【従魔士】のスキル
「そしたら、どこで話そうか?」
やっぱりオルトルが妥当かなぁ、あそこは秘密裏に話せるし。そんな事を考えていると、地面が急に光りだした。な、なんだ!?
「私の家でいい。一先ず、全員転移陣へお入り」
光の正体はアニエスの様だ。これ、多分魔法……なんだよな? 全員が中へ入ったと思ったら、景色が一瞬にして移り変わる。
さっきまで中央都市にいたはず、なんだけど。辺り一面を木々に囲まれているが、この場所だけ整地されている。
「ここは……フォレイトス?」
歩いてすぐに着くとはいえ、今の一瞬で全員をここまで? 転移ってそういうこと? 俺が驚いていると、近くからも驚きに近い悲鳴が。
「ギャーッ!! どこよここ! 虫、虫が出るッ!!」
翼を広げ、勢いよくこの場から飛び去ったのはリリ。ほんとに虫嫌いなんだな。
「一瞬であそこまで飛翔するか……大したものだね」
何故かアニエスは感心していた。さて、とアニエスが話を切り出した。
「一人ずつ話す前に、まず主様が【従魔士】としてどれ程のものか知りたい」
アニエスが言うには、色々と【従魔士】の性能を試してみたいそう。
「アニエスは初代と面識があるんだよね? 初代で試してみたりはしなかったの?」
「あれは、紛うことなき完成型だ。試す必要すら無い、興味はあったがね。私よりも遥かに強かったし、強制も出来なかった。主様は、従魔隷属を持っていないのだろう?」
「うん」
聞いたこともないスキルだったしな。
「おまけにエルフ領では、召喚も習得しているか怪しいと言う。それが習得出来ないのか、それとも把握していないだけなのか。確かめておかないとね」
「ありがとう。従魔になってくれたとはいえ、アニエスの方が実力はずっと上なのに。そこまで俺に気を遣ってくれて嬉しいよ」
「気を遣うなど当然のこと。主様が死ん……まさか、知らないのかい?」
「? 何の話?」
「あぁ、常時融合していないのはそういう……いや、いい。話を進めよう」
常時融合は俺にメリットがあるだけで、従魔達が身動きを取れなくなってしまうからなぁ。居心地は良いと言ってくれるけど。アニエスは少し呆れている様だったが、そのまま話を進めていった。
「まずは、従魔融合からだね」
「ーー従魔融合!」
しかし、なにもおこらなかった!
「……どうやら、現状だと融合の上限は三体までみたいだね」
アニエスはそう告げた。従魔融合。アニエスが試すと言ったのは、何体まで融合出来るのか、という話。リリは逃げたから、現状融合出来るのはこの場に四体。ライム、アプサラス、アニエス、イッカクだ。どの組み合わせを試しても、三体を超えてから、スキル従魔融合は発動しなくなった。
水鳥の姿になったアプサラスは、少しふらつきながらアメルの元へ。
「大丈夫? アプサラス」
「は、はい。アメル様。ありがとうございます。精霊憑依と勝手が違うせいか、少し疲労が……軟弱で申し訳ありません」
「アプサラス、ありがとう。少し休んでてね」
「はい、カイル様」
アニエスはふむ、と納得したように呟いた。いや、説明して欲しいな。
「アプサラスは、主様と融合は避けた方がよいな。恐らく、相性が悪い」
「そうなんだ?」
まぁ、アメルを護ってもらう気でいるから、アプサラスとの融合は考えていなかったけど。相性みたいなのもあるんだな。
「アニエスやイッカクは何とも無い?」
「問題ナイ」
「こちらもだ。まぁ、稀なケースだろう。主様が気にする事ではない」
「わ、分かった」
それにしても、三体か……組み合わせが大事になりそうだ、とアニエスがぶつぶつと言い出した。多いのか少ないのか俺には分からない。
「アニエス、初代は融合ってどの位してたの?」
「融合している魔物の数かい? あやつが融合を解除することは基本無かったから、正確な数は分からないが……私と出会ってから、ゆうに百は超えていたな」
「ひゃ、百!?」
どうなってんの? 俺、三だよ? 初代の規格外な凄さに驚きを隠せない。それでも、とアニエスは続けた。
「従魔契約し仲間になった魔物は、私の知る限り二、三体に留まっている。後は隷属で従えていた」
「その従魔隷属、ってスキルはどんな効果なの?」
「自分より弱い魔物を、強制的に従わせるスキルだったはずだ。【魔物使い】がテイムをする時のスキル、その上位互換と思ってくれればいい」
なにそれ、めっちゃ便利じゃん。自分さえ強ければ、それ以下の魔物を強制的に従わせる事が出来るのか。アニエスから聞いている初代の情報なら、それはもう幅広く使えそうなスキルに感じた。
「ただそのスキルでは、何故か希少種を従魔にすることは叶わないみたいだ。そもそも、そう易易と契約が出来る希少種と会えるものじゃない。それを考えると、主様は幸運と呼べるだろう」
幸運、か。二年分の努力が報われていると思おう。
さて、次だ。そう言ってアニエスは話を進めた。
「次は、主様が従魔召喚を習得しているかどうかだね」




