第一章 帝国到着
数日にわたって雲海を縫うように飛び続けた末、彼らはついに無尽の海を越え、東大陸にある帝国の海港に辿り着いた。しばしの休息ののち、シャーロットは再び翼を広げ、旅塵にまみれながらさらに十数日、昼も夜も飛び続けた。そうして一行はようやく、帝国の首都の外れにある荒れた丘に降り立った。
高みから見下ろすと、物欲の渦巻く巨大な都市が眼下に広がっていた。千万の人口を呑み込めるほどの鋼鉄の巨獣が、波のきらめく広大な湖のほとりに静かに蹲り、蛇のようにうねる一筋の川が帝都を二つに分けている。
これこそが「世界の渇望する都」と称えられる都市である。縦横に交差する漆黒の線路は巨獣の脈打つ血管のごとく、安価な労働力、粗い鉱石、そして眩い贅沢品を絶え間なく都市の奥深くへと送り込む。蒸気と機械の轟音とともに、それらは帝都の内で発酵し、数え切れない腐敗と汚穢、奢侈と美を生み出していた。
この矛盾の都では、世にも極端な対立が共存している。薄暗い路地には最も汚れた卑しい奴隷が身を縮め、豪華絢爛な劇場には神業の域に達した芸術家が立つ。自分の名前すら書けない茫然たる文盲がいれば、学識深い哲学の巨擘もいる。水を汲むのさえ苦労するか弱い美少女がいるかと思えば、手を一振りするだけで都市を跡形もなく消し飛ばせる聖階の魔法使いもいる。
浮世のあらゆる姿、あらゆる盛衰の風景を、世界の縮図のようなこの都市では、その一端なりとも垣間見られそうだった。
「あれは……天宮か?」
ウェルズは丘の上の強風を受けながら、遥か空の彼方を指さした。その声には珍しく、隠しきれない驚嘆が滲んでいる。これほど壮大な人造の浮遊物をその目で見るのは、生まれて初めてだった。
帝都の外縁の雲の上に、天を覆い日を隠す小さな都市が浮かんでいた。地上およそ二千メートルの高空に傲然と停泊し、底部は粗く巨大な岩塊を鋭い逆三角錐に削って地面へと向け、頂部には精緻な建築群が並んでいる。
ウェルズは目を細めた。質麗皇女は今ごろ、あの雲の上の都市にいるのだろう。
「そうよ」シャーロットは彼の視線の先を追い、淡々と答えた。
道なりに歩き、彼らはほどなく帝都の縁に着いた。
人混みに溶け込むため、シャーロットはつばの広い帽子を目深に被って額の竜角を巧みに隠し、体つきも気配も普通の人間の女性と変わらないほどに抑えていた。数十分後、馬車六台が並んで走れるほどの広い大通りを進み、一行はこの巨大な都の最も外側の街区に入った。
「ここ、本当に賑やかね」シャーロットは首を左右に巡らせ、両側に目移りするほど並んだショーウィンドウと、絶え間なく行き交う馬車の列を物珍しげに眺めた。
「でも……ここの人たちは幸せそうじゃない。誰の顔にも、心からの笑みなんて少しも見当たらない。こんなに華やかな都市なのに、足を止めて眺めようとする人が一人もいないなんて」フリーデはわずかに眉をひそめた。この都市の人々を案じているようだった。
「ここでは、時は金なり、そして金はさらに金を生む」ウェルズは両手をポケットに突っ込み、足早に行き交う通行人たちを冷ややかに見やった。「わずかな賃金のために、人々は進んで工場へ駆けつけ、最高の効率で自分の剰余価値を搾り取らせるのさ」
「あなたはどうするつもり?」フリーデは足を止めた。この奇妙な労働の光景に引きつけられたようだった。銀色の長い髪が風にかすかに揺れる。
