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枯れた幸せ

目の前にいるのは仇の女、白童一族が側近

コードネーム「91(カイ)」である。


蘇る記憶に谷村は殺意が高まっていた。


谷村

「あいつ…」

FBIの隊員

「まて、冷静になるんだ。

白童一族に銀髪の側近がいるとの情報は我々特殊部隊の機関でも注意喚起されている。

それに白童一族が何故、4大貴族の地位を保てているのかを。それは彼女の存在があるからだ」


カイの服装は前回とは異なりトップスは黒シャツ一枚にボトムスは迷彩柄のパンツにブーツ式のヒールを履いている。まさに軽装というべきか。


カイがコツっと強めに地面を踏むとヒールがブーツへ瞬時に収納された。


早川

「あら便利」

谷村

「感心してる場合かよ…」


白石はカイを見つめる。


白石

「なるほどな」


そしてマガジンを交換しながら口を動かす。


白石

「二人がなんでやられたのかハッキリした」

谷村達

「…っ」

白石

「コードネーム91(カイ)、その強さは戦車5台分…いやもしくはそれ以上に匹敵すると言われたこの世界に入って避けては通れない存在」

谷村

「せ、戦車5台以上?」

早川

「冗談でしょ…」


白石はこの状況に呆れたのか少し笑みを浮かべた。


白石

「ったく、くじ運悪すぎだぜ」


味方は総勢14人、対し相手はカイ1人。

戦力差は圧倒的だ。

しかし味方の誰一人としてその差になんの意味も感じられなかった。


そしてカイも何一つとして表情を変えずましてやいつ撃たれるか分からないこの状況ですらこちらを向こうともしない。


FBIが隊列を崩さず動く。


その動きにカイが合わせるようにこちらへと走ってきた。


カイが一歩ずつ距離を詰めるたび、隊員たちの鼓動は速まり、毛穴という毛穴から冷たい汗が噴き出した。


FBIの隊員

「くるぞ!!構え!」


カイは瞬時にスライディングし銃を取り出し指揮官の頭を撃ち抜く。


その後柔軟な体を活かしブリッジのように体を浮かしつつ足を伸ばし可憐に一回転をする。


その間カイの目先には手榴弾が浮いている。

よく見ると足のヒールには手榴弾のピンがかかっていた。


カイは左にいる敵へ目線を移し瞬時に手榴弾を蹴りFBIの隊員へ当てる。


FBIの隊員

「え?なっ」


バゴーン!(爆発音)


言葉を発す前に砕け散る。


仲間を心配し一瞬目線を移しそしてカイへ視点を移すが目の前が暗くなる。


FBIの隊員

「あ、あれ?前が見えない」


銃弾は防弾用のメットを見事貫通していた。


カイへ向けマシンガンが連射されるが壁を走り回転することで全て避けそしてその回転の隙に一人、また一人と撃ち殺す。


バン!バン!(発砲音)


床に着地した瞬間寝そべりアクロバティックが如く股を広げ長い足を活かして目の前にいる敵の銃を弾き飛ばし立ち上がった後腰からとり出した鋭く光るナイフで首を掻き切る。


切り終わった後死体を利用し銃口を死体の頭にセット。


そこから敵へ照準を合わせ…。


パン!パン!パン!


発砲し3人を外すことなく撃ち殺す。


頭に穴が空いた死体を捨て可憐にハンドスプリングをする。


すると残っていた仲間に先ほどまで生きていた仲間の首が飛んでくる。


思わずキャッチしてしまうと口には手榴弾が埋め込まれていた。


カイの人差し指にかけられていた手榴弾のピンがゆっくり下に落ち地面に着くと同時に爆発する。


白石

(ヤバイ!)


