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脅威

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ!!」


そこはどこかの屋敷。

一人の若くふくよかな体型をしている少年が汗をかき必死に何かから逃げている。


トコトコ…♪


革靴の音が空間に鳴る、その音は2つ。


白童

「…」

カイ

「…」


二人が通る廊下には額縁が設置されてありそこに大久保家と書かれていた。

ここはどうやら大久保家内ということになり二人は今無断侵入している形になる。


二人の歩いてきた背景にはいくつもの死体が転がっていた。


タッタッタッタッ!


こちらに複数の武装した男達が走ってくる。


ふくよかな少年

「た、助けてくれ!!」

男達

「さ!こちらへ!」

ふくよかな少年

「頼むぞ!」


カチャ!カチャ!!


男達

「止まれ!さもなければうつぞ!」

「お前達は何者だ!」


白童とカイは言われた通り足を止める。


白童

「カイ…」

カイ

「はい、エヴァン様」


カイは腰に隠していた銃を取り出し白童へ手渡す。


男達

「銃を捨てろ!」


白童は男達に銃を向ける。


バンバンバン!!


白童は瞬く間に頭の中心を一ミリもずらさずすべて一発で撃ち抜いた。


ふくよかな少年

「ひ、ひぃ!!」

カイ

「お見事です…」


白童はカイへ銃を返す。

その後再び歩きふくよかな少年へと迫りくる。


ふくよかな少年

「く、くるなぁ!!だれか!!誰か助けてくれ!!」



場面は移り負・葊一族の第三基地と思われる場所へ。基地前にはヘリや車が数台停められていた。


すると出口から堂々と出て来たのが3人。

谷村、早川、門崎である。


谷村

「フゥ…」


体をほぐし一件落着と言わんばかりだ。


背後からスーツ姿の男が現れ3人に一礼する。


人守り

「今回の任務お疲れ様でした、あれほど早く片付くなんて流石です」

谷村

「いやいや、大したことじゃないですよ」

人守り

「そんな!大活躍でしたよ。

特に真っ先に敵に乗り込んで行った時はもう!

すごくかっこよかった」

谷村

「そんなそんな」


谷村は自慢げに物を言う。

その姿を二人は遠目で見ていた。


早川

「なんかあいつ嬉しそうね」

門崎

「フッ、まぁ嘘は言ってないからな」


3人は車に乗り本部へと戻る。

本部につき車を降りた後ロビーに入った。


門崎

「悪いがトイレに言ってくる」

谷村

「おう」


門崎は右手にあるロビーのトイレへと向かおうとした。


谷村

「あ!門崎」


しかし咄嗟に呼び止めた谷村。

何があったと言うのか。


門崎

「なんだ」

谷村

「小さい方それとも大きい方?どっち?」

門崎

「知るか!」


そんな無駄なやりとりをした後受付で任務完了の報告をしエレベーターへと向かおうとしたその時だった。


女性

「あ、あの!」


谷村の前に一人の女性が現れた。

とても綺麗な子だ。


谷村

「は、はい」

女性

「谷村守さんですよね」

谷村

「そうですけど」

女性

「実はその…お話が」

谷村

「えっ?俺に?」


女性は谷村の前で何やら恥ずかしそうにモジモジとしている。


谷村

(この感じもしや…やっと俺にも春が来たか)

早川

「…っ」


谷村はガッツポーズをする。

その状況を真後ろから冷ややかな目で見ていた早川。


女性

「こ、これ!!」

谷村

「へっ」


女性は谷村に一通の手紙を差し出した。


女性

「門崎さんに渡してください!それじゃあ!」


ヒュ〜と冷たい微風が谷村の前を通り過ぎる。


早川

「フッ」


早川はそれを見て薄笑いをした。


門崎と合流した後エレベーターに乗る。

地下でエレベーターが止まり扉が開くと3人が降りてくるが中央の谷村が何やら落ち込んでいる。


谷村

「なんで門崎なんだよ…」

早川

「当たり前でしょ、門崎の方が顔も頭も良くて仕事もできるんだからモテるに決まってるって」

谷村

「世の中不平等だぜ、くそ!」


谷村は門崎を睨みつける。


門崎

「俺にあたるなよ」

谷村

「ハァ…」

早川

「まったくw早く立ち直りな」

谷村

「とほほ〜むしゃくしゃしたから俺筋トレしてくる」


谷村は仮眠室の奥にあるトレーニングルームへと向かっていった。


早川

「私もそうしよっかな、門崎は?」

門崎

「俺は仮眠室で本でも読む」

早川

「そ」


各々次の任務までの時間を過ごす。



場面は移り赤と紫色に彩られた派手な豪邸へ。

そこには神玉という紋章が刻まれていた。


ガシャーン!!


