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狂った構想曲2

後日…。


早川

「ごめん!遅れた」

谷村

「おう!」

門崎

「気にするな」

早川

「ほんとごめん」

谷村

「良いって!それより、昨日間に合った?」

早川

「えぇ、しっかりね!」

門崎

「ふっ、今日は大丈夫なのか?」

早川

「うん、二人には冷蔵庫に昨日の残りのカレーがあるから、チンして食べてって言ってある」

谷村

「そっか…あのさ、実は聞きづらかったんだけど」

早川

「ん?なによ今更」

谷村

「早川ってさ、ご両親が…」

早川

「あぁ…うん、家で親どっちも殺されてさ、二人(妹弟)は奇跡的に生きてて、ここから二人育てていけるの私しかいないじゃん?」

谷村&門崎

「…」

早川

「二人にはさ、何不自由なく人生を送って欲しい」

門崎

「二人は、ご両親が亡くなっている事、知ってんのか?」

早川

「ううん…知らない」

門崎

「そうか…」

谷村

「ま、言う方がむずいよな」

早川

「うん…でも、いずれ気づく時が来るとは思ってる。だから、その時には全部話そうかなって」

谷村&門崎

「あ…」「ふっ…お前がそれを正しいと思うのなら、良いんじゃないか?」

早川

「だよね!」

谷村

「ポジティブだな〜」

早川

「あんた程ではないけどね」

谷村&門崎

「アッハッハ!」「フッ…」

早川&谷村

「あっ…」

門崎

「ん、な、なんだよ」

早川&谷村

「いや…ねぇ?」「うん、門崎のちゃんと笑った顔、初めて見た」

門崎

「…っ!ち、違えよ。笑ったんじゃねえ、これは…せせら笑いだ」

谷村

「はいはい」

門崎

「おい!//」

早川

「まったく、強がるとこは変わんないのよね」

谷村

「確かに」

門崎

「…っ!お前らな…」


3人は、楽しく会話をしながら警備をしていると、近くに公園が見えてきた。ふと、公園に視線を向けると、早川が足を止めた。


谷村

「ん?」


門崎と谷村は、その方向を見る。

何かを見た門崎は、表情を曇らせる。


門崎

「ひでぇな」

谷村

「…っ…何だよこれ」


そこには、散乱した子供の衣服があった。


門崎

「人狩りの仕業か」

谷村

「多分な。お前はどう思う、早川………早川?」


いくら答えても、早川からの応答がない。

違和感に気づいた谷村は、早川を見る。


谷村

「…っ!!早川…?」

早川

「……」


早川は、目と口を見開き驚いていた。しかし、どこか理解が追いついていない様。この様な光景は、普段から人守りの警備で見慣れているはずなのだが。何故か、今回の反応だけは異常だ。


門崎

「早川…おい、早川!!」

早川

「…あり…えない」

門崎

「何がだ…」

早川

「いや…だ、だって…えぇ?」


早川は、ゆっくりと公園内部に近づき、散乱していた一枚の服を手に取る。


早川

「…嘘…よ…っ!!」


その服には、茶色いシミのようなものがついていた。それも、かなり新しいものだ。


早川

「…嘘…嘘嘘嘘…嘘嘘嘘嘘……」

谷村

「おい!!早川!しっかりしろ!!」

早川

「ありえない!!!フッ…ハァ…ハァ……」


過呼吸になる早川。

門崎はこの状況を冷静に判断し早川を宥める。


門崎

「どうした…早川、一体何があった?」


早川は、充血した目でゆっくりと服を見る。


早川

「…弟は、食べ方が汚くて、毎回服に何かシミができてる…」

門崎

「それが?他の子供の物かもしれなっ」

早川

「"弟は!!"…毎回、胸元にシミを作る」

門崎

「…っ」

早川

「何回も注意してるんだけど、直らないの」


門崎は、散らばってる衣服を確認した。


すると…。


門崎

「…っ!?」


全ての胸元付近に、シミがついていた。


門崎

「あ…あぁ…」

早川

「これは、昨日作ったカレー…匂いもまだ残ってる。それに、今門崎が持ってるそれは、一週間前に私が作ったパスタのケチャップ後」

門崎

「…っ」


シャー!!ガガッ!!


