、彼女が妹の成長をその目で見届けることを許さなかった。そこで、この想いを託す先を失った彼女は、妹への愛と期待のすべてを、目の前のこの銀髪の少女に注ぎ込んだのだった。


そして今夜、彼女が手ずから縫った衣装をまとい、舞台の上で光を放つフリーデは、彼女が心の奥底に秘めていたあの夢を、完璧に叶えてくれたのだ。


「ありがとう……私の作った服を着てくれて……コンテストで一位まで取ってくれて」


レシナはもう高ぶる感情を抑えきれなかった。勢いよく飛びついて、フリーデをきつく抱きしめる。温かい喜びの涙があふれ出し、フリーデの純白で聖らかな襟元に滴り落ちた。


「ありがとう……手の届かないはずだった夢を叶えてくれて。今が、私の人生でいちばん幸せで、いちばん素晴らしい時間だと言えます……!何年も、何年も経ったあとでも、今日起きたことのすべてを、私は絶対に、絶対に忘れません!」


この何一つ隠すことのない抱擁は、最も真実で、最も純粋な感情を伝えていた。肌の触れ合う温もりが、かつて傷ついたフリーデの心を、次第に温めていった。


別離と悔恨が残した傷跡が、今、この優しい幸福感にそっとならされていく。レシナはやっとキャンディを手にした子供のように、フリーデの腕の中で安心して寄り添い、泣いていた。この出会いをあまりに大切に思うからこそ、これほど強く抱きしめているのだ。


「私もよ」


フリーデはその金色の瞳をゆっくりと閉じた。両手を伸ばし、優しく、しかし確かに、腕の中のこの小柄で強い少女を抱き返した。


「この日々、そばにいてくれてありがとう、レシナ」

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