「当然、まずは情報収集だ」ウェルズは振り返った。その口調は天気の話でもするように軽かった。「俺たちが相手にすべき敵は誰か、誰が刃として使えて、誰が足かせになるのかをはっきりさせる。それを見極めるには、まず伝手を作って、質麗皇女と繋ぎを取らないとな……今回の収穫を彼女に報告して、ついでにこの帝位継承の遊戯で彼女がどう動くつもりなのかも聞いておく」
「帝国の運命を左右できるほどの力を握っていながら、冷ややかに傍観する投機家でいたいだけなの?」フリーデは彼を見つめた。何か理解しがたいものでも見るような眼差しだった。「ウェルズ、あなたの手には聖階の強者がいるのよ!その気になれば、本当に平民を思いやり、仁政を敷く君主を立てることだってできる。あなたにとって、罪のない人々の苦しみは、駆け引きの持ち駒でしかないの?」
「誰があの帝冠をかぶろうと、俺には関係ない。俺が気にかける人間が誰にかぶらせたいか、それだけだ」ウェルズは足を止め、フリーデを真っ直ぐに見た。道徳の重荷など欠片もないその黒い瞳の冷たさに、彼女はぞっとした。「それに、誰に善を定義する資格がある?誰に悪を裁ける?彼女が暴君を推挙しようが、いっそ自分で盤面をひっくり返して皇帝になろうが、すべてを壊す邪魔者になろうが、俺はどうでもいい。俺は彼女の言うことだけを聞く」
フリーデの睫毛がかすかに震えた。深く息を吸い、胸に湧き上がる怒りを押さえ込む。退くどころか逆に一歩詰め寄り、温度のかけらもないウェルズの目を真っ直ぐに見返した。「もし……帝位の選択で私たちが衝突したら?私が守ろうと決めた人があなたの道を塞いだら、あなたは私まで一緒に片付けるの?」
ウェルズは強情と警戒に満ちたその瞳を見て、口の端にいくらか悪趣味な笑みを浮かべ、わずかに身を寄せた。「なら、お前が俺に取り入ってみればいい。俺の気が変わるかどうか、試してみろ」
「恥知らず」フリーデは冷たく鼻を鳴らし、わざと横へ二歩ずれてウェルズとの距離を取った。一秒でも長く彼の近くにいることが、自分の信仰への冒瀆であるかのように。
彼女は振り向き、ずっと黙っていたシャーロットに最後の希望を託した。「シャーロット、あなたは?高貴な竜なのに、彼の手に握られた、自我のない屠殺の刃に成り下がって平気なの?あなたの心には、正義を求める気持ちが少しもないの?」
「燭聖の命令は、彼の指示に従えというものだから」シャーロットは無邪気な目を瞬かせ、他人事のように言った。
「じゃあ、彼が罪のない人を無差別に殺せと命じたら?!」フリーデは問い詰めた。
「それなら、罪悪感を抱きながら罪のない人を無差別に殺す」シャーロットは率直に答えた。
「もういい、無駄な力を使うな。道徳の詰問なんて、こいつの心になら多少のさざ波くらいは立つかもしれないが、俺には鈍い音一つ響かない」ウェルズは会話を断ち切った。「そんな話はまだ早い。まず宿を見つけて腹ごしらえをして、ついでに表舞台で帝位を狙っているのが誰なのか、はっきりさせよう」
通りの両側には、当然ながら高級な休み処に事欠かなかった。
三人は「翠緑」の宿の扉を押し開けた。焼いた肉の脂の香りとエールの豊かな匂いが押し寄せてくる。煌々と灯りのともった広間では、美しい樫のテーブルを囲んで、各地を渡り歩く冒険家、マントを羽織った商人、重い武器を背負った傭兵が座っていた。ウェルズが一瞥したところ、その大半は一階の魔力の波動を持ち、気配の落ち着いた少数は二階、三階の水準にさえ達していた。
「環境はまあ見られるし、食い物の匂いもなかなかいい。大通り沿いで交通の便もいい。ひとまずここを拠点にするか」
