邪宗教2
門崎
「これからどう動きますか」
白石
「まずは銃を確保することが先決だ。
それから奴らを無視して基地内部へと向かう」
門崎
「なるほど、確かに奴らにかまけているとよりこちらの状況が不利になる可能性がありますからね」
そう、ここは紛れもなく負・葊一族の縄張りである。そこに長時間いようものなら次なる刺客が来る可能性も考えられる。
そう予想した白石は、目的を達成することを優先しようと言うのだ。
谷村
「とはいえ必死に走ってたんで、銃を落とした場所なんて分かんないですよ」
白石
「最悪俺だけでも持てればそれでいい」
門崎
「目的地を目指しつつ道中で探すと言うのが今一番無難な案かと思います」
白石
「そうだな」
門崎の言う通り四人は基地にある空洞プログラムを目指す。
しばらく走ると分かれ道が現れる。
早川
「ハァ…ハァ…嘘」
谷村
「分かれ道か」
他のメンバーよりも息が少し上がり汗をかいている早川。
白石
「二手に別れて基地を探す。辿り着いた方はこいつで居場所を知らせる」
白石が取り出したのは信号弾である。
白石
「弾は一発だけだ。無駄にするなよ」
予定通り白石と早川が左へ右に谷村と門崎が二手に別れ向かう。
走っている最中背後から釘が飛んでくる!
白石
「…っ!?」
ボト
「逃さねーよ!!」
白石
「クソ!もう見つかったか」
早川
「ハァ…ハァ…」
髪が濡れるほどの汗の量に気づく白石。
白石
「おまえ大丈夫か?」
早川
「はい!私こう見えて代謝が良くて」
白石
「そうなのか…とにかく、今はアイツらをかわしつつこのまま進むぞ!」
早川
「はい!」
早川は気づかれぬ様振る舞う。
場面は右へ向かった谷村と門崎へ。
こちらもパチンコ玉による追撃がされていた。
門崎
「クソッ!厄介だな」
谷村
「大丈夫か門崎!」
門崎
「あぁ、お前は?」
谷村
「楽勝楽勝!」
門崎
「ったく、お前のそう言うとこ分けて欲しいぜ」
ググ…!!(パチンコを引く音)
ブル
「絶対殺してやる!!」
玉が外れる程ブルの殺意が高まっていく。
ブルの玉が再びこちらへと飛んでくる!
谷村
「おわっ!」
門崎
「チッ!」
谷村と門崎はそれをかわした!
しかし両者は背後に気を取られ過ぎてしまった。
谷村が前方に唯ならぬ殺意を感じとりすかさず前へ振り返るとそこには今にもナタを振りおろそうとしているジンがいた。
谷村
「門崎!!」
門崎
「…っ!?」
ジン
「死ね!」
ジンが振りおろす前に谷村は右手で門崎を茂みに押し倒す。その反動で自身も左へぶれてしまう。
だがなんとかジンの攻撃をかわすことができた。
谷村
「あっぶね!」
ブル
「死んじゃえ!」
谷村
「おいおい!」
ブルがこちらへとパチンコで狙いを定めている。
谷村
「ヤバイ!」
谷村は両手で体勢を整えようと地面を探ると金属類に触れる感覚がある。
谷村
(まさか!)