鏡が割れる音が屋敷内から聞こえてくる。


神玉

「ふざけるな…何故私の基地の空洞プログラムが破壊されているんだ!!」


ガシャーン!!


再び破壊される鏡。


神玉

「ハァ…ハァ…ハァ…」


何者かの口元が映りその者はニヤリと口角を上げている。


神玉

(許さん…!!)


ひび割れたガラスに映る神玉の表情は悍まくそして恐ろしい。


神玉が眉間に皺をよせると…


ピキッ!!


鏡にさらにヒビが入った。




再び場面は切り替わり冒頭のシーンへ。


ふくよかな少年

「く、くるなぁ!!誰か!!誰か助けてくれ!!」


迫り来る白童とカイ。

その時だった…メイド服を着たおそらく女であろう者がふくよかな少年の前へと静かに現れた。

顔は面のようなものをかぶっているため分からなくなっている。


ふくよかな少年

「…お、おぉ!メイドか」


するとふくよかな少年の元へ他のメイド達もやって来た。


メイド

「ぼっちゃまご無事でしたか?」

ふくよかな少年

「あぁ!ところであれは?」

メイド

「さぁ、わかりません」


他のメイド達と見比べるとよりその体格の差が分かりやすく映る。引き締まった筋肉に高い身長…明らかに気配が違う。


ふくよかな少年

「あぁもう何でもいい!お前頼むぞ!」


するとそのメイドは腰から小型ナイフを取り出し高速回転させながら前へと持っていき構える。その構えはまるで獲物を狙う豹が如く。


カイ

「…っ!?」


するとカイが何を思ったのか咄嗟に右手を白童の前へ伸ばし擁護の形をとる。


白童

「…っ…カイ」


初めて見せたカイの咄嗟の判断に白童も驚く。


白童

「…っ」


カイの頬には冷汗がたれ目を見開き驚いた表情をしていた。これは焦りなのか?


白童

「カイ…」


誰が相手でも動揺を見せないカイが目の前にいる一人の人間を警戒しているという異常事態。


カイ

「あぁ…」

白童

(こんなカイを初めて見た)


カイはナイフを取り出し白童の前に立つ。


お面に隠れた表情を見透そうとカイの目が少し細くなる。


お面をつけたメイドが先手を取るためか仕掛ける。


カイもそれに反応するように防御の構えに入る。


両者の距離は約1m、お面をつけたメイドがナイフで切り掛かりその後指に力を入れ手のひらの下で、遠心力を活かしナイフを高速で横回転させる。


フォルルルルル!!!(高速に回転する音)


それは両手で行われておりいつどのタイミングで切り掛かってくるのかと惑わせられる。

さらにその回転を活かし攻撃を仕掛けてもくるので、手が休まることがない。


キンカンカン!!


カイ

「…っ」


カンカン、キンガン!ガン!!


休まることもなければ威力が増していく攻撃。


カイ

「…」


二人のナイフから火花が迸(ほとばし)る!


白童

(カイが…押されてる?)


よく目を凝らせば、カイが後退りをしているではないか。


白童

(一体何者だあのメイドは)


この状況をよく思わないのか白童の眉間に皺が寄る。


カンカン!!


カイ

「くっ!」


攻撃の際相手は体勢が低いこともあり防ぎずらい状況。とはいえカイは初見ながら相手の攻撃を防いでいる。それもまた超人的な反応である。


激しい攻防が続く中カイが初めて攻めに転じた。


カイが体勢を低くし腹部めがけて前に足を突き出す。


相手はそれに反応し腕を前に出し防ぐ。


今度は相手が右足を前に出す!

カイはすかさず防御に転じるが前に出された足がカイの頭部左付近へと方向を変えつつ高速で蹴りが繰り出される。


カイ

「…」


カイは動揺することなくその方向に防御の構えに入った。


パン!


見事防御するがその威力は凄まじいと音で分からせられる。

次に左足が前に出されさらに胴体を回転させ威力を上げてくる。

そのような攻撃が幾度となくカイを襲った!


しかしカイもその攻撃を完璧に塞ぐ。


そんな戦闘をメイド達は手に汗を握りながら見ていた。


蹴りが止まずに飛んでくる中カイは回し蹴り最中の次間に前のめりで向かう。


拳を作り重心を支えるもう片方の足へその拳を向けた。


相手もそれに気づきその支えていた足を使い一回転をしカイへ飛び蹴りを行う…が、カイは完璧に防ぎその際床に伏せ片足を相手へ向けた。


ドガ!