三人は静かな隅を選んで腰を下ろし、ウェルズはすぐに手を上げて、白いエプロンを締めた足取りの軽い女性の係員を呼び寄せた。
「教えてくれ。今、帝都で皇位を物欲しげに見つめている連中は誰だ?その後ろ盾は誰なんだ?」
言いながら、彼は長い指に少なからぬ額面の紙幣を挟み、ざらついたテーブルの上にそっと押し当てた。
気のなさそうだった女性の係員の目が、紙幣を捉えた瞬間に輝いた。背筋をぴんと伸ばし、この上なく愛想のよい笑顔になる。「旦那様!皇位を狙っている方なら、それはもうたくさんいますよ!でも、旦那様のような強者が一番お気に召すのは、きっと『拓遠親王』に決まっています!」
ウェルズは内心で思った。こういう店で皿を運んでいるだけあって、さすがに目端が利く。
彼は驚かなかった。帝都では秩序崩壊の噂がとうに民間へ浸透し、皇室の継承をめぐる陰謀でさえ、とっくに市井の民の茶飲み話の種になっていた。
「ほう?それはどういう人物なんだ?」ウェルズは眉をわずかに上げた。
「拓遠親王は先帝陛下の実の甥御様なんです!今の皇帝の従兄弟でもあります。かつて帝国陸軍を率いて半次元界へ赴き、血戦を戦い抜いて、今では比類なく強大な聖階の魔法使いなんですよ!容姿端麗なだけじゃなく、あの気位の高い芸術家たちにも持てはやされ称えられて、帝都中の数え切れない少女が夢にまで見る白馬の王子様なんです!」女性の係員は両手を胸の前で組み、興奮した口調で言った。
「質麗皇女の叔父か」ウェルズは心の中で算段した。「人は生まれつき強者の権力を崇める。拓遠親王は聖階の実力を持ち、まさに力の代名詞だ。下層の平民は少なくとも彼を拒まない。背後の本当の金主は……おそらく半次元界で戦争で大儲けした植民会社だろう」
「他には?」ウェルズは顔色一つ変えずに続けて尋ねた。
「あとは正統の名分を持つ第一皇子と、改革派に強く支持されている第二皇子、それから皇后の一党に擁立されている第三皇子ですね。この殿下方のことはあまり知らないんです……でも、拓遠親王の偉大な英雄譚なら、もっとたくさんお話しできますよ!」彼女は明らかにあの親王の熱狂的な崇拝者で、一度口を開くと止まらなくなったが、語られるのは情報価値のまるでない浮いた噂話ばかりだった。
ウェルズは内心でため息をついた。皿を運ぶ平民に、複雑に入り組んだ宮廷の権力闘争を解き明かせと望むのは、無理な相談だ。本当の内幕を掘り出すには、やはり権力者たちのひしめく政治クラブに自ら潜り込むしかない。
「よし、もう十分だ。ありがとう」ウェルズは紙幣を彼女に押しやり、手を振って下がるよう示した。
大喜びで去っていく女性の係員の背中を見ながら、彼は声もなく笑った。その笑みには、底知れぬ算段が潜んでいた。
ウェルズは心の中で思った。「この皇位争奪戦は、表に出ている連中だけで済むはずが絶対にない。見えない暗流の底には、きっとどぶに隠れて全身から腐臭を放つ鼠が何匹か、機を窺っているはずだ」
そのこそこそと身を隠す連中を、一匹ずつ引きずり出してやるつもりだった。暗がりに潜みたがるのは、日の当たる場所に出られないからに違いない。帝国の正統な皇室である質麗皇女にとって、そんな連中は有害生物でしかない。
「いつもの通り、二手に分かれる」ウェルズは手早く任務を割り振った。「俺たちは帝都へ機会を求めに来た冒険家と高階の魔法使いに扮する。この皮さえ被っていれば、どこへ行っても、我先に取り込もうとする奴が現れる」
