第二十二章 新たな仲間
「あんた……どうしてここにいるの!?」彼女は腰に手を当て、背後から入ってきた思いがけない訪問者を険しい顔で睨みつけた。
「どう見ても、お前は俺にきちんと感謝すべきだ」ウェルズは少しも引かずに言った。
爆発音が周囲の注意を引いたのは明らかだった。人目につきたくない少女は、白い手で手招きした。
「もういい、とにかく中に入ってじっとしてなさい!」
迎え入れられたウェルズは扉の内に入り、室内の調度を見渡した。壁には美しい絵画が何枚か掛かり、彼の泊まっている部屋よりずっと装飾品が多い。少女の衣服は化粧台の脇にきちんと畳まれていて、その几帳面な暮らしぶりを物語っていた。
ウェルズを自分の部屋に座らせると、彼女は扉へ駆け寄り、何があったのかと尋ねに来た給仕たちに金を握らせてあしらった。
「馬鹿なくせに、金はずいぶん持っているんだな」椅子に座ったウェルズは、給仕をあしらう彼女を眺めていた。
「さてと」
あしらい終えると、彼女はすぐに扉を閉め、両手を腰に当てて椅子に座るウェルズを見据えた。
「まず一つ目の質問。どうして私がここに泊まってるって分かったの?それに、あの宝石が爆発するってどうして知ってたの?」
「簡単なことだ。標記魔法と窺秘の眼さ」
「うわ、気持ち悪い……」それを聞くなり、彼女は嫌悪もあらわに顔をしかめた。「変態……!ストーカーに覗き魔!」
「俺がいなかったら、今ごろ爆発で煤だらけになっていたところだぞ。そのきれいな金髪も鳥の巣になっていたかもな……まあ、今もそう見えなくはないが。それを黒焦げにせずに済ませてやった俺は、お前の大恩人じゃないのか?」ウェルズは淡々と問い返した。
「私の髪はちょっと癖があるだけよ……!」彼女はこめかみに青筋を浮かべ、不満げに頬を膨らませた。「だからって、あんたがストーカーだって事実は消えないんだから。私に付けた印記を消しなさい!じゃないと警察を呼ぶわよ……!」
「はいはい、もう解除した」ウェルズは手のひらに魔力を集め、軽く数回叩いた。
「じゃあもう帰っていいわよ。あんたなんか歓迎してないし、見送りもしないから」彼女はどうぞと手で示した。ふてくされた顔には、どこか可愛らしさもあった。
「もちろん、用があるから残っているんだ」ウェルズはかすかに笑った。「この杖を分解したいんだろう?ちょうど俺にはその技術がある」
「あんたに何の関係があるのよ?たとえ私の美貌に惑わされて、性欲に駆られて熱心に手伝いたくなったんだとしても、あんたみたいな嫌な奴に好意なんて持たないし、関わり合いになるのもごめんよ!」彼女は蔑むように言った。
「ふふ、お前の自惚れは冗談として聞き流しておこう。鳥の巣頭に興味はないんでね」
彼女の抗議には取り合わず、彼は一拍置くと、声音を深く沈めて言った。
「手伝いたい理由はただ一つ。俺もこの杖の内部を分析したいからだ」
「この杖は……終末救贖者と関係がある。そうだろう?」
先ほどまでの蔑みと嫌悪は跡形もなく消え、拒絶の色が引いたその愛らしい顔に浮かんでいたのは、胸の内を言い当てられた驚きだった。
「どうしてあんたが……」
「俺も奴らを調べているからだ」
ウェルズは空間の指輪から、外見の意匠がどこか似た杖を一本取り出し、そっと卓上に置いた。
「俺たちは……仲間になれるはずだ。そうだろう?」
彼はかすかに笑った。
「この杖は……終末救贖者の連中が使っていたものなの?」
金髪の少女は手にした杖を澄んだ青い瞳に映し、仔細に眺めた。
「そうだ。奴らの手から取ってきたサンプルだ。これがあれば、お前の買った杖が邪教徒から流れたものかどうか見比べられる」
「どうやって手に入れたの?」
「決まっているだろう、終末救贖者の構成員をまとめて始末したのさ。中には五階の鷲魔も一匹いた。場所が知りたいなら教えてやる。今行けば、荒野に野ざらしになった奴らの死骸が見られるはずだ。ああ、教廷の連中が慈悲深く焼いてやっているかもしれないがな」
「あんた……一人で片付けたの?しかも教廷まで絡んでるって……?どういうことよ?」金髪の少女は驚いて口を覆った。
「仲間たちとだ。教廷の狂信者どもには囮をやらせた」ウェルズは逆に問い返した。「今度は俺が訊く番だろう?お前はどうなんだ?なぜあの連中にそこまでこだわる?」
「決まってるでしょ、あの狂った連中を罰するためよ。あいつらは人の皮を被った悪魔そのものなんだから」
彼女は当然のように答えたが、どこか前もって用意していた台詞のようにも聞こえた。ウェルズには、理由がそれだけではないように思えた。
彼女は杖を置くと、自分の作業台を手で示してウェルズに言った。
「できるっていうなら、分解してみて。道具は全部そこにあるから」
「そういえば、まだ自己紹介してなかったわね。私はラロリア、魔武を兼ね修めた天才少女よ」