確かな手応え…相手は床に倒れる。


だが次の瞬間、相手は両手を頭左右に置き固定する形をとる。そして足が左右に開くと同時に両手を上げ少し体勢を浮かせた後背中を中心に長い足を活かして回転量の多い攻撃が繰り出される!それはさながらブレイクダンスのウィンドミルという技を彷彿とさせる。

しかしデタラメに回っているようで、その蹴りは全て相手に打撃を与えるために狙って繰り出されているようだ。


カイはその攻撃に一回転し距離をとりつつ防ぐ。

すると相手は両手を使い回転しつつ立ち上がりナイフを再び構える。


一進一退、戦いは思いのほか長引く。


再び向き合う二人…。


ピリン…


カイ

「…っ」


カイが薄目で見ると何やら光が横切って見えた。


相手がカイへ向かい走ってくるとカイは再び応戦する。


カンキン!!


またもや回転量の多いナイフ技が繰り出される。

しかしカイは見切ったようにその両手を捉える。


それに反応するようにお面の中から薄っすらと声が聞こえた。


至近距離でお面を見るカイ…すると相手はナイフを地面に捨て今度は腕を使い攻撃を仕掛ける。

それは俗に言う"クラヴマガ"という軍人ご用達の戦闘術である。だがカイはまたもやそれを完璧に防御する。


側から見ればそれは高速で行われているため目に負えるものではなくまたその立場にいたら瞬時にやられてしまうだろうとも思わせられる。


戦闘の最中に二人は位置が逆になる。


勿論カイは白童の安全が何よりも最優先のため攻めに転じる。


相手はそれを分かっていたかのように助走を着けつつこちらに手裏剣のような武具を投げつけてきた。


カイは反応する様にその場で立ち止まると相手は壁に登る様に足を着けそのままカイの頭上を舞う。


その姿をカイは紅い目で追う。

しかしこんな時でも表情は決して変わらない。


スローモーションの様に二人は上下ですれ違う。


その際お面をつけたメイドが人差し指で

カイの首元をなぞる様に動かした。


そして次の瞬間鋭く細い糸が現れる!


カイ

「…っ」


既に無数に張り巡らされていた糸からカイの逃げ場がなかった。そうつまり、出し抜かれたのだ。


お面をつけたメイドが床に着地した後捨てたナイフを引き抜き両腕を勢いよく前でクロスさせる。


ヒュッ!!(糸が動く音)


するとカラクリが作動するがごとく張り巡らされていた糸が瞬時にカイの体に巻き付いた。


カイ

「…っ」

白童

(あの糸…一体いつから)


遠目から見ていた白童にも糸がはっきり見える。それは凧糸の様に薄く細いが相手を縛り上げるほどの耐久性がある様だ。


完全に手足、そして首が固定され身動きが取れないカイ…お面をつけたメイドが体を上げた後ゆっくりとこちらに歩みを寄せる。

それはまさに罠にかかった獲物に向かう蜘蛛である。


白童

(まずい…いや)


しかし白童は動かなかった…。

それは何故か…そう、カイの表情には何一つ焦りがなかったからだ。

だからと言って誰が見てもこの後の状況は明らかである。


お面をつけたメイドが至近距離に迫ってきた。


その時だった!カイに固定されていたはずの左足の糸が途切れる。


ピン!(糸が途切れる音)


お面をつけたメイド

「…っ!?」


その瞬間をカイが逃すはずがない。

柔軟すぎる体を活かし頭上付近まで足をあげ首を抑えていた糸をヒールで切る。


その後片方の足も切りつられた体を活かし回転しつつ片腕の糸を切りそして腰からナイフを取り出して最後の糸を切った。


切断された全ての糸がカイの足元へゆらりと落ちる。


その状況をお面をつけたメイドがただ立ちすくんで見ていた。


我に帰ったのか体がビクッと動きこちらへと走ってくる。


だがカイは振り向こうとしない。

地面に向けていたヒールを少しずらすと同時にピン!ピン!と空間に音が鳴る。


お面をつけたメイドが察したのかその場で停止すると片腕が勝手に上へあげられた。


お面をつけたメイド

「…っ!?」


ナイフで糸を切るがそれに気を取られている状況はやつにとって思う壺。顔を前に移すとそこには既にカイが立っていた。


そして首元にはキラリと輝く刃物が…。

カイが目を瞑った後それを勢いよく横にスライドさせた。


数秒後、首から血が拭き出しお面をつけたメイドはその場に倒れた。


それを見た途端ふくよかな少年やメイド達が逃げ出した。


白童

「カイ」

カイ

「はい」

白童

「行くぞ」

カイ

「かしこまりました」


二人は何事もなかったかの様に歩幅を合わせてふくよかな少年を追った。


バン!


屋敷に響き渡る銃声、その音に羽を休めていた鳥達が反応し逃げていく。


キャー!!


また、同様に女人の甲高い声も屋敷から上がる。


キィ…(扉が開く音)


コツコツ…と靴音を鳴らし出てくる白童とカイ。

要は済んだのだろう。

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