ウェルズは知っていた。政治の駆け引きにおいて、まだどちらの側にもついていない強者は、常に忠実な支持者より価値がある。政治動員でまず取り込むべきなのは、往々にして理想の隊列に立って身を捧げる覚悟の狂信者ではなく、まだ様子見をしている投機家のほうなのだ。
「シャーロットは?」フリーデが尋ねた。
「こいつは俺と一緒だ」ウェルズは立ち上がった。
フリーデは分厚い紙幣の束といくらかの金貨や銀貨の補助貨幣を冷ややかに受け取った。指先はわざとウェルズに触れないよう避けている。「私は下層の工房と貧民街へ行く。ウェルズ、約束を忘れないで。もし罪のない命を駆け引きの持ち駒に使ったりしたら……」
「はいはい、正義の騎士のお嬢さん、道中ご無事で」ウェルズはまるで気に留めず、手を振って遮った。「さあ、行動開始だ」
教廷の口座から引き出したばかりの資金を携えて一人去っていくフリーデを見送ると、彼はシャーロットを連れて翠緑の宿の扉を押し開け、外の喧騒の街へと再び溶け込んだ。
「竜が獲物を狩る時は、最初の一口が一番大事なの!致命傷を与えれば、あとは半分の労で倍の成果!あなたはどこから最初の一口を噛みつくつもり?」シャーロットは彼の傍らについて、軽やかな足取りで尋ねた。
「そうだな……まず改革派の腹を探ってみるか?連中は第二皇子を支持しているらしい?質麗皇女なら、この手の進歩の旗印を掲げる勢力に多少は興味があるんじゃないか?」ウェルズは顎を撫で、あの皇女の心を推し量ろうとした。
「じゃあ、その改革派はどこへ行けば見つかるの?」
「貴族のサロンだ」ウェルズは心得顔で眉を上げた。「開明的だと自負する立憲派の貴族どもは、この手の遊びが大好きなんだ。女性を一人立ててサロンを主宰させれば、自分たちの思想の進歩ぶりを誇示できるし、あの奢侈な雰囲気の中で自分の品格を保ちながら、君主制をどう守るかを優雅に語り合える。一挙両得だ」
ふさわしいサロンを探すため、二人は肩を並べて上城区へと進んだ。道中、各城区の城門を通る際、守備につく首都戍衛軍団の兵士は二人の並外れた魔力の波動を感じ取り、咎め立てはしなかった。
歩みを進めるにつれ、周囲の景色は目に見えて変わっていった。足元の粗い石畳の道は次第に平らで滑らかな煉瓦に取って代わられ、両側の建物は低い平屋から、様式もさまざまな堂々たる邸宅へと姿を変えた。
正式に上城区に足を踏み入れた時、目に映るのはすでに純白の大理石と堅固なコンクリートで築かれた華麗な屋敷ばかりだった。空気にはもう煤の刺すような臭いはなく、代わりに淡い花の香りが漂う。ここに住む者は富める者か貴き者、爵位を持つ貴族でなければ、人々に敬われる学者と魔法使いである。
上城区の入口にある装飾の華やかな掲示板には、今週の上流社会の学術公報が貼り出されていた。ウェルズはびっしりと並んだサロンの主題の中から、一つに狙いを定めた。それは外部には公開されない私的な集まりだったが、高階の魔法使いにとって、その扉は常に開かれている。
確実に入場するため、ウェルズは空間の指輪から、長らくしまい込んでいた懐中時計を取り出した。金属のケースには入り組んだ機械の紋様が刻まれ、中の歯車がかすかで精密なチクタクという音を立てている。これは質麗皇女がかつて自ら改造した傑作で、その話が広まれば、間違いなく値の付けようもない品となる。
「ほう……開明的な女性貴族の主催か。主題は『社会的分業と君主制度の有機的結合』。主講者は当代の文明哲学者……魔力は一階しかないが、哲学理論ではなかなかの腕らしい」ウェルズは掲示の金箔押しの文字を見ながら読み上げた。
