REAL3
天月
「これで私達人守りはやっと認められ
《《 バン! 》》
…一つの銃声が、この空間に鳴り響く。
谷村
「…」
それは…ほんの一瞬の出来事だった。
谷村の目の前にいる笑顔の天月は、頭から血を噴き出しながらゆっくりと倒れていく。
その場で倒れた天月を見て、谷村の表情から徐々に笑顔が消えていく。そして、その光景に目を見開いた。
倒れた天月の目には、光がなく…笑顔も無くなっていた。
門崎&谷村&早川
「…」
柄沢
「…」
その光景を目にしてから数秒後、理解が追い着き絶望する四人。
目を閉じることが出来ない。
そらすことが出来ない。
空いた口が塞がらない。
何故なら、目の前には先程まで笑顔だった女性が、頭から血を流し倒れているからだ。
柄沢
「え…え…おい、おい、、静波?」
柄沢は、ゆっくりと天月に歩み寄る。そして、その場で膝を落とし天月の両肩を揺らす。
柄沢
「おい…静波…静波?」
明らかに気が動転している柄沢、目の焦点が合っていない。いくら呼びかけても、天月からの返答は返ってこない。柄沢は、何かの視線に気づき、暗闇の空洞に目をやる。
するとそこには、ストレートロング(前髪あり)の銀髪に高身長で、薄く紅い瞳に言葉に出来ない程麗しい女性が立っていた。ハイヒールを履き、上下リクルートスーツに下だけやけにスカートが短くその美しく長い脚線を見せる。戦闘とは程遠い格好をしている。
その女性は、小さな銀色に輝くピストルを腹部のあたりで両手を翳して持っていた。それは、PMと言ってロシア性の"怪銃"と恐れられている優れものだ。その銃の銃口からは、煙が上がっていた。
柄沢
「…っ!」
それを見た柄沢は、直ぐに察しが付いた。それは、紛れもなく天月を撃った証拠だったからだ。
柄沢
「…」
天月を撃った犯人が分かった柄沢は、これまでにない怒りが込み上げ、我を失う。
柄沢
「…ウァァァァァ!!!!」
聞いた事もない声から怒号をその犯人に飛ばす柄沢。
谷村
「か、柄沢先輩…」
柄沢は、目を極限まで見開き、歯をギリギリと音を立たせて、歯茎から血を垂れ流す。
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天月
「…あのさ、勇猛」
柄沢
「…ん?なんだ」
校舎に咲く杉の下、そこに立つ二人。
天月
「…その、、私が辛い時とかに、いつもそばにいてくれてありがとう…」
柄沢
「…っ」
天月
「…どうしても、お礼が言いたくて…//」
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蘇ってくる天月との淡い記憶…今の柄沢の辛い心を蝕んでいく。
柄沢
「貴様!!」
柄沢は、勢いよく走り出し犯人が立っている場所に向かう。
柄沢
「にぃぃうぁぁぁ!!!!!」
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天月
「…今日もお疲れ様」
天月は、学校で必ず自分に声をかけてくれる。それも、帰りには必ず笑顔を見せてくれた。
柄沢
「おう…」
それだけで、柄沢の心はとても満たされる。
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コツ…コツ…と、空洞の奥から足音が聞こえる。その足音は、徐々に近くなりだす。そしてその音の主が、頬から光に照らされた。その者は、全身白服に両手をポケットに入れ、銀髪の女性の隣に立った。そして、完全に姿を露わにした。
白髪マッシュで身長は低く右にいる女性の肋あたりに顔がある。年齢は恐らく中学生程だ。顔は童顔で白く、男というより女の様だ。冷酷な目つきに恐いほど冷ややかな表情、本当に中学生には見えない。
謎の男
「…カイ」
男は左ポケットから左手を出し"カイ"と呼んだ女性に手のひらを見せた。すると、その横にいた銀髪の女性が反応した。
カイ
「…はい…エヴァン様」
カイは、左ポケットから何かを取り出した。それは、緑色で小さく、手のひらに収まるほどの大きさで、円形に先端に丸いピンの様なものが止まっていた。
シュピン!