「ウェルズでいい。陰影の使役が得意だ。もう俺を追い出す気はなくなったのか?」彼は眉を上げ、わざとらしく驚いてみせた。
「はいはいはい、お見それしました、ウェルズ様。さっさとその二本の杖を分解してちょうだい」彼女は面倒くさそうに青い瞳を逸らし、言い返す言葉もなく口元を波打たせた。
「『はい』は一度で十分だ」
ウェルズは笑って答えた。
杖は製作が難しくコストもかさむため、普通は闇市に出回らない。それがここにあるとなれば、二人が疑念を抱くのも無理はなかった。
ウェルズは二本の違いを仔細に見比べた。紋様にはいくつか似通ったところがあるものの、全体の外観はやはり異なる。
「分解してみなけりゃ分からないだろう?そもそも、邪教徒風の杖を人に贈るような馬鹿がどこにいる?」ウェルズは独りごちて小さく笑うと、法器職人の切断工具一式を手に取り、切断に取りかかった。その背後で、金髪の少女は瞬きもせずに彼の手元を見つめていた。
彼はまず切刀を宝石の隙間に差し込んで固定剤を切り、ペンチで宝石を挟んで引き抜いた。最後にこじ開け具で杖の先端の内部機構を分解すると、内に隠されていた彫刻紋様と銀めっきの導能石が露わになった。
二本とも同じ手順で分解すると、内部の要となる魔法陣が姿を現した。宝石で魔法を増幅するこの核心構造は両者瓜二つで、答えはもはや明白だった。
「やっぱり……この二つは同じ職人の手によるものね」
ラロリアは表情を曇らせ、清らかな声で続けた。
「この杖は第三軍団から流れたものよ。どうして軍の中に……軍需品を売って資金を集めてるってこと?」
ラロリアは軍から流出した方の杖を見つめた。刻まれた文字の大半は削り取られ、第三軍団の文字だけがかすかに読み取れる。
「あり得るな。奴らは軍備と引き換えに激能石を手に入れ、それをテロに使うつもりなのかもしれない」削られた文字に気づいていたウェルズも、そう推測した。
「ドミトリーのクソ野郎、金のためなら何だってやるってわけね」ラロリアは歯ぎしりした。
言い終えると彼女はまたため息をつき、憂いに沈んだ様子で続けた。「どんなに強欲な人間でも、狂人や狂信者と手を組もうなんて思わない。そのはずなのに、あいつは終末救贖者と手を組んで、激能石と軍の武器を連中と取り引きしてるなんて!」
「軍が絡んでいる……」
本来なら、ウェルズとて国家機構とは一切関わりたくなかった。国に指名手配されれば、面倒は際限なく続く。だがこの件は彼にとって何より重要で、たとえ命を落とそうとも惜しくはない。これを成し遂げることこそが、彼の生きる意味なのだ。
ラロリアは長いため息をつき、しばし考え込んだのち、憂い顔で両手の指を組んで思案した。「次は第三軍団の物資の流れを調べなきゃいけないみたいね」
「共和国軍にずいぶん詳しいようだな?」
「ふん、歴史の知識なら、あんたみたいな野良魔法使いよりずっと上なんだから……!」ウェルズにも知らないことがあると分かり、彼女は得意げに説明を始めた。「第三軍団は戦時に一万八千人、平時の編制は九千人。聖アトランテ共和国の三つの主力軍団の一つで、駐屯地はライカベサ南方の要塞。南部三省で編成された、ドミトリーの腹心の軍団よ」
「中に魔法の使い手はどれだけいる?」
「三階魔法使いが二人いる以外、取り立てて言うほどの敵はいないわ」
「それは結構……」情報を得るためなら、ウェルズにとって答えは前進の一択しかなかった。
「俺たち二人で南の要塞に潜入して、連中が一体何を隠しているのか見てやろう」
「私たちだけで?今すぐ?」ラロリアは彼の行動力に目を丸くした。
「っていうか、なんで当たり前みたいに『俺たち』なんて言ってるのよ!」我に返った彼女は拳を振り、顔を真っ赤にして抗議した。
「行きたくないなら好きにしろ。たとえ俺一人でも、奴らが何を隠しているのか必ず突き止めてみせる」ウェルズは彼女の反応に構わず、淡々と言った。
彼女は一瞬きょとんとしてから、むきになってふんと鼻を鳴らした。
「そんな格好いい台詞を言われたら、行かない私が臆病者みたいじゃない」
「行けばいいんでしょ、行けば!私だってあいつらが何をしてるのか突き止めたいんだから!」
ラロリアは指先で自分の金髪をくるくると巻いた。恥をかくのはまっぴらだし、何よりこれこそ、彼女がはるばる聖アトランテ共和国までやって来た目的でもあった。
「それに私、魔法錠を開けるのも得意なの。五階魔導師の秘密錠だって楽々開けられるわ。砦に潜り込むなら錠開けは欠かせないでしょ?」
「そんなに錠開けが上手いのか?まさか盗賊の家系じゃないだろうな?ことわざにもあるだろう、蛙の子は蛙、とな」ウェルズは皮肉った。
「違うわよ……!言っておくけど、私はすっごく高貴なんだから!」怒り心頭のラロリアは金髪を逆立てたが、獅子というより毛を膨らませた金色の猫のようで、威圧感など欠片もなかった。