「あなた、行くの?」シャーロットは顔を上げて尋ねた。
「当然だ」ウェルズはかすかに笑い、懐中時計を胸のポケットにきちんとしまうと、サロンのある場所へ歩き出した。
ほどなく、壮麗な荘園の屋敷が目の前にそびえ立った。鉄の門は開け放たれ、着飾った客が引きも切らず、門口には身なりの凝った愛想のよい従僕が一列に立ち、設えはなかなかの水準だった。学術サロンを小規模の豪華な宴に仕立てるのも、帝国貴族の習わしである。
ウェルズは門口まで歩み、迎えに出た従僕に気怠げな態度で声をかけた。「サロンに入って、哲学の大家の世界に対する卓見を拝聴したいのですが」
彼は悠然と懐中時計を示した。身を引いて通されるものと思っていたが、意外にも従僕はその場に立ち尽くしたまま、戸惑いと警戒の目を向けるばかりだった。
ウェルズはごくわずかに眉を上げ、そこでようやく、目の前の男にはこの証の品の値打ちがまるで分からないのだと気づいた。思わず苦笑したが、相手を困らせるつもりもなく、ただ何気なく人差し指を一本立てた。
「パチッ」と軽い音がして、幽藍色の炎が一つ、彼の指先に何もないところから燃え上がった。続いてその火はまるで命を得たかのように、ウェルズの操作の下で素早く伸び、形を変え、翼を広げた火の鳥、駆ける猟犬、軽やかな子鹿となり、最後にはずる賢い狐となって、彼の指の間を生き生きと跳ね回った。彼はこの細やかで精密な魔力の制御を、存分に見せつけた。
従僕は驚いて目を丸くし、職業的な笑顔が一瞬崩れ、再び作り直された時には幾分の畏敬と媚びが加わっていて、腰も知らず知らずさらに低く曲がった。
「お嬢様のサロンは、あなた様のような尊い強者を心より歓迎いたします!どうぞお入りください!こちらの方は……お連れの女性でいらっしゃいますか?」
「こちらは私の妻です」ウェルズは顔色一つ変えずに嘘をついた。
事を運びやすくするため、シャーロットは当然異議を唱えなかった。
ただ、煌々と灯りのともった屋敷の広間に足を踏み入れた途端、鼻をつく高級な薫香の匂いは、たちまち濃厚な焼き肉の香りにかき消された。シャーロットの形のよい鼻がかすかに動き、帽子の下に隠れた金色の縦長の瞳が、広間の奥に据えられた長テーブル——手の込んだ鳥のローストや燻製肉がずらりと並ぶそれを、瞬時に捉えた。
広間では数え切れない召使いが銀の盆を手に、流れる水のように客の間を行き交っていた。ふと傍らが空いたと思った時には、シャーロットはもう魚の匂いを嗅ぎつけた猫のように、音もなく料理の並ぶ一角へ向かう人の流れに滑り込んでいた。ウェルズは仕方なく首を振って好きにさせ、自分は一人で前方へ進んだ。
広間の突き当たりの主演壇では、豪華な絹のローブをまとった学者が、熱弁を振るって自らの理論を説いていた。
「……紳士淑女の皆様もご存じのとおり、上古の時代の先駆者たちがまだ聖階への道を切り開いていなかった頃、人類は恐ろしい怪物どもの狭間で辛うじて生き延びるしかありませんでした。生き残るために群れの戦闘力を高めようとすれば、必然的に、重い肉体労働に加わらない魔法使いの一群が生まれます。魔法の研鑽には、膨大な時間と絶対的な集中を要するからです!これは群れの存続のためのやむを得ぬ『必要悪』であり、社会の有機的な分業の必然の選択でもあるのです!最も強大な魔法使いに群れを導かせる、それこそが君主制の神聖なる起源です!同時に、歴史は数え切れない血塗られた証拠をもって我々に教えています。この分業を拒んだ部族は、とうの昔に歳月の中で跡形もなく消え去ったのだと!」
