空虚
プルルルル〜♪
負・葊
「はいはーい?」
窓越しに誰かと通話している。
負・葊
「りょーかい、ご苦労様」
ノイズ
「どちら様からですか」
負・葊
「うん?例の件完了したってさ」
ノイズ
「今回の被害、上に報告しますか?」
負・葊
「え〜いいよしなくて。無視しとけば良いさ」
ノイズ
「怒られますよ」
負・葊
「別に良いよ」
ノイズ
「ハァ…あなたと言う人は」
負・葊
「あっそうだ!"エヴァン君"のところいかなきゃ!」
ノイズ
「なぜ白童様の元へ?」
負・葊
「上から頼まれてたんだよね〜」
ノイズ
「その…頼まれごととは?」
負・葊
「なんだっけ〜あのほら、あ!あれだ!
政府機関の屋敷を襲って子供を仕留めろってさ」
ノイズ
「重要な依頼ではないですか」
負・葊
「そうなんだよ〜すっかり忘れてた」
ノイズ
「まったく…先が思いやられますね」
負・葊
「車出してちょ」
ノイズ
「はいはい、承知いたしました」
負・葊
「いや〜悪いね」
場面は移り崖際で腰を抜かして倒れている者がいた。
門崎
「そ、そんな…そんな…」
門崎の叫び声が聞こえたのか谷村が駆け寄って来た。
谷村
「どうした!門崎!!」
谷村が門崎の側により門崎が見ている方向を確認した。
谷村
「…っ!?」
谷村もそれを見て驚愕する。
谷村の目線には、崖下で頭付近から血を流し倒れている白石无雲の姿があった。
谷村
「え……なんで…」
状況が理解できない。
ただそこに先程まで勇敢に戦っていた白石の死体があると言う現実だけが映る。
谷村
「なんで…无雲さんが?なんで?」
門崎
「无雲さん…无雲さん…」
瞳が震え現実を受け入れるまで時間がかかる。
隣からは門崎の泣き声が聞こえていた。
二人を背景に遠くからヘリが数台こちらへ向かって来る。
救助隊員
「大丈夫ですか!」
「行きますよー!3.2.1!」
早川を救助ヘリに乗せ毒への応急処置を行う。
ヘリは出発し上空を走る。
ヘリ内では、谷村と門崎が隣同士で座っていてその表情は死んでいると言っていい。
なぜなら二人の目の前には、顔を隠された白石の遺体があるからだ。
数時間後ヘリはとある場所へ到着する。
弱った早川と白石の遺体がヘリから慎重に下される中二人も重い足取りでヘリから降りる。
目の前には、国会議事堂並みの立派な建造物があった。
谷村
「ここは…」
するとこちらへスーツ姿の男が近づいて来た。
人守り
「谷村君、門崎君ですね。
今回の任務ご苦労様でした。
それとようこそ関東人守り機関本部へ」
谷村
「え…本部、ここが?」
人守り
「さぁ、中へどうぞ」
谷村と門崎は本部の中へ招かれる。
その道中も門崎の顔から活気が現れることはなかった。
中へ入るとそこには黒のスーツ姿の男女や防護服を身に纏う何百人もの人守り達がいた。
谷村
「…っ」
案内人の人守りが谷村達を中央にあるエレベーターへと招く。
エレベーターへ入ると"B"というボタンがありそれを押す。
エレベーターは音もなく降下していく。
人守り
「君達の噂は聞いていますよ、あのカイと戦闘したとか。本当ですか?」
谷村
「え、あぁまぁはい」
人守り
「凄い!普通じゃ考えられないですよ」
谷村
「はぁぁ」
門崎
「…」
明らかに空気がちがう。
チーン♪
エレベーターが目的地に到着し扉が開く。
目の前には白いタイルでできた壁があり清潔な空間が広がっていた。
谷村と門崎はエレベーターから降りる。
人守り
「ここから先はご自身達で向かってください。
左に行けばお仲間がおります医務室にトレーニングルーム、仮眠室がございます。右には上層部の会議室に"霊安室"がございます。それではごゆっくり」
エレベーターの扉が閉まる。
谷村
「俺は早川の様子を見てくる」
門崎
「あぁ…」
谷村
「門崎はどうする」
門崎はそれ以上何も言わず霊安室の方へと向かっていった。その寂しげな背を見つめる谷村、あの言葉が頭をよぎる。
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門崎
「あの人は…俺が一番尊敬してる人だ」
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谷村
(門崎…そうだよな、一番つれーのはお前だよな)
谷村もそのまま医務室の方へと向かった。
場面は移り何やら暗い空間へ。
中央にのみ光が差し込んでいてあたりに座っている人間達の表情を影が隠す。
デスクの上には「代表」「幹部」「人事部長」などが書かれた三角形のパネルが置かれていた。
これを見るに人守りの上層部の者達と見受けられる。
上層部達
「どうやら、あの白石君がやられたようだ」
「彼ほどの人材を失くしたのは、こちらとしては痛手ですね」
「ただ負・葊一族の空洞プログラムを一つ阻止できたとの事です」
「それは良くやってくれました」
「彼の死は確かに痛いがとはいえ、こちらには
"希望の光"が健在な限りなんの心配もいりません」
「…っ」
「確かに、その通りですね」
「それに、若い芽は他にも育っていますしね」
場面は移り医療室のベットで寝ている早川につきそう谷村の姿が。
また別の場面では霊安室で光に当てられた死体を前にずっと俯きながら座っている門崎の姿が。
上層部達
「では彼らの情報を聞き次第引き続き
人狩り達への対処を各々よろしくお願いいたします」
「はい」
「以上により本日の軍法会議は終了とさせていただきます。お集まりいただいた皆様ありがとうございました」
外はすっかり暗くなり気づけば医務室にいた早川の意識が戻り谷村と何やら話をしていた。
早川
「じゃあ、无雲さんは…」
谷村
「あぁ…」
谷村から救助される前の話を全て聞かされた。
早川
「そんな…でもどうして」
谷村
「分からない、ただ无雲先輩ほどの人があの崖から足を滑らせるなんて凡ミスする訳ないし検視の結果…頭には小さな円形の傷が見つかったらしい。しかも軽量の銃から出る弾丸と同じ大きさだ」
早川
「それってつまり…」
谷村
「あぁ…殺されたんだ。
あの時、俺達以外の"誰か"に!」
早川
「…っ」
他殺の可能性…それを診断結果と谷村の憶測から確信に迫る。
早川
「そんな…」
早川はあたりを見渡す。
早川
「そう言えば、門崎は?」
谷村
「あぁ、あいつは…今はそっとしといてあげてくれ」
早川
「そうよね」
谷村
「それじゃあ、俺はちっと探検してくるかな」
谷村は立ち上がり扉の前へ行こうとする。
すると服の裾を掴まれた。
谷村
「…っ、おい」
早川
「もう少し…ここに居なさいよ//」
何やら良いムードだ。
谷村は早川に背を向けたまま話す。
谷村
「おいおい、夜に二人きりだと俺は何しでかすか分かんねーぞ」
早川
「早く出てって」
バン!
医務室の扉が閉まり外に出される谷村。
谷村
(本当に毒なんて喰らってたのか)
谷村の足音が遠のいていく。
早川は布団を頭まで被った。
早川
(なによ…)
そして谷村が自分にかけてくれた言葉を思い返す。
早川
(なんであんなやつのこと…バカみたい)
谷村は地下を巡りその後エレベーターで地上へと向かった。
谷村
(へぇ…ここ3階まであるのか。
一階は今日来る時見たし2階いってみっか)
谷村は2階のボタンも光らせる。