谷村&門崎&早川

「…っ!?」


突然、トイレの中から水音のようなものが聞こえる。詰まっているのか、不快な音を立てる。


早川

「…」


早川達は、恐る恐るトイレの中を見にいくと。


門崎

「…っ!?」


門崎は、何を見たのか鳥肌を立たせる。

そして次の瞬間!


門崎

「谷村!!」

谷村

「…っ!」


急に谷村を呼びかけた。

その眼力と手の震えから全てを察する谷村。


谷村

「…うん」


谷村は、一度頷き早川をトイレから遠ざける。


早川

「なに…なんなの?何があったのよ!!」

谷村

「…」

早川

「ねぇ!!谷村!!!ねぇって!!」

谷村

「……俺らがついてる……」

早川

「は…?」


その一言だけを早川に伝える谷村。


早川

「何よそれ…い、意味わかないんだけど…」

谷村

「…早川…」

早川

「なに…よ」

谷村

「…スゥ…フゥ…」


谷村は、深呼吸をし情緒を整える。


谷村

「…今日は、家に帰らない方が良いかもな」

早川

「はぁ?いや、無理だから。だって、妹達が……………」

谷村

「…」


谷村は、早川から目を背ける。


早川

「…じょ、冗談でしょ」

谷村

「…」

早川

「ねぇ、なんか言ってよ谷村」

谷村

「…」

早川

「おい谷村!!」

谷村

「……」


早川は、全てを察してトイレの方向へと向かおうとする。だが、それを全力で止める谷村。


早川

「離せ!!離してよ!!!」

谷村

「…っ」


暴れる早川を必死に抑える。トイレの入り口前では、門崎が誰かと通話している。恐らく、通話相手は警察だろう。


早川

「離してよ!!」


数十分後、公園付近にパトカーが到着した。


門崎

「お願いします」

警察

「うん…後は我々に任せて、君達はここから離れる様に。特に…」

門崎

「はい、分かってます。後は、よろしくお願いします」


門崎は、谷村と早川を連れて公園を離れた。


早川

「二人して何なの…私になんで見せてくれなかったの?」

谷村&門崎

「…」

早川

「なんで黙んのよ…私達…チームだよね?」

門崎

「だからだよ」

早川

「へ?」

門崎

「あれ見たら、お前…何しでかすか分かんねーからよ」

早川

「…」

門崎

「見ない方が、まだマシって事も…あんだろ」

谷村

「…」

早川

「…」


早川は、全てを察したのかその場で崩れ落ちる。そして顔に両手を当てて心の底から涙を流した。


谷村

「…」


門崎は、ポケットに両手を入れて早川に背を向ける。一方の谷村は、早川の側で早川の背をさする。早川は、喉が潰れるほど、朝まで泣き通した。




翌日…。



門崎

「あいつ、大丈夫かな…」

谷村

「…」

門崎

「…もう、来ねーかもな」

谷村

「いいや、早川なら来るよ。きっと」

門崎

「…あれだけの事があったんだ。流石に…キツいだろ」


あの時の状況を見ていた門崎。


-----


門崎

(ひ、ひでぇ…こんなの、人間のやる事じゃねーよ)


そこにあったのは、洋式の便座の上に早川加奈江(妹)の首が、小便器には早川加奈斗(弟)の首が置かれていた。二人の顔には数個の打撲跡と腐敗の膨れ上がり、落書きや汚物が塗りたくられていた。


