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目覚めてから

「ーールさん、カイルさんっ!!」


「……ん、あれ……俺……?」


(スキル、恐らくライムのだろう。発動は不発に終わり、主様は気を失った。オーガはイッカクが始末したよ)


 俺、気を失ってたのか……状況が掴めなかった俺に、アニエスからの的確な説明が。


(大丈夫かー?)


 そう言うのはライム。


(あぁ、なんともなさそうだ)


「カイルさん! 大丈夫ですかカイルさん!」


 意識を取り戻しても、ずっと声を掛けてくれているアメル。俺は手を上げて応えた。


「アメル……もう大丈夫、ありがとう」


 周りを見渡す。リクは呆れた様に俺を見ながら身体を丸めているし、リリもその背に乗って欠伸をしていた。心配は、していなさそうだ。ち、ちょっと位、心配してくれても良くない?


 ホムラさんとイッカクが、側で警戒してくれていた。


(私が指示を出せないから、ここで待機することを選択していた。主様、融合を解除してもらっても良いかい?)


 ここは……まだダンジョンか。灯りが消えているから九つ目の所、俺が気を失った場所で陣取ってくれていたみたいだ。


(分かった)


 俺は融合解除し、光を発する中アニエスが身体の外へ。


「ふむ……融合も、案外悪くないものだね」


「……皆そう言ってくれるけど、俺にはよく分からないんだ」


 アニエスからも悪くないと言われて、思わず苦笑してしまう。主様、起きれるかい? とアニエスに言われ、身体を起こそうとしたが、上手く体勢を保てずそのまま倒れてしまう。おぉ? なんだこれ。意識はハッキリしてるんだけど。


「カイルさんっ!?」


「魔法もそうだが、慣れない事をしたその反動と見る。イッカク、担いでおやり」


 アニエスに言われ、俺はイッカクに担がれた。も、もうちょっと優しく……地面しか見えないよ、この担がれ方。


「さて、思ったより長居をしてしまったね。戦力は把握出来た、戻ろう」


 アニエスの号令で、俺達はダンジョン探索を終了した。



「……それは、本当なの?」


「はい。目印でいうと順路の八本目から、灯りが消えてました」


 地上へ戻って、少し休憩を挟んでから俺達はギルドへ報告に来た。目印の灯りが消えていたこと、オーガがその周辺に居たこと。これらをジェシカさんに伝えると、神妙な面持ちで話を聞いてくれていた。


「目印の件も気になるけど、その……大きい声じゃ言えないけど、本当にその場に居たの? オーガは」


「ええと、誰か持って……ありがとう。ジェシカさん、これがその時出た魔石です」


 確認するわねと言って、ジェシカさんが魔石を受け取る。まじまじと見つめていたが、やがて深い溜息を吐いた。


「……これは、上層の魔物から出ることがない魔石ね。カイル君が嘘を言うと思ってないけど、証拠まで提示されたら、ちゃんと上に報告しないとね」


 ありがとう、と言い魔石をこちらへ返却してくれた。


「大まかな報告はこれで終わりです」


「ありがとう。貴方達のパーティーが発見してくれて良かったわ。他のパーティーでは、被害が出ていたかもしれないから。ところでなんだけど、魔石の換金はする? その大きさなら、いい値段になるわよ?」


「えっと、今は大丈夫です。タイミングを見て来させてください」


「分かったわ。あ、それとこれ……なんだけど」


 そう言ってジェシカさんは、机から一枚の紙を取り出した。


「? ジェシカさん、これは?」


「貴方達パーティーの昇格、その通知よ」


 ジェシカさんが言ってたやつだ。俺は内容を確認する。


『明日午後二時に、領主宅にて昇格の儀を執り行う。遅れないよう到着すること』


 と端的に書かれてあった。


「B級以上は、領主宅で昇格の儀を行うの。昇格の儀は建前で、領主との顔合わせがメインになるわね。有り難いと思う人もいれば、ちょっと面倒……と思う人もいるみたいね」


 と苦笑するジェシカさん。領主との顔合わせ、か。うーん……。


「時間も指定されてることが殆どみたいだし、遅れない方が賢明ね。気に入られれば、色々と便宜も図ってくれるって聞いたことがあるから。まぁ、無礼をしなきゃ大丈夫でしょ」


 ジェシカさんは明るく言ってくれた。


「分かりました」


 これも経験、だな。


「後ね、これはアメルちゃんへなんだけど、明日の午前って空いてるかしら?」


「えっと、カイルさん。特に何も無かったですよね?」


「うん、予定は入れてないね」


 それなら良かった、とジェシカさんは話を進めていく。


「明日の午前だけギルドの医療班、その手伝いをお願いできないかしら。何人か今派遣されているらしくて、人手が足りないのよ」


 ギルドの中だけじゃなくて、そういった動きもしてるのか。大変だな。


「カイルさん、どうしましょう?」


「アメル次第で大丈夫だよ、無理強いはさせたくないし」


 アメルは少し考え、ジェシカさんへこう告げる。


「分かりました。午前中だけ、ということになってしまいますが、お手伝いさせてください」


「ありがとう! 皆、仕事が回らなくて困っていたみたいなの。手伝ってくれること、医療班に伝えておくわね。明日朝、早めにギルドに来てもらってもいい? 私はいるから」


「はい」


 ほんとにいつ休んでるんだろうか、この人は……無理だけはしないで欲しい。


 ジェシカさんと挨拶を交わし、俺達はギルドを後にした。

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