そのまさかで、自分達が落とした一丁の銃を見つけることができた。
その銃は、M1911と言われるアメリカでは実際に戦争に用いられていたほど危険な銃である。
しかしデザインが特徴的で、銃口が金色のグラデーションに持ち手には般若の刺繍が施されていた。
谷村
(これって、もしかして无雲さんのじゃ)
谷村は尻餅をついたままその銃をすかさずブルへ向ける。
ブル
「はっ!」
気づいたブルは瞬時に胴体を深く隠す。
その隙を逃さず谷村は立ち上がり再び道へと出た。
門崎
「無事だったか!」
谷村
「なんとかな!」
門崎とも同タイミングで、無事に合流し敵から距離を空ける。
谷村
「それより見ろよこれ」
谷村は門崎に拾った銃を見せつける。
門崎
「…っ!?やったな!」
谷村
「おう!」
一方左側のメンバーはというと。
早川
「…っ」
早川が走っている最中に何かを見つけ足を止める。
白石
「おい、どうした」
白石の問いを無視し早川は茂みに入っていく。
そしてそこで体勢を低くし何かを拾った様だ。
早川
「无雲さんこれ」
早川の手には普通のハンドガンが握られていた。
早川
「多分、谷村のです」
白石
「よくやった」
早川
「はい!」
早川は白石へハンドガンを渡す。
すると白石はハンドガンの上部をスライドさせ弾が入っているかを確認する。
白石
「俺の後ろへ」
早川
「…っ…は、はい!」
早川は指示通り白石の背へと移動する。
その後、後方に向けて白石が銃を構えた。
しかしその構えは独特で、左腕を横へその上へ右腕を添えつつハンドガンを少し傾ける形で構えた。
白石
(銃の軌道を自分自身で操る)
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そこは育成場にある銃の練習を行うための訓練所内。的がいくつか設置されていたが射撃用のスペースは一人分のみだった。
希望の光
「良いかい?銃の軌道を操るには、イレギュラーバウンドを常に意識する事」
白石
「イレギュラーバウンド?」
希望の光
「そう、障害物や地面の凹凸とかに存在する独特の地形を活かしたバウンドのこと。私はそれを"角撃ち"(かどうち)って呼んでる。
実際にやってみよう!…と言っても二丁からやるには難易度が高すぎるからまずは一丁で」
そういうと白石は銃を一つ取り構える。
希望の光
「良い?あそこに窪みがあるだろ?」
指を刺す方向にはほんの少しだがタイルの窪みがあった。
希望の光
「あのくらいの大きさなら跳ね返るのは大体左側かな。こんな感じで大体でいい…感覚で覚えていきな…。そうすると何処へ飛ぶか分かってくる様になるし自分自身で弾の軌道を操ることができる様になっていく」
希望の光が耳元で囁きつつ教える。
希望の光
「角をよ〜く狙って…」
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白石
(うつ!)
バン!!
ボト
「ハハッ!wどこ狙ってんだよ!!」
しかし放たれた弾丸は木の窪みに直行し角で跳ね返りボトへと向かっていった。
ボト
「…っ!?」
早川
(これは、あの時と同じ…)
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それは希望の光が一度だけ見せた物。
横回転で銃を回し何もない方向に撃った。
横に放たれた銃弾は角で跳ね返りカイの元へと寸分の狂いなく向かっていく。
門崎
「なんだあの軌道は」
常人では到底出来ない芸当に驚く谷村達。
それはカイも例外ではない。
カイ
「…っ」
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予想だにしない弾の軌道にボトは本能的に手を胸辺りまで引く。
しかしそれでは間に合わない!
ボト
「うわっ!!」
弾は見事命中したがボトの腕にあたった。
白石
(くそ!浅かったか)
ボト
「いってー!!クソいってぇ!!
何すんだよ!!血がいっぱい出ちゃっただろ」
ボトの握っていた手から釘の銃が落ちる。
それを確認した白石は振り返り早川に合図を出しつつ再び走り出した。
しばらく走り続けると目の前にツルが絡まった遺跡をもしたような建物が現れた。
白石
「あれは」
早川
「まさかあれが?」
白石
「あぁ、間違い無いだろうな」
白石はすぐさま信号弾を発射する。
プシュ〜ン!
