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枯れた幸せ3

パン!


突如一つの発砲音が鳴った。


その音を聞いた瞬間カイが姿勢を正す。


トコトコ…と敵陣から歩いてくる靴音。


その者は光に照らされ姿を表した。


谷村

「…っ!」


それは谷村が最も仇として憎んでいる相手

白童一族が主(あるじ)である。


白童

「カイ…」

カイ

「はい…」

白童

「いくぞ」

カイ

「はい…」

希望の光

「…ん」


白童はカイに撤退の言葉を送ったのちに暗闇へと姿を消した。


カイも後に続き暗闇へと姿を消した。

その後迷彩服をナイフを使ってその場で切り捨てミニスカートほどの長さにしヒールを出しセクシーな姿へと早替わりした。

それはエヴァンが好んだ姿が寸分違わずに整えられている。


そしてそのまま白童の元へと向かっていった。


FBIの隊員達

「おうぞ!」

「はい!」


背を追おうとするFBI隊員達の前へ希望の光が片腕を伸ばす。


希望の光

「やめた方がいい」

FBIの隊員

「ですが…」

希望の光

「死にたいのなら止めはしないよ?」

FBIの隊員

「…っ」


希望の光の忠告を聞きその戦いは終結した。


場面は移り白童の目線へ。

背後からカイが向かってきた。

その道中でカイは新品同様に管理された香水を取り出し首元や髪へふりかける。


その後白童の隣へと来た。

そして二人の背中を映しながら二人は無言のまま暗闇へと消えていった。


一方人守りはというと。


希望の光

「いや〜無事で良かった私の可愛い弟子ちゃん♡」


希望の光がベタベタと白石へくっつく。


白石

「ムカつくから離れろ!」


白石は無理やり希望の光を遠ざける。


希望の光

「んも〜!嬉しいくせにーこのこの♡」

白石

「第一どうやってここが」

希望の光

「ん?GPS気づかなかった?」

白石

「え?」


白石はまさかと思いお尻付近を弄るとGPSらしき小型の機械が出てきた。


白石

「なんでいつもいつもこういうところに…」

希望の光

「ンフフ、喜んじゃって」

白石

「キレてんだよ…!」


白石はGPSを強く握りつぶす。


白石

「つうことで、この人は俺の育成場からの師匠的な存在で、ここは師弟の関係だ」

谷村

「だからあんなに強かったんですね白石さん」

白石

「无雲で良い」

谷村

「あ、无雲さん」

希望の光

「でも無事で良かったねーほんと」

門崎

「助けていただきありがとうございました」

希望の光

「別に大したことじゃないよ。

あ、そうだ。FBIの人達と話つけなきゃ。

めんどくさいなーもう」


希望の光はFBIの隊員へと今回のことを話し合いにいく。察するに上層部へ報告するためであろう。


早川

「良い意味でズレてる人よね」

谷村

「そうだな…」

(人守りでも切り札的な存在なんだよな?

でも戦闘以外だと貫禄ねぇ…)