そして、何かを引き抜いた音が鳴る。
柄沢
「うぁぁぁ!!!!」
柄沢は、5メートルある高さの空洞に向かって飛び上がる。
柄沢の目先には、銀髪の女性が立っている。その女性は、未だ目線を下げ続けたままだ。柄沢が怒りに任せ向かって来ているのに、微動だにすらしない。
谷村
「柄沢さん!」
カイは、ピンを引き抜いた円状の何かをその男性が見せていた手のひらに優しく置いた。
柄沢
「にぃぃ!!」
柄沢が二人の前に、今にも飛びつこうとしてきた。
謎の男
「…ふっ」
男は、柄沢に向かい手に持っていた円状の物を軽く下投げした。それが柄沢の前に飛んでくる。柄沢の目の前に飛んでくる円状の何か。
柄沢
「ウォォォ!!……あっ…」
トン…
と、柄沢の鼻に当たった次の瞬間…
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"「好きだよ…」"
天月
「…これ、みんなには内緒だからね、勇猛♪」
桜舞い散る中で、天月が言った言葉につい顔を赤くして反応した柄沢。
柄沢
「…っ//」
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《 《 ドカーン!!! 》 》
谷村&門崎&早川
「…っ!!」
大きな爆発と爆音が、谷村の目の前で起こった。それは、いずれ煙へと変化する。
ポタポタ…
谷村
「…っ」
谷村は、自身の頬に感じた事のある生暖かい感触が伝わる。
トン…
と、自身の足元に何か当たる感触がした。
谷村
「…」
恐る恐る谷村はその足元に目をやった。
谷村
「…っ!!」
谷村の目の前には、グチャグチャに砕け散った柄沢の頭や手の一部が転がってきていたのだ。
谷村
「…っ、うぅ…」
突如、とてつもない吐き気に襲われ、我慢できずにその場で嘔吐してしまった。
谷村
「…ヴェェ…えっほえほ…」
谷村は、ゆっくりと体を起こす。先程まで煙たかった灰色の煙が徐々に薄れていく。
谷村
「…はぁっ!!」
薄れていく煙から、目の前の高さ5メートルの空洞内に立っていた謎の男とカイと呼ばれる銀髪の女性を発見した。
謎の男
「…行くぞ」
カイ
「はい…」
カイ…と呼ばれる女性は、終始目線を下げ続けていた。二人は、この状況の中、まるで何も無かったかの様に無表情で振り返り帰ろとした。それを、谷村は許さなかった。
谷村
「待てぇ!!!」
門崎&早川
「…っ!」
突然声を荒げた谷村に驚く二人(門崎、早川)。帰ろうとしていた男は、振り返り谷村を見た。
謎の男
「…」
カイ
「…」
谷村の額には血管が浮き上がり、物凄い形相で二人を睨んだまま言葉を飛ばした。
谷村
「よくも天月先輩と柄沢先輩を!!」
谷村は、腰についていた銃を手に取り柄沢の様に突撃しようとした。それを後ろから門崎が止めに入った。
門崎
「やめろ谷村!!」
谷村
「うぁぁ!!離せ門崎!!!」
門崎
「今は冷静になれ!!」
谷村
「うるせぇ!!」
この異様な状況を見て、過呼吸に陥る早川。
早川
「ハァァ…ハァァ…」
謎の男は、数秒間谷村を見た後、再び振り返り空洞の暗闇へと歩いて消えていった。
谷村
「待てぇ!!待てよおい!!逃げんな!!!」
冷静を保てずにいる谷村をなんとか抑える門崎。
谷村
「テメェの顔…覚えたかんなぁぁ!!!!」
その声は、空洞の奥まで響いた。
その後、天月や原型がなくなった柄沢の死体を見ながら絶望していた三人の後ろから、武装した特殊部隊達が大勢やってきた。
翌日の夜…教会では、今回の戦いで亡くなった生徒達の弔いをしていた。その数なんと、50名…約半数の若く未来ある少年少女達は、叶わぬ夢や希望を現世に残したまま儚く散っていった。泣きながら祈りの言葉を捧げる生き残った生徒達。祈りが終わった後、墓に一つずつ花を添えていく。天月と柄沢の墓は隣同士で建てられており、そこには二人とみんなが写っていた写真が飾られてあった。
生徒達
「育成場内でも一番だった二人がこんなにもあっさりと…」「…二人でも無理なら、私達なんかに人守りが出来るわけないでしょ…」「そんなにも人狩りは強いのか…」「…これからどうすれば…」
天月に柄沢と、育成場のトップ二人がやられ、酷く絶望する他の生徒達。確かに、人守り育成場からしても、今回二人を失ったのはかなりの痛手になってしまったはずだ。
そんな中、儀式が終わり一人焚火の近くで落ち込んでいた谷村。
谷村
「…」
そこへ、門崎がやってきた。
門崎は近くにあった木に寄りかかる。
門崎
「…なんだ、ここに来れば死人なんて見ずに済んだとでも思ってたのか?」
谷村
「…っ」
門崎
「正直、何処かでこうなる予感はしてた。でも、それでも、天月さんや柄沢さんの様な優秀な先輩が、あんな形で死ぬなんて事は、全く予想なんてしてなかった。辛いのは、俺も一緒だ」
谷村
「それなら!なんであの時俺を止めた!!」
門崎
「あそこで俺らが突撃していったら、天月さんや柄沢さんが残してくれた言葉や想いを誰が受け継ぐんだ!」
谷村
「…っ!」
門崎の言葉に谷村は言葉を詰まらせた。
谷村
「…くっそ…くっそぉ!!…どうして俺は、いつも何も出来ずにいるんだよ…」
門崎
「…」
門崎は、その言葉を聞いてある事を谷村に教える。
門崎
「なぁ谷村」
谷村
「あぁ?」
門崎
