訓練校
キャラ名
「〜です」
↑鉤括弧の上にキャラ名が乗っていることがほとんどなので、個人によって読みずらい等あるかもしれませんがご了承いただけますと幸いです。
主人公・谷村は、目の前にある正面玄関に入り、上履きに履き替えそのまま校舎内へと入った。場内は、学校と言うより介護施設に近い作りになっている。谷村は、想像していた物と違っていたのか、不思議そうに周りを見渡す。
谷村
「お…」
勝手に一人場内を歩き回る谷村の前に、スーツを着た中年の男性が現れた。
中年
「おや、君は新入生かね?」
声を掛けられた谷村はその場で歩みを止めた。
谷村
「えっ…」
谷村は、自分より背丈があり明らかに年上の人物を見て緊張状態になり口が悴む。
谷村
「は、はい!!」
その動きを見て察したのか、男は谷村に向けて微笑んだ。すると、谷村の悴んでいた口は徐々に解け始めた。
中年
「おぅ〜そうかそうか、じゃあ式場に向かわなきゃね」
谷村
「式場…」
中年
「そうだよ、今日入学してくれた子達は始めに式場で入学式を行わなきゃいけないんだよ」
谷村
「あっ!!」
谷村は、完全にその事を忘れていた。
谷村
「思い出した!!おじさん、ありがと!」
そう言い残した後、谷村は男に背を向け式場へと駆け足で向かっていった。
中年
「お、おじさん?」
男に言われた方向へと向かうと、開けた場所に行き着いた。谷村は、早めていた足を止めた。
谷村
「…っ」
瞬きを二、三回し、その建物を眺める。風が靡き、大きな金色の鐘が音を立てる。
谷村
「…ここって、教会?」
そう、谷村の目先にあった物とは西洋の神殿と言われ死者達を癒し天国へと誘う場「教会」であった。
谷村
「なんで、学校に教会が…」
谷村の前を歩いていた生徒達が教会へと入っていく。谷村も急ぎ教会の入り口へと向かった。入り口の扉を開けると、中は一般的に知られる教会そのものだった。違いを言えば広さだ。生徒150名は軽く入る程である。谷村は、赤く敷かれていたカーペットを踏む。カーペットを踏み歩き、その先に目線を送ると大きな十字架が建てられていた。更に、十字架には人型の銅像が縛られていた。綺麗な曲線を描く体つきに儚げな表情、艶やかな髪、その朧げな目からは涙が溢れていると思われる。人体の構造からして、それは女性だ。
谷村
(普通、十字架に縛られてるのってあの有名な男じゃないのか)
「…だよね〜」
谷村
「…ん?」
谷村の耳に声が聞こえてきた。それは、男女両方のものだ。声の聞こえる方向を見ていくと、そこには自分と同年代と思われる者達が楽しそうに会話やスマホと言う通信機械で写真をなどを撮っていた。
男女
「はいチーズ!」「可愛く撮れた?」「うん!」「いえ〜い!」
訓練校だと言うのに、周りは案外緩く、真面目な者もいれば、お調子者やおちゃらけた格好をした者達までいた。
谷村
(想像してたのと違うな〜。なんかこう、訓練校ってキッパリとしたイメージだったんだけど…こう見ると、案外緩いのかな〜)
とてもとは言えないが、この光景だけを読み取ると、彼らから人を守ると言う意志が感じられない。
谷村
(ザ・底辺学校って、感じだよな…これだけ見ると)
唯、スマホが普及している現代でのこの光景は「今どき」と、言えるのも一つの見解かも知れない。
カ〜ン♪
鐘の音が、教会内に鳴り響く。生徒達は、その音を聞き椅子に座り始めた。いよいよ入学式が始まる合図だ。先程まで騒がしかった教会内が、一気に静まり返る。すると、入り口の扉が開きそこから自分達と同じ制服を着用した男女が列をなし、新入生達の前に両手を後ろに組んで整列した。その最後尾から貫禄のある男性が中心に立った。
男性
「初めまして新入生諸君、まずはこの言葉を送る事にしよう。入学おめでとう。私は、東京都警察本部署長であり、この人守り育成場の校長…と、言ったところだ」
その実績を聞いて騒めき出す新入生達。
谷村
(東京都警察本部の署長だって!?)
校長
「これから諸君らの成長に、大きな期待をしている。頑張ってくれたまえ、以上だ」
谷村
(えっ?名前は…)
校長は、名を明かさずそのまま教会を出て行った。その後に続く様に、整列していた者達も教会を出て行った。
谷村
(なんだったんだあの校長)
カ〜ン♪
再び教会の鐘が鳴る。入り口付近から女性の声がしてきた。
女性
「それでは、新入生の皆様。只今から、呼ばれた番号順に教室内へと案内していきますので、呼ばれた方は立ち上がり私の近くまでお越しください。それでは番号を呼ばせて頂きます」
谷村
(番号…?)
谷村は、聞き覚えのないフレーズに焦りを覚える。
???