白石

「そういえばお前ら」

谷村

「はい?」

白石

「これ?待ってるか?」


白石が取り出したのは手帳ほどの大きさをした本だ。


谷村

「何ですかそれ」

白石

「これは人守りガイドブックだ」

谷村

「人守りガイドブック?」

白石

「そうか。門崎から聞いてはいたが、お前らは前線にいなかったから配られなかったんだな。

前線に来る人間は普通はこれを元に判断するべきだが上のやつら…ったく、終わってんな。

てことでほら、やるよ」


白石はその人守りガイドブックを少し荒いが投げる形でくれた。


谷村

「おわ!ありがとうございます」

白石

「中見て見ろ」

谷村

「はい」


谷村がガイドブックを広げるとそこにはこのような事が載っていた。 


--人守りガイドブック--


▪︎人狩りランク

逮捕する対象かそうでないか(殺害前提)を判断するためのランクである


下から順にD→C→B→A→S→SS→Xとされる


▼ D〜B

基本的に逮捕の余地あり

そこまで危険性は高くないため前線にいない隊員でも容易に相手ができる


▼A

状況次第で逮捕か殺害を許可

経歴の浅い人守りは避けよ

※データによれば凶悪犯はこのランクに多い


▼S〜SS

逮捕の余地なしその場で殺処分すること

上級者、ベテランでも要注意

※データによれば殺人鬼、サイコパス、貴族の側近に多い


▼X

見つけ次第避ける事

あまりにも危険すぎるためどんな階級、役職であろうが相手をしてはいけない


--------------


谷村

「こんなのがあったのか」

白石

「ちなみにそこから先は現段階で確認されている人狩り達の名前や顔、特徴、そしてランクが書かれてあるから今後はそれを参考に動く事だな」

谷村

「マジで助かります。

あの…ちなみに今回戦ったカイって人のランクは…」

白石

「これだ」


白石が指を差す。


ピーピー!(クラクションの音)


希望の光

「僕ちゃんいくよ♡」

白石

「…っ!その呼び方やめろ!!」


白石は乗ってきた車種と同じ車に乗り込む。


希望の光

「はいはい、じゃあ僕君♡」

白石

「変わんねーだろうが!」

希望の光

「いやん♡もー!怒った顔も可愛いんだから」


白石達を背に粘土のように固まる谷村達。


何故なら白石が指を刺していったのは「X」ランクであったからだ。


谷村

「俺ら…初っ端からラスボスと戦ってたんだな」

門崎

「完全に詰んでたんだな…」

早川

「そりゃあボコられるわよね…」


車の走る音…それは先ほど谷村達と別れた白石達の姿が車内にあった。


白石

「…っ」


白石が手に生温い液状の何かを感じた。


手を見てみるとそれは間違いなく血だ。


しかしそれは自分からのものではない。


白石は嫌な予感がし隣を向くと。


白石

「…っ!?おい!」

希望の光

「ん?」


希望の光の体をよくみると腰あたりから血が流れていた。


希望の光

「ありゃ、全然気づかなかった」


指先で血をなぞり、その赤をぼんやり見つめる。


希望の光

(あの時か…)


-----


それはカイの腹部に蹴りを入れた時だった。


カイ

「くっ!」


蹴られ押されたカイの手には血が付着したナイフが握られていた。


-----


希望の光

(へぇ…)

白石

「今すぐ治療を」

希望の光

「良いよこのくらい、本部戻ってからで」

白石

「何言ってんだよ!」

希望の光

「あら?そんなに私が心配?

もう〜可愛いんだから♡」

白石

(自分の立場分かってんのかよ…)


しかしこの一件はおふざけでは済まされない。

それは希望の光自身が一番感じていた。


希望の光

(ここまでの傷を負わされたのは初めてだ…)


窓ガラスに映る自分の姿を静かに見つめる。






場面は移り洋館のような豪邸。


主人である白童の部屋を掃除していたカイ。


ふと机の写真を手に取る。


そこには今や見ることのできない笑顔の白童が映っていた。


-----


緑の自然と清楚な白色で綺麗に整備された庭園で花を見ながら絵を描く一人の少年。


謎の声

「カイ…エヴァンをよろしくね」


少年はこちらへと笑顔を見せた。

それは写真に写っていたのと同じ笑顔だった。


-----


カイ

(エヴァン様…私が必ず)


この時ほんの少しだけカイの目元が優しく映って見えた。



場面は移り薄暗い部屋に。


湿った空気に数々の血がついた拷問道具が置かれていた。


ペシ…!ペシ…!


鳴り響く痛々しい鞭の音。


カチャ…!


鎖のような音も聞こえてくる。


奥へと映すと蝋燭が数個灯された部屋に両手を鎖で繋がれ背中は赤く腫れ上がっていた白童の姿がそこにはあった。


神玉

「アッハハww」


神玉は容赦なしに鞭で白童の背を叩く。

その時の顔は歓喜に満ち溢れている。


白童

「…ぅっ」


白童の表情は髪で隠れており見えないが痛々しい声だけが聞こえてくる。


神玉

「今回の失態、しっかりと償うが良い!!」


パシ!パシ!


白童

「は…はい」





       「枯れた幸せ」END

第4話が終了になります。

ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます!

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