赤い一点の光が空に上がる。
それを目で捉える谷村と門崎。
門崎
「近そうだな」
谷村
「おう」
谷村と門崎は急いで走り近くにあった茂みから合流する。
門崎
「无雲さん!」
白石
「きたか!」
四人は無事合流したが後方の茂みがガザガサと音を立ててこちらへと誰かが向かってくる。
リク
「お前ら逃さないよ!」
現れたのはリクだ。
谷村はすぐに銃を構えた。
リク
「…っ!?」
リクは木に体を隠す。
谷村の銃を見る白石。
白石
「…っ」
谷村
「少し借りてます!」
白石
「あぁ、後で交換だ」
と白石も谷村に拾った銃を見せる。
谷村はニコッと笑い振り返りながら基地の入り口へと走った。
リク
「まて!!」
リクの近くの茂みからボトも現れる。
ボト
「クソ!!」
しかし時すでに遅し、四人は入口へと入っていった。
ボト
「クソクソクソクソー!!」
リク
「何やってんだよお前!!」
ボト
「うるせぇんだよ!!」
胸ぐらを掴みあい言い合いを始める二人。
そこへブルも合流した。
ブル
「嘘、逃したわけ!?」
ボト
「あぁ!?お前は黙ってろブル!」
ブル
「はぁ!?」
リク
「つーか元はといえばお前が煙幕焚かなかったから無様に逃げられたんだろうが!」
ボト
「そうだぞ使えねー!」
ブル
「はぁ!?ブルは言われたことちゃんとやったもん!!てかお前らだってやられてんじゃん!!」
負けじと言い合うブル。
ボト
「うるせぇよ!!」
リク
「黙れ!」
ブル
「全部ブルのせいにすんなし!!」
そこへ茂みから一つの足音が言い合いをしている3人の元へ近づいてくる。
ジン
「ハァ…」
ジンはボトの手の傷を容赦なく叩く。
ボト
「アァァァァ!!!!」
ボトは激痛に耐えられず手を押さえその場でもがく。
ボト
「いってー!痛すぎる!!」
ブル
「…っ!」
今までの威勢はどこへやらブルは子犬のように怯え始める。
ジンは次にリクの傷口を開くように指で押さえつけた。
リク
「うぁぁぁ!!!痛い!痛いよ!!」
リクもボト同様に痛みに悶える。
ジン
「ハァ…ったく、逃しちまったじゃねーかよ」
ブルは、震える口で無理に笑顔を作りつつジンへとすり寄る。
ブル
「ジ、ジンにぃ?あのね。わ、わ私はちゃんとジンにぃの言うこと聞いたよ?」
ジンは振り返り鋭い目でブルを見下ろす。
ブル
「ブル偉い?ねぇ、ジンにぃブル偉い?」
ブルは自身の両手を握り胸元あたりに添える。
ジン
「フッ…そうだな…お前の役目はこの森に止めることだったもんな」
ブル
「ハァァ」
ブルの顔の震えが少しおさまる。
しかし次の瞬間ジンが豹変する。
ジン
「なのになんで簡単に逃してんだよ!」
ジンはブルの髪を容赦なく掴み引っ張る!
ブル
「ごめ、ごめんなさい!ジンにぃごめんなさい!!」
ジンは勢いよくブルを木に背から放り投げる。
ドン!
ブル
「うっ」
胴体が木にぶつかる酷い音が聞こえる。
ジン
「ほんとに…」
ジンは容赦ない膝蹴りをブルの顔にあて始める。
ゴン!グチャッ!
血と骨が当たる音が同時に聞こえてくる。
ジン
「ほんとにどうしてくれんだよ!!
お前らのせいで報酬が減るだろうが!!
どいつもこいつも使えねーなぁ!」
グリッ!ゴン!ドチャ!
ジンは何度も膝蹴りをブルの顔に浴びせる。
ジン
「ハァ…ハァ…」
ブル
「ごべんな…ごべんな…しゃい」
体をビクつかせながら血の涙を流しつつジンに謝罪するブル。目が腫れあがり鼻からは血が垂れながれ擦り傷のような跡が何箇所もできている。
ジン
「ハァ…」
ため息をついた後ジンは髪をかきあげ顔を上げる。
ジン
「まぁいい」
ジンが入り口へと目を向けた後少し近寄る。
リク
「どうするの?」
ジン
「ほっとけ、俺らはこの森で仕留めろって依頼を受けただけだ。それにこの中には…」
場面は移り基地内を走り回る四人の姿が。
ジン
「イカれた奴らがいるからな」
(つっても、手柄横取りされるのは気に食わねーが…)
ジンは振り返り森へと向かう。
ジン
「いくぞ」
ジンがそういうとボトやリク、ブルが立ち上がり付近に集まってくる。
ブルはあれだけの仕打ちを受けながらもジンの側によりジンの手を両手で掴む。
ブル
「ジンにぃ…ごめんなさい。
今度はもっと上手くやるね」
ジン
「フッ…あぁ、頼むぜブル」
ブル
「うん!ジンにぃ大〜好き」
四人はそのまま森の暗闇へと姿を消した。




