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エルフ領

「アニエスさん、それで行くんですか?」


「何か問題あるのかい? 早く行きたいんだろう?」


「それは、そうなんですけど……」


 アニエスさんは、当然といわんばかりに話を進めているが、鬼であるイッカクの肩に腰を下ろしていた。あ、危なくない? お婆さんだよね貴女。


「イ、イッカクって名前で良いんだよね? それで行くの?」


「……アニエスガ、コノ姿ニナッテカラハ、コウシテイル」


「喋った!?」


 俺と同じ反応をするアメル。不意の一言に驚きを隠せない様だった。そうか、話し合いの最中もイッカクは喋っていなかったもんな。


「要らんことを言わんでいい。私のペースに合わせると、日が暮れてしまうからね」


 老婆であるアニエスさん。ただでさえこの森は、木々が生い茂っていて歩きにくい。アニエスさんは腰が少し曲がっているし、選択としては当然か。こっちだよと言われ、俺達は道なき道を進んでいく。イッカクが、生えている草をかき分けてくれて、俺達も何とか進めていた。


「ここだ」


 そう言ったアニエスさんの周囲は、変わらずの森だった。えっと、どういうこと?


 アニエスさんは、古家で齧っていた魔石を取り出しそれを一齧りする。そして、空間へ向かって手を伸ばした。すると、伸ばしている手を中心に景色が段々と変わっていきーーその先には集落のような場所が。その中心には、樹齢何年か分かりようもない、途轍もない大きさの大樹が。あれは、ここへ来る前に見えていた樹なんだろう。


「さ、行くよ」


 唖然としている俺達を置いて、アニエスさんを乗せたイッカクは先へと歩いていった。俺達も急いで付いていく。集落の入口らしき場所で、俺達は行く手を阻まれた。


「止まれ! 何者だ!」


 二人で集落の入口を警備している様で、この辺はダンジョンと一緒だな。二人共、耳が長く端正な顔立ちをしていた。エルフだ、初めて見た。アニエスさんは下ろしな、とイッカクへ命じ地上へ降り立つ。エルフの一人がアニエスさんへ声を掛ける。


「何者だ、と聞いている! あそこは【東の魔女】しか通れない道のはずだ!」


 【東の魔女】? アニエスさんの事を言っているのか? 確か、ギルドの文献に書いてあった……アニエスさんが、その魔法の使い手?


「私がそうだとは思わないのかね、全く……少しは大きくなったと思ったが、せっかちな所は相変わらずかい? 坊や」


「!? その言い方、貴方は、まさか……っ!?」


「ペトリアークを呼んでおくれ。お前達がギルドへ文を出したのだろう? 調査に来てくれた【従魔士】カイルだ。私は案内で来ただけだよ」


「なっ……! 【従魔士】!?」


 紹介された俺は、二人に会釈をする。二人共えらく驚いている様子だった。


「ほれ、驚くのは構わんがさっさと呼んでおいで」


 アニエスさんが手を振ると、話をしていた一人が慌てて集落の方へ駆けていった。


「アニエスさん。二人共、なんで俺を見てあんなに驚いたんですかね?」


「【従魔士】がこの地にとってゆかりある、そのせいだと思うよ」


 アニエスさんがそう言うなら、恐らく初代【従魔士】がここと関わりを持っていたんだろうな。アニエスさんも初代の事を知っているようだったし、これは……。


 俺が考えていると、先程集落へ向かっていったエルフが戻ってきた。


「お待たせしました。中央の広場で族長がお待ちです、こちらへ」


 案内され、俺達はエルフの集落へ足を踏み入れた。

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