-----


しばらくすると二人の前から早川が歩いてきた。


谷村

「…っ、早川」


俯く早川。


谷村

「早川…」

早川

「…っ…く…」

谷村

「…え?」

早川

「クソ…」

谷村&門崎

「…っ!!」

早川

「クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ…クソガァ!!」

谷村&門崎

「…ッ」「は、早川…」

早川

「あいつら…誰一人として許さない。全員殺してやる…」

谷村

「まて早川」

早川

「あんたらも付き合いなよ」

谷村

「だから待てって」

早川

「谷村…」

谷村

「…っ」

早川

「私には…谷村達がいてくれるんでしょ?」

門崎&谷村

「…っ!」「…」


早川は、両手を谷村と門崎に見せた。早川の手首には生々しい傷跡が合わせて4つ。


早川

「もう…キツイよ…」


早川は、徐々に顔を下ろしていく。


谷村

「…門崎」

門崎

「あぁ、分かってる。早川」

早川

「…っ」

門崎

「こう言っちゃ悪いが…こんな事でへこたれんな」

早川

「…っ!」


カチャ…。


早川は、隠していた拳銃を取り出し門崎に向ける。


早川

「殺してやる…」

門崎

「辛いのは…お前だけか?」

早川

「あ?」

門崎

「…俺も、ガキの頃親を殺された」

早川

「…」

門崎

「お前の気持ちとは違うが、俺だって受け止めきれないほど悲しいし俺は実際一時の感情に身を任せて復讐に走った。でも、それは間違いだと気づいた」

早川

「…っ」

門崎

「お前もいずれ、分かる時が来る。だから、今は必死に耐えろ」

早川

「…っ」

門崎

「耐えて耐えて耐え続けろ!そうすれば、いつか絶対報われる日が来る…消えた命は帰って来ない…だが、残された命が、お前を救ってくれるはずだ」


門崎は、早川の方に手を当てる。


早川は、その場でうずくまった。それを見た門崎は谷村の元まで行き、ポンッと、谷村の肩を叩いた。


門崎

「後は、お前の仕事だ」

谷村

「…え?」

門崎

「慰めてやれ」

谷村

「…お、おう。でも、俺にできっかな〜」

門崎

「やれ」

谷村

「はい」


谷村は、言われた通りに早川の元まで行く。


谷村

「なぁ早川」

早川

「…」

谷村

「実はさ、俺の家族も殺されたんだ…人狩りに。姉さんも…妹も」

早川

「…っ…え」

谷村

「えへ…」


無理をした笑顔を見る早川。


早川

「それ…どうやって克服したの?」

谷村

「ん……克服なんて、出来ない」

早川

「…っ」

谷村

「今でも、人狩りの奴らのこと考えただけで、無性に腹が立つ。目の前にいたら、自分が抑えられるかすらも、分からない。けど…さっき門崎が言ったおりに、ひたすら…耐えるしかない」

早川

「あぁ…」

谷村

「正直、キツイさ。それでも、俺にはこうして仲間がいる」

早川

「…っ!!」

谷村

「家族の事を思い出す時、必死に他の事を考える様にしてた。けど、門崎や早川といる内は、自然と…変な話、忘れられるんだよ」

早川

「……あぁ……ぁ…」

谷村

「だから、無理をしてとは言わない。早川も、辛かったら、俺達を頼ってよ」

早川

「…っ!」

谷村

「役に立てるかは、分からないけど…えへ」

早川

「…っ!!」


谷村の笑顔を見て再び涙が込み上げてきた早川は、顔を俯かせる。


谷村

「お、おぉ?あれ?俺…なんか、言っちゃった?」

早川

「…」

谷村

「は…早川?」


谷村に呼びかけられた早川は、ゆっくりとその顔を上げる。


早川

「…私…耐えられるかな…」

谷村

「言ったろ?俺らがいる」

早川

「……絶対……だからね」

谷村

「おう!」

早川

「…」


早川は、立ち上がる。


谷村

「よし!お仕事開始!」

早川

「…うん」

門崎

「ふっ…」

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