訓練校2
場面は移り、茜色に染まった空の下…谷村家にて。
谷村
「よし、もちもんは全部まとめたし!そろそろ行くか!!」
自身の部屋で荷物をまとめていた谷村、その後ろから谷村の母と思わしき人物がやってきた。
谷村母
「守ちゃん、ちゃんと明日の準備はできた?」
また、母の横から容姿端麗な女性が現れた。
綺麗な女性
「あんたまだ準備終わってなかったの?」
谷村母
「あら、お姉ちゃん」
また、その女性の後ろを駆ける様に去っていく女の子が現れた。
谷村姉
「こら、階段を降りる時はちゃんとゆっくりね!」
女の子
「分かってるよお姉ちゃん。それよりお兄ちゃんに早くしないと遅刻するよ〜って言ってあげて〜」
谷村は、部屋からまとめてきた荷物を持ち玄関に立った。玄関付近にある扉が開き、そこから一人の女性が出てきた。
谷村
「それじゃあ、母さん父さん!行ってくる!!」
玄関の扉を開けた後、谷村は振り向き笑顔で言った。
谷村母
「は〜い、気をつけて行ってらっしゃーい」
玄関を飛び出す様に出て行った谷村。それを笑顔で手を降り、暗い玄関から見送る谷村の母がいた。母の目には、谷村によく似た、ランドセルを背負った幼き男の子が映っていた。
数十分後、学校に着いた谷村。
谷村
(はぁ…はぁ…しんど!)
汗を流しながら寮へと入る谷村。入り口には、担任の畠山が立っていた。
畠山
「おっ、来たね谷村君」
谷村
「あ、先生」
畠山
「はいこれ」
谷村
「ん?」
谷村の手に、鍵のついた番号札が渡された。
谷村
「7番…先生、何これ」
畠山
「これは、自分の部屋の番号と鍵だよ」
谷村
「ふ〜ん」
谷村は、それを持ったまま部屋へと向かった。部屋の前に着き、鍵を開けようと鍵穴に差し込み、左へと曲げる。
谷村
「あれ?」
左へなんど曲げても鍵が回らない。
谷村
(もしかして、空いてる?)
予感的中、ドアノブを下にずらすと扉がすんなりと開いた。
谷村
(なんだ、最初っから空いてたのか)
と思った谷村の目の前には、ベットが左右に一つずつ置かれていた。
谷村
(ま、まさか…この寮って共同)
谷村は、先に左ベットに積まれていた荷物を確認した後、右のベットの上に荷物を置いた。次の瞬間、水が流れる音が聞こえその後、後ろの扉がガチャリと空いた。
谷村
(ギクッ)
谷村は、ゆっくりと振り返った。開いた扉から、私服姿の門崎が出てきた。
谷村
(よりによってコイツとかよぉ!!)
そんな谷村と目が合う門崎。
門崎
「ん…?」
チュンチュン♪と、小鳥の囀りが聞こえる。
外はすっかり朝になっていた。
1-A組の教室内には、谷村含む生徒達の姿があった。
畠山
「一時限目の授業は、4大貴族について学んでもらいます」
生徒達
「…」
畠山の授業を真剣に受ける生徒達。
畠山
「4大貴族について知っている人は何人いるかな?」
谷村
(4大貴族…?なんだそれ)
殆どの生徒達が首を傾げ知らない素振りを見せる。しかし、役2名ほど手が上がっていた。
その一人に、門崎がいた。
畠山
「お、門崎君。君は知っているんだね」
門崎
「はい、4大貴族…それはこの日本で最も権力を持つ名家の者達の事、人守りをする上で忘れてはいけない極悪非道の存在です」
畠山
「…うん、言葉は改まりたい所だけど、その通り」
畠山は、黒板に4大貴族についての説明を行い始めた。
畠山
「まず、4大貴族はその名の通り四つの一族からなる名前だ。下から権力順に言っていけば、「白童一族」「負・葊一族」「神玉一族」そして、「天心一族」今回はこれを一つ一つ説明していこう。一つ目「白童一族」この一族の特徴として、暗殺があげられる」
生徒達
(…ゴクリ)
暗殺…と言う言葉を聞いて、より深い現実へと引き込まれる生徒達。
畠山
「白童一族とは、殺しを専門とし、暗殺を得意とする一族である。殆どの殺しには、この白童一族が関わっている」
谷村
(とんでもない一族だ)
畠山
「続いて二つ目「負・葊一族」
谷村
「えっ、ふ↓あん↑?」
畠山
「ちょっとイントネーションが違うかな…正しくは、ふ↑あん↓だね」
谷村
「ほぉ…」
畠山
「この一族は少し特殊でね。噂では、他国から来たのではないかと言われている」
谷村
(確かに…名前からして日本っぽくは無いなぁ)
畠山
「この一族は、4大の中でも厄介でね。話術に長けていて、人を騙したり誘導したりってまるでピエロの様な事をしてくるんだ。過去にも、そのせいでこちらの情報が全て筒抜けになり一部の特殊部隊が壊滅した程だからね」
まだ二つだと言うのに、生徒達の気が重くなっていく。
畠山
「みんな、これは真剣に聞かないと、今後君達の命に関わってくるからね」
生徒達
「…っ」
畠山
「次に、三つ目「神玉一族」この一族は、表向き世界の歴史ある宝石などを取り扱う専門屋として見られがちだけど…裏では拷問を得意とする一族として有名なんだ」