前列のビロードのソファに座る若い女性貴族——どうやらこのサロンの主催者らしい——が優雅に扇子を持ち上げ、静かな声で尋ねた。「それはなぜでしょう?先生、もう少し詳しくお話しいただけますか?」
「効率のためです!お嬢様!」学者は腕を振り回した。「生産から完全に離れ、研究に専念する四階の魔法使い一人は、戦場で、昼間は畑を耕している二階の魔法使いを十人、いや百人以上でも容易く抹殺できます!唯一の意志に絶対的に統率された軍は、戦闘力において、意見がばらばらで騒がしい共和体制の軍を常に踏み潰すのです!ご列席の帝国のエリートの皆様、南の我らが友邦の連邦をご覧なさい。彼らの代々の激しい内紛こそ、最良の反面教師ではありませんか?」
ウェルズは人混みの中で聞きながらも、目の端で、少し離れた食べ物のテーブルの傍らで、シャーロットが驚くべき速さでビーフステーキと菓子を皿ごと次々に腹へ収めているのを捉えた。優雅な環境とはまるでそぐわない。傍らでグラスを手にした数人の貴族が、この底知れぬ食欲の華奢な少女を驚愕の顔で見つめ、進んで彼女のために広く場所を空けてさえいた。
ウェルズはこめかみを押さえ、歩み寄って彼女の肩を叩いた。
「お前は、あいつの話に筋が通っていると思うか?」ウェルズは顔を傾け、傍らのシャーロットに小声で尋ねた。
「とても筋が通ってる。群れで一番強い個体が支配権を持つのは、当たり前のことだもの」シャーロットはもごもごと答えた。見れば、白く柔らかな小さな手で脂の艶々と光る鶏の腿肉のローストを掴み、淑女らしさなど欠片もなくがつがつと頬張っている。人間の偽装の下に隠れた竜族の縦長の瞳は、長テーブルに山と積まれたご馳走をじっと睨みつけていた。まるでそこが本当の戦場であるかのように。
ウェルズは彼女の口元にべっとりついた脂を見て、思わず心の中で突っ込んだ。「やっぱり翼の生えた大型の白いトカゲだな」
「そのお話ですと、我々はむしろ拓遠親王を支持すべきではありませんか?あの方は聖階の魔法使いなのですよ!」人混みの中で、冒険家の徽章を着けた男が思わず反論した。
壇上の哲学者は髭を撫で、自信たっぷりの微笑みを浮かべた。「はっはっはっは、閣下のそのお言葉は、いささか性急に過ぎますな!周知のとおり、聡明な賢君は、残虐な暗君よりも遥かに国に繁栄をもたらします。では、賢明さはどう定めるのか?法による統治こそ、明らかに唯一の指標です。統治哲学の進展に照らせば、個人の威信だけで統べるカリスマ的権威は、いずれ法に依って運営される合法的権威へ移行せねばなりません。依るべき法があってこそ、人は皆それぞれの持ち場に安んじられるのです」
学者は一呼吸置き、語気を強めた。「最も肝要なのは、至高の皇帝はその神聖な権威を守るために、事の大小を問わず勅旨を下してはならない、ということです。さもなくば、平民が今夜は鶏の丸焼きかビーフステーキかで喧嘩をしたことまで皇帝に是非を裁いてもらいに来るようでは、皇室の威厳はどこにあるのでしょう?ましてや、個人の知恵だけでは偏りを免れません。我々が求めるべきは一般意志です!皇帝は立法の権力を議院に委ね、諸勢力が膠着して国の政策が危機に陥った時にだけ、皇帝が表に出て最終の決断を下す。平時には、皇帝は魔法の研究と突破にのみ心血を注げばよいのです」
「では、そのお話ですと、ほとんどの場合、皇帝はそもそも仲裁に手を出す必要がないと?」また誰かが大声で尋ねた。
