表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

従魔契約.5

「此度はウィッチに始まり、瘴気の問題解決まで……何から何まで、ありがとうございました。これで神酒ソーマの生産も間に合い、鬼神様の怒りも収まりましょう」


「いえ、俺は何も。仲間達が優秀なだけです」


「またまた、カイルさんは口が上手いですな」


 翌日。これまた豪勢な朝食を頂いた俺達。ここへ来てもう三日目になる。ジェシカさんは一週間と言っていたけど、段々帰らないとなと思い、今日この地を発つことにした。アニエスも今日は目覚めている。仲間を置いていく訳にはいかないしね。


 帰り際、ペトリアークさんが領地の入口まで見送りに来てくれていた。


「アニエスよ、お前はどうするのだ?」


「基本は、主様と行動を共にする。必要時は家の方でいい、連絡を寄越せ」


「……相変わらずの上からよ。分かった、何かあれば頼ることとする」


 そうそうカイルさん、これを、とペトリアークさんから一枚の紙を受け取った。


「これは?」


「ギルドへお渡し下さい。なに、此度の感謝を述べているだけですので」


「分かりました」


 この森の問題解決、その証明になりそうだな。俺は手紙をしっかりとしまった。そこへちょこんと寄ってきたエルフが、カドリィだ。近くで見ると、俺よりちっちゃいんだな。


「カイル! また遊びに来てよ。アメルとは一杯お話したけど、カイルともお話したいから!」


 元気よく告げるカドリィになんだか嬉しくなり、気がつけば俺はカドリィの頭を撫でていた。


「わっ!」


「また来るよ、その時は沢山お話しよう」


 笑顔で言うと、カドリィは頬を赤くしていた。


「お姉さんたらしだ……」


 よく分からないことを言われたが、嫌そうではないし大丈夫だろう。もう一回、頭にポンと手を置いてまたね、と告げた。カドリィは何も言わず、それこそ逃げるように中央広場へと戻っていった。なんでだ? 近くからも圧を感じる気がする。流石に気のせいだろう。


「また来てくださる時は、歓迎しますぞ。カイルさん達に、大樹の加護があらんことを」


 ペトリアークさん、警備のエルフ達が深々と頭を下げてくれた。こちらこそ、ありがとうございましたと挨拶をし、俺達はエルフ領を後にした。



 いくつか持っていきたいものがある。アニエスがそう言うので、一度アニエスの住んでいる古家へ。準備はものの数分で終わっていた。


「荷物が増えた様には見えないけど、いいの?」


「あぁ、あそこへはすぐ帰れるし問題ないよ」


 俺達は、森の入口を目指して歩いている。とはいえ、来た道を戻るだけだから別に迷うことはない。そんな中、アニエスがはぁ、と一つ息を吐き、話し出した。


「イッカク……お前、いつまで付いてくるんだい?」


「何ガダ?」


「何がじゃない。私も元に戻った、お前も一人で動ける様になっている。もう私に付いてくる必要は無いんだよ?」


 どこへでもお行き、と手を振るアニエスに慌てて質問した。


「ち、ちょっと待って。イッカクって、アニエスが従えている魔物じゃないの?」


「何を言ってるんだい? イッカクは自分の意思でここに居るに過ぎない。何も制約は掛かっていないよ」


 俺、眼の前で融合解除とかしちゃってるけど。イッカクがその気なら、俺死んじゃってましたけど! 内心焦ったが、イッカクは表情を変える事無くこう言った。


「俺モ共ニ行ク。理由ナラ、アル」


「なんだい?」


 イッカクは俺に視線を向けた。思わずビクッとなってしまう。


「カイル」


「な、何かな?」


 俺は務めて丁寧な言葉掛けをしようと思った。だが、次にイッカクから放たれた言葉に、考えていたことが全部吹き飛んでしまう。


「俺モ、アニエスノ様ニ従魔ニシテ欲シイ」


「……え?」


「俺ハーーーー今ヨリ強クナリタイ。アニエスヲ超エル程、強ク」


 そう話すイッカクの頭上に、ゆっくりと『従魔契約可能』の文字が浮かび上がってきた。そ、そんな事ある?


 呆然としている俺の様子を見て、アニエスが尋ねてきた。


「主様、もしかして……文字が見えてるのかい?」


「あ、あぁ。今、出てきたんだ」


 それを聞いて、アニエスは苦笑した。


「今出て……くく、とうの昔に諦めていたと思っていたけどね。未だに願っていたとは驚きだ」


「アニエス。オ前ヲ圧倒スルコトガ、俺ノ目標ダ。納得出来ルマデ、付イテイク」


「……勝手におし」


 そう言って、アニエスはどこか楽しそうに一人で先に行ってしまった。イッカクは俺を見続けている。いや、願ってもない事なんだけど、おっかないんだって。急過ぎる展開に、一度深呼吸をしてイッカクへ話しかける。


「イッカク、従魔契約してくれるのは嬉しいよ。だけど、恩恵と誓約に則って、アニエスと同じ制限を掛けたいと思ってる。それでもいいの?」


「アア、構ワナイ」


 多分、口に出した方が良いよな。俺はイッカクに改めて宣告した。


「じゃあ……理由無く人に危害を加えるのは駄目だ。約束してくれるか?」


「アア、約束シヨウ」


「よし。じゃあ、いくぞーー従魔契約!」


 イッカクの身体が光り輝く。ゆっくりとその光は収まっていき、頭上には『従魔契約成立。従魔オーガ』の文字が。


「イッカク、これからよろしくね」


「コチラコソダ……我ガ主ヨ」



 こうして俺達は、東の森フォレイトスの問題を解決。従魔を二名も仲間にすることが出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