谷村
(ご、拷問…)
畠山
「そして最後に、先程紹介してきた一族の中で最も権力と財力を持っている一族が「天心一族」この一族こそ、この人狩りの異常文化を始めた元凶。最悪で最凶の一族だよ。世の中を、唯の弱肉強食だと思っているまさに貴族の中心一族。以上が、4大貴族に対しての説明になる」
生徒達
「…」
畠山の説明が終わると、生徒達は皆不安感に襲われていた。
畠山
「ほらほら、みんな落ち込んでても始まらないよ!」
生徒達
「…」
そんな中、谷村だけが手を挙げて発言した。
谷村
「先生」
畠山
「ん?どうしたの谷村君」
谷村
「何故、警察はこんなにも情報があるのに逮捕しないんですか?」
畠山
「あ…それには色々事情があってね。やっぱり、彼らの力って言うのはかなり大きいものでね。それは、日本を支える上でかなり重要なんだよ。警察も迂闊には手を出せない。下手に一族を起訴しても、権力で負けるだけだし、逮捕するっていうよりは、辞めさせる…って言う方が、人守りとしては正しいのかも。人守りである僕らは、警察とはまた違った部類だからね」
谷村
「…っ」
畠山
「ほかに質問はあるかな?」
谷村
「…」
畠山と目が合う谷村。
谷村
「…っ」
畠山
「…んふ」
谷村
「…ないです」
畠山
「…そっか、それじゃあこれで一時限目を終わります。二時限目は、上級生と合同で実践訓練を行うから、各自訓練服に着替える事、いいね」
生徒達
「はい…」
生徒達の返事が小さい。当然だ、生徒達の不安を煽る様な内容を話したのだから。
畠山
「…ん〜。ほらほら!みんな元気出して!大丈夫、この学校にいる以上、君達はまだ訓練兵と言う扱いになってる。実戦は卒業した後に行われるから、それまでは気にしなくても良いと思うよ」
門崎
「…っ」
生徒達
「そ、そうだよね」「うんうん」
門崎
「…」
卒業…実戦…その言葉を聞いて、生徒達の不安感が徐々に薄れていく。
山中
「みんな〜意外と良い体してんじゃ〜ん」
女子生徒達
「やめてよ〜」「山中ちゃんだって良い体してるじゃん」
早川
「…」
訓練服を着終わった生徒達は、担任が来るのを待つ。
谷村
(なんで女子は教室で男子は玄関なんだよ…くそぉ!!見たかった…)
教室の扉が開き、担任が入ってきた。
畠山
「お、みんなちゃんと着替え終わってるな〜。
それじゃあ、全員今からグラウンドまで行ってもらう」
生徒達
「はい」
教室内を出た一向は、グラウンドへと向かう為校舎を後にする。広々としたグラウンドに着くと、先に上級生らが待っていた。
上級生
「きたな新一年生達」
畠山に連れられ、上級生達と対面する一年生達。
畠山
「それでは、これからフィジカルトレーニングと武術を一から指導していきたいと思います…と言っても、私は武術の方では無知なので、ここからは上級生の皆さんに教えてもらってください」
生徒達
「あぁ…」
谷村
(雑…)
上級生
「それじゃあ今から、フィジカルトレーニングをやるから、みんな間隔を空けて立ってね」
指示通りに動く一年生達。
上級生
「今からメニューを発表していくね。まず初めに、ラジオ体操を3分。そこから、腹筋に背筋にスクワッドに腕立て伏せを50回3セット行います」
生徒達
「…嘘」
上級生
「それじゃあ、ビシバシやっていくよ!」
山中
(あの先輩テンションたけ〜)
そこから、一年生達は必死にメニューをクリアしていく。
谷村
「あ…あぁ、だめだ…死ぬぅ!!」
谷村も食らいつくのにやっとだ。しかし、そんな谷村の目に最悪な光景が見えてしまった。
門崎
「ふっ!ふっ!」
なんと、軽々とそのメニューをこなしていく門崎がいたのだ。
女子生徒達
「…はぁぁ//流石門崎君」
上級生の女子達
「あの子カッコ良くない…//?」「それな〜!」
早川
「…//」
谷村
「…ハァァァ!!!」
なんと、他の女だけでなく早川まで門崎を見ていたのだ。
谷村
(クソォ!!負けてられっかぁ!!)
谷村の闘争心に火がついた。
谷村
(オラオラオラオラオラァァ!!)
気合十分!谷村は、高速でメニューをこなしていく。それを見た上級生が谷村のやる気をかった。
上級生
「お!あの子良いねぇ〜」
するとその上級生は、谷村の補助に回った。
上級生
「ほら!後30回!!」
谷村
「ひぁぁ!!」
鐘が鳴り、2時限目が終了した。
谷村
「ア…ア…」
ほぼ死にかけの状態にいた谷村。闘争心から、張り切りすぎてしまった。ここから、3限目…4限目…5限目…6限目と、授業を行なっていく一同。最後の方では、全員がクタクタの状態だ。これが数ヶ月程続いたある日、2限目最中の事だった。
畠山
「今日は、みんなに紹介したい人がいる」
訓練服に着替えて教室で待機していた生徒達。その前に、見るからに好青年の男子生徒と、美しい容姿をした黒髪ロングの淑女が入ってきた。