「そのとおりです。ですが皆様、この最終仲裁の権力を決して侮ってはなりません。この世には、すべての人を百パーセント満足させ、丸ごと受け入れさせる見解など、かつて存在したことがないからです。国が内戦を引き起こしかねない危機に直面した時、絶対的な権威を持つ君主が仲裁を行えば、国を一瞬にして危機から救うことさえできるのです!」
ここまで聞いて、ウェルズはわずかに目を伏せ、内心で呟いた。「こいつの言うことも、そこだけは間違っていない。すべての人間を満足させる秩序なんて、確かにこの世に存在しない。フリーデがこの道理をもっと早く見抜いてくれればいいんだが」
広間の貴族、魔法使い、冒険家たちはこの高論を聞き終えると、口々にひそひそと言葉を交わし、少なからぬ者が賛同の色を浮かべ、しきりに頷いた。
ウェルズは人混みの後ろに立ち、そのすべてを冷ややかに眺めていた。何気なく人混みの中を流れていた視線が、最後に隅の一点——ステッキをつき八の字髭を蓄えた中年の紳士の上で、半秒ほど止まった。その男は損得を天秤にかけるようなねっとりした目で、場内の一人一人を吟味していた。
「釣り上げたい大物が見つかったようだな」ウェルズは思った。「利害の絡み合うこの帝都では、規則に従順な強者は道具にされるだけだ。だが、実力が強大で、現状に極度に不満を抱き、いくらか偏った理想主義を帯びた危険分子となれば、あらゆる野心家が取り込みたがり、利用したがる絶好の駒になる」
ウェルズの目の奥に戯れの光がよぎった。彼は深く息を吸い、再び顔を上げた時には、その顔から気怠さはきれいに消え失せ、代わりに絶妙な、世を憤り俗を憎む冷たい怒りの表情が浮かんでいた。
「では、お尋ねしますが、天賦人権についてはどうお考えですか?」
和やかな学術の雰囲気の中に、冷ややかな声が唐突に割り込んだ。ウェルズは人垣をかき分け、一歩前へ出た。
「ほう?連邦のあの哲学者が唱えた概念のことですか?」学者は一瞬きょとんとしたが、すぐにそつのない笑顔を作った。「我々は道徳の面では、もちろんこの観念に賛成ですが……」
「それなら」ウェルズは容赦なく遮った。「天賦人権の最も核心にある——生存権については、どうお考えですか?」
「それは……我々はもちろん全面的に擁護して……」学者が言いかけたところで、少年はまたもそれを遮った。
「結構。では、生存権の最も致命的な矛盾には、どう答えますか?——人が皆、生まれながらに生存する権利を持つのなら、それは、誰もが生まれ落ちた時にこの世界の資産の一部を分け与えられ、それを生きていくための元手とするべきだ、という意味ではありませんか?」
ウェルズは言いながら、傍らで料理を運ぶ従僕の盆から、黄金色に食欲をそそる、麦の香りを放つふんわりとしたパンを一つ何気なく取った。それはかつて流浪の身だった頃、夢の中でさえ一口かじりたいと渇望した贅沢品だった。
長い指で柔らかな皮をそっとつまみながら、心の中では冷静にこの屋敷の料理人の焼きの腕前を品定めしつつ、顔には台詞に合わせて絶妙な悲憤と皮肉を浮かべてみせる。
彼はパンを宙に掲げ、鋭い眼光で壇上の学者を見据えた。「あなたもよくご存じでしょう。今のこの時代、多くの平民が産声を上げる時には、この世界の土地も、清らかな水源も、豊かな穀物も、雨風をしのぐ家屋さえ、とうにあなた方貴族がきれいさっぱり分け取ってしまっている!数え切れない人々が、自分が生きていくための最初の資産をまるで手にできない。それどころか、あなた方の手に握られた資源と引き換えに、労働力を売り、命を前借りし、果ては追い詰められて罪を犯すことを強いられている!」