「胸ポケット…」
谷村
「…っ!」
何処からか声が聞こえた。あたりを見回したがそれらしき人物は見当たらない。仕方なく胸ポケットを触ると、何やら身に覚えのない手帳が出てきた。
谷村
「なになに…学生証?」
中を開くと、自分の写真と番号が振られていた。
谷村
(25番)
女性
「続きまして、25番の方」
谷村
「…っ!は、はい!!」
これだと気づいた谷村は、立ち上がり女性の方へと向かった。
女性
「以上、今呼ばれた方々は私に着いてきてください」
女性が教会の扉を開けて校舎へと向かう。それの後に続く様に新入生達が着いていく。校舎内へと入り、階段を上がり、一階へと登る。一階へ着くと、3クラス「1-A」「1-B」「1-C」と札が各教室の扉に付けられていた。
女性
「こちらです」
女性についていくと、目の前にはクラス「1-A」にたどり着いた。
女性
「こちらに入り、それぞれ手前から番号順に座って行き、担当の者が来るまで待機していてください。それでは」
事務的な対応と笑顔で話を終わらせた女性は一礼した後去っていった。生徒達は、先程の指示に従い番号順に座った。周りは全員初対面の者達ばかりで、緊張する谷村。教室の扉が開き、そこからスーツ姿の男性が入ってきた。
谷村
(あっ!)
見覚えがあるのか、谷村は驚いた。その男性は教卓の前に立ち生徒達に自己紹介を始めた。
男性
「今日から、この1-A組の担任をする「畠山」と言います。以後、よろしくお願いいたします」
かしこまった挨拶に整った姿勢、できる人間だ。
谷村
(まさか、あの人ここの教師だったのかよ…)
畠山(担任)
「と…堅苦しい挨拶はやめましょう」
生徒達
「…っ」
畠山
「いや〜、今回始めて担任を任せられた物で凄く緊張してましてね〜。やっぱり、今の若者に合わせた方が良いよね!だから、みんな出来るだけラフに接してくれて良いからね!」
生徒達に向かい笑顔でグッとポーズをする担任畠山、良い歳こいたおじさんがやるにはとてもみっともない。
生徒達
「…あぁ」
(いやなんか、今の若者に対する偏見を履き違えている気がする)
谷村
(と、唐突!)
しかし、案外良い雰囲気になるクラス内。気がつけば、生徒達の殆どがすっかり畠山に慣れ始めていた。
畠山
「え…っと、みんな初めてだもんね。それじゃあ、簡単に自己紹介していこうか。まずは私…いや僕から」
すると畠山は、黒板を使い自身の自己紹介を始めた。
畠山
「僕は、ここの教師5年目、こうなる前は補助役が殆ど。一応掛け持ちで、今も警察官をしてるよ。僕はここまでとして、それじゃあ次は、君から行こうか」
畠山は、先頭にいた一番右端の女子生徒を指した。
女子生徒
「は、はい!!わ、私は…」
次々と自己紹介をしていく生徒達。
女子生徒
「出席番号4番 山中智子で〜す♪みんな三年間よろ〜」
畠山
「よ、よろしくね。それじゃあ次、君お願いね」
???
「はい」
谷村
「…っ」
その声に聞き覚えがあるのか、立ち上がる男子生徒を見た。綺麗な立ち姿、真面目そうで眼鏡をかけ端正な顔立ちをしている。
???
「出席番号5番 門崎 司です。よろしくお願いします」
女子生徒達
「あ…//」
谷村
(…っ…こいつは厄介なやろうだ)
教室内にいる女子達が全員門崎を見て頬を赤くする。
畠山
「よろしくね」
門崎が座ると、その隣にいた女生徒が話しかけ始めた。
山中
「へ〜めちゃイケメンじゃん。よろぴくね〜」
門崎
「…」
山中
「ひっでぇ〜シカトかよ〜。うち悲しい〜」
次々と生徒達が自己紹介を進めていく。
そしていよいよ自分の番が回ってきた。
谷村
(よっしゃ!きたぁ!!)
谷村は、勢いよく立ち上がる。
谷村
「出席番号25番!谷村 守!ぜってぇ日本一の人守りになる男だ!みんなよろしくな!」
生徒達
「…」
ぽかーんと、浮かばない反応を見せた生徒達を見て、羞恥心が込み上げ始めてきた。
谷村
「あれ…//」
畠山
「…あはは、良い意気込みだね。よろしく」
谷村
「は、はい…//」
ちょこんと座ると谷村を見た生徒達はクスクスと笑った。
畠山
「じゃあ次」
???
「はい」
谷村
「…っ」
綺麗な声が聞こえ、その方向を見る。
???
「出席番号29番 早川 加奈芽です。これからよろしくお願いいたします」
谷村
「…っ//」
早川という一人の女子生徒を見た谷村は、一目で恋に落ちた。薄い赤色の髪に、漂うふんわりとした良い香り、まさにヒロインの名に相応しい…と、谷村のみ思っていた。
畠山
「よろしくね」
そして、最終出席番号30番の生徒の自己紹介が終わった。
畠山
「これからみんな、何年間になるかは分からないけど、取り敢えず一年間よろしくね」
生徒達
「はい!」
この日は、特別日として3時間という短い時間に渡り授業が行われた。全授業が終了し、最後に担任から説明を受ける。
畠山
「これから、君達は実家を離れここの寮に住んでもらうから、荷物を全部まとめた後、各寮に移動する事、分かったかな?」
生徒達
「はい」
最終説明が終わり、下校を始める生徒達。