「お前知ってるか?この、人守り育成場に集まってくる奴らの事」
谷村
「え…」
門崎は、ゆっくりと息を吸いそれを星空に向かいはく。
門崎
「ここに来る奴は二種類いる。一つは、どうしようもないバカ共。金もなければ未来もない、手を焼いた親達が送ってくる。そしてもう一つは…人狩りに家族を殺された事から、恨みや憎しみの復讐心で来る者達だ」
谷村
「…っ!!」
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「お兄〜ちゃぁ〜ん!」
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門崎
「お前は一体、どっちなんだ」
門崎は、谷村の方を向く。
谷村
「お、俺は…」
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幼き頃の谷村…。
谷村
「ただいま…」
茜色の空の下…リュックをしょった谷村は、家へと帰ってきた。しかし何か様子がおかしい、家は暗いというのに灯りが一つもついていない。
谷村
「お母さん、お父さん?」
玄関を上がり中に入る谷村。
谷村
「…」
背負っていたリュックを肩から床に落とす。呆然と見つめていた先にいたのは、階段で必死に生きようと息をする姉の姿であった。
谷村
「ゆ、結奈姉…ちゃん?」
姉は、アキレス腱や肘と言ったあらゆる神経を切られ、身体中から刺し傷を負いながら、口だけをピクピクと動かして何かを必死に訴えようとしていた。
谷村
「…っ」
谷村は、姉に近づき耳を口に近づけた。
谷村の姉(結奈)
「…ゆ…ぃ……ゆぃ……ゆい……ゆい…が……」
谷村は、姉の右手を見る。すると右手の人差し指が、リビングの方向を指していた。
谷村
「…っ!」
谷村は、何かに気づきすぐにリビングに向かった。リビングの扉を開く。
谷村
「…うぅっ!」
それは、とても惨たらしい光景であった。
リビングには、父と母が首を切られ死んでいた。
リビングの前にあるガラス越しの扉から、誰かが倒れているのが見える。谷村は、ゆっくりと扉に近づき、扉を開けた。
谷村
「…」
そこにいたのは、口から泡と嘔吐物を吹き出し、喉奥には排泄物が詰まっていた幼い少女の姿であった。更に、全身には打撲したアザや数々の刺し傷などがあった。谷村は、倒れている少女に近づいた。
谷村
「…っ、ゆ、結衣」
信じられない事に、まだ小学生の妹である結衣の陰部からは、白い液体と赤い血が混じった物が大量に溢れ出ていた。
谷村
「…結衣…」
谷村は、涙を流しながら優しく妹の体を起こし、そっと抱きしめた。
谷村
「ごめんな…結衣…ごめんな……お兄ちゃん…お前の事、守ってやれなかった」
抱いていた妹からは、とてつもない異臭が放たれていた。
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谷村
「俺は、どっちでもねぇ」
門崎
「…っ!」
谷村
「俺は、この世から人狩りを無くすまで、一生を掛けて戦い続ける「人守り」になるだけだ」
谷村は、立ち上がって門崎に熱い視線を送る。それを見た門崎は、微笑みながら俯き、そして谷村と目を合わせる。
門崎
「…ふっ」
谷村
「…」
門崎は、寄りかかっていた木から離れ、背を起こす。
門崎
「それじゃあ、俺は正式にお前とペアを組む」
谷村
「えっ…」
門崎
「いや…俺ら、か…」
谷村
「…っ」
谷村は、こちらへと向かってくる早川を見た。
早川
「私は、人狩りに家族を殺されたわ。だから、あんた(谷村守)の気持ち、よく分かる。私らで、この世から人狩りを撲滅しよう」
早川の目に焚火が映り、まるで燃えている様に見えた。
谷村
「…」
門崎
「こんなとこ、ちゃっちゃと卒業して、人守りとして、これ以上人狩りによる被害者が出ない様に俺達がしてやろう」
谷村
「…お前ら、本当に良いのか?」
門崎&早川
「あぁ」「えぇ」
谷村
「…っ…ふふw」
谷村は、一度肩を動かして笑った。
そして、二人に笑顔で言った。
谷村
「よっしゃぁ!!俺ら三人で、必ず一人前の人守りになるぞ!!そして、二度と自分と同じ目に合う人間を生まない為にも、人狩り達を一斉検挙してやるぜぇぇ!!」
門崎&早川
「フフッwそうだな…」「まぁ、一斉検挙は警察の仕事だけどね」
確固たる意志を共にした三人、後日正式にメンバーとなった。
そして、時代は次へと動き始めていた。
「REAL」 END
白と赤のみで構成された洋風な白城。
〜♪
部屋内に流れる構想曲。
シャキ…シャキッ
鋭いハサミが切れる音。
窓があり、大きなベットが着いた部屋。そこに、二人の男女がいた。男は、髪が白く幼い。女は、長くストレートな銀髪で身長が高く、美しい。男は、椅子に座り微動だにせず髪をカットされている。方や女は、座っている男の髪をカットしていた。女は、髪を切り終わると、次は髪をセットし始めた。手際が良くそして出来上がった形は一ミリもズレや蒸れなく完璧な仕上がりを見せた。男は立ち上がり、目の前にある鏡を見る。
男
「行くぞ…カイ」
カイ
「はい…エヴァン様」
-----
第2話が終了になります。
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます!




