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オルトルで

 ちょっと短いです。

「参謀の話だが、受けよう」


 オルトルの個室、料理を頼み二人になった所でアニエスが口を開いた。その頃には、いつもの冷静なアニエスに戻っていた。アニエスはコホン、と咳払いをする。


「……年甲斐もなく、はしゃいでしまった。見苦しいものを見せてしまってすまないね」


「その辺は全然。気にしないで」


 俺からすれば、そんな一面もあるんだなと思った位だ。アニエスはいそいそと、懐から一本の長い棒みたいな物を取り出した。


「主様、吸っても大丈夫かい?」


「吸っても……ってことは、それは葉巻?」


 自分で言っておいて何だが、葉巻には見えないなこれ。


煙管キセルという。南で売られていたものでね、ガワが経年劣化していく姿を楽しめる一品だ」


 吸うのは大丈夫と告げると、アニエスは先端に火を付け逆側を咥えた。少し吸い込んだ後に、横を向き宙に煙をふぅっと吐き出した。アニエスがなんだか色っぽく見えて、慌てて目線を煙管へ向ける。面白い形だなと見ていたら、アニエスが加えていた煙管の吸い口を俺へ向けてきた。


「気になる様だね、主様も吸ってみるかい?」


「え!? い、いや、俺はいいよ」


 焦って辞退する俺に、アニエスはどこか意地悪な笑みを見せる。


「くく、主様はからかい甲斐がある」


「……そこに甲斐性を見出さないでよ」


 俺の発言に笑っていたアニエスだったが、ふと笑みを止め、そのままゆっくりと店内の斜め上を見始めた。な、なんだ?


「ーー行っておいで、ホムラ」


 一点を見つめながら、ホムラさんの名前を出したアニエス。だが、ホムラさんはこの場に現れなかった。そういえば、行っておいでって言ってたような……。ど、どこに?


「アニエス、どうしたの?」


 尋ねると、アニエスは俺の方へ向き直り、指で何かを書くような素振りをした。


「いや、水を差されただけだ。警告はしたから、余程の馬鹿者で無ければ二度目はないだろう」


「ど、どういう事?」


「詮無いことさ、主様が気にする事ではない」


 少しつまらなそうに言うアニエス。その話は終わり、と言わんばかりに煙管を咥えた。まぁ、折角アニエスが楽しそうにしていたし、わざわざ気分を損ねるのも違うしな。運ばれてきた料理をゆっくりと頂きながら、アニエスと取り留めのない話に花を咲かせた。

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