広間に流れていた優雅な音楽さえ止まったかのようで、空気は一瞬にして氷点まで下がった。
「ええ……その……こちらの方、あなたのおっしゃることには、確かに一理あります……」学者の額に冷や汗が滲み、口ごもりながら取り繕おうとした。「し……しかし!現代社会の人間は、大人しく社会的分業の体系に加わって懸命に働きさえすれば、手に入る物資は、自然状態で本来占有すべきだった分より遥かに多い!ゆえに……貴族が大量の資産を占有することは、法理の上で絶対に論理に適っているのです!」
「社会的分業がパイを大きくできることは、もちろん否定しません」ウェルズはじりじりと詰め寄り、その眼差しは鋭い刃のようだった。「ですがお尋ねします。その大きくなったパイは、いったいどうやって分配の比率を決めているのですか?」
学者は口を開きかけたが、首を絞められた雄鶏のように、一言も吐き出せなかった。
「答えられませんか?ならば私が代わりにお答えしましょう」ウェルズは冷笑を一つ漏らした。冷たい声が広間の穹窿の下に、弔鐘のように響き渡る。「答えは決して温良恭倹譲の協議によるものではなく、暴力と、抗争と、果てしない流血によるものです!弱さと善良さを養分にし、普通の人間を骨までしゃぶるこの卑劣な制度を、私は断じて容認できない!……お前がさっき口にした連邦の哲学者ロックは、こうも言っている——『他の者に残される資源は、十分で、かつ同じく良質でなければならない』。率直に言わせてもらうが、お前の論理はここですでに自己矛盾している!ならば、私はちゃぶ台をひっくり返してでも、お前たちのいまいましい社会的分業には加わらない。生まれた時に持っているべきだった私の分の資産を、取り戻してみせる!」
その言葉が終わると、広間全体が水を打ったように静まり返り、誰もが驚くべき発言をしたこの魔法使いを見つめた。
ウェルズは周囲の驚愕の視線とざわめきをまるで気に留めなかった。踵を返し、まだ菓子にかぶりついているシャーロットの手首をぐいと掴むと、衆目の中、彼女を引いて大股に門へ向かった。
この奢侈な荘園を出て、外の少し冷たい空気を吸ってから、ウェルズはようやくわざと歩みを緩めた。
「帝国の鶏の腿肉……本当においしい。私、まだお腹いっぱいじゃないもん」シャーロットは唇を舐め、顔いっぱいに未練を浮かべた。
「はは」ウェルズはすこぶる上機嫌だった。
「まだ始まったばかりだ。これから、もっと盛大な宴がいくらでも俺たちのただ飲みただ食いを待っている」
荘園の門を出て数歩も行かないうちに、背後の階段から突然呼び声が聞こえた。
「前を行く美男の魔法使い殿、しばしお待ちを」
澄んだ革靴の音と、金属が石畳を叩く硬い響きとともに、ステッキをついた中年の紳士が彼を呼び止めた。
この紳士はきちんと整えた小さな八の字髭を蓄え、顔立ちは穏やかで親しみやすかった。ウェルズはさきほどサロンの中で彼に気づいていた——明らかに上客であるこの大物は、終始あの熱い議論には加わらず、ただずっと吟味する目で、商品を品定めするようにその場の発言者一人一人を観察していたのだ。
ゆっくりと歩み寄ってくるその紳士に背を向けたまま、ウェルズは足を止めた。夜の闇に紛れて、彼の口の端には底知れぬ危険な笑みが浮かんでいた。
餌はすでに仕掛け終えた。どぶの鼠が、ついに鼠捕りにかかったのだ。