カイの視線はもうこちらへと向けられていた。


仲間の死を確認していればいつのまにかカイは目の前にくる。


その桁違いの戦闘力の高さにいち早く気づいていた白石はスモークをたき谷村達の身を隠した。


谷村と早川と門崎の3人は手榴弾の爆発でできた小壁に身を隠す。その逆サイドに白石が隠れる。


全員の呼吸が荒くなりその一瞬すぎる出来事を整理するのに脳を働かせる。


谷村

「う、嘘だろ、瞬きもしないうちに全員死んだぞ」

白石

(白童一族の側近カイ…想像以上だな)


煙が明けないうちに白石は3人に言葉をかけた。


それは全員が予想だにしなかった言葉だろう。


白石

「お前ら、今のうちに言い残したこと言っとけ」

谷村達

「え?」


その言葉を理解するのにこの状況では酷すぎる。


もちろん谷村達も反論する。


谷村

「あんた何言ってんだよ!」

早川

「応援がくるみたいだしそれまで持ち堪えれば良いのでは?」

白石

「フッ…例えここに応援が来ても全滅させられるのがオチだな」

早川

「そん…な」

門崎

「无雲さん、あなたでも無理なんですか」


確かに、この中で唯一対抗できそうなのと言えば白石くらいであろう。

期待を寄せる3人に対し返ってきたのは聞きたくもない答えである。


白石

「無理だな。確実に殺される」

門崎

「…っ!?无雲さんでも」

白石

(もしここで…あの人がいてくれればあるいは…なんて、ありえねーか)


白石の頭の中で一人の人物が浮かんでいた。


谷村

「諦めてもしゃーねぇだろ。突っ込もうぜ」

谷村以外

「…っ」

門崎

「何言ってるんだお前!白石さんが無理だって言ってるのに俺らじゃ話にならないだろ」

谷村

「そんなのやってみなきゃ分かんねーだろ」

白石

「…っ」


意外に飄々(ひょうひょう)と答えた谷村を見て白石は微笑む。


早川

「私も同感、例え死んでも道連れにしてやるわ」

門崎

「お前ら…」

白石

「ハハハw」

谷村達

「…っ」

白石

「一か八か、やってみるか?」

谷村

「…」


谷村は白石と見つめ合う。


谷村

「うん」

白石

「フッ…イカれた後輩どもだな。嫌いじゃねーよ」


白石は谷村達に作戦を共有する。


カイがこちらへと近づいてくる足音と影が見える。


白石が首を縦に振り合図を送る。


石が投げられその音にカイは耳を立てる。

デコイが成功したか…?

そう思った瞬間霧から二丁拳銃をクロスしつつ体ごと飛び出す白石。


しかしここで白石は驚かされる。


カイの紅い視線は迷う事なくこちらへと向けられていた。


白石

(なっ!?)


完全に目が合っている。

それは全て読み通り…という事。

長く暗部隊で活躍していた白石の心理が一瞬で敗れる瞬間だった。


しかしその時仲間すら予想だにしないことが!


谷村

「…ぐっ!!」


霧の中から谷村が飛び出しカイのすぐ目の前まで拳を振るおうとしていた。


霧は完全にはれ標的は捉えやすくなる。


門崎

「あいつ勝手に!」

白石

(いや、上手い!)


白石がなぜそう思ったのか、それは完全にカイの視線がこちらへとさかれていたからだ。


それは滅多にお目にかけることの叶わないカイの隙が生まれたチャンスの瞬間だった。


谷村

(いける!)


だが次の瞬間だった。

谷村の目線からカイが消えた。


谷村

(あれ?)


そして突如谷村の後頭部に激痛が襲う。


谷村

「ガハッ!」


口を開け唾を出しながら白目をむく谷村。

谷村の後頭部にはカイの踵による攻撃が当てられていた。


門崎

「谷村!!」

白石

「…くっ!」


しかしそんな白石に絶望的な光景が入ってくる。


I字型になっているカイが股下からこちらに向け銃を構えていた。


白石

「…っ!?」

(ヤバ!)


目が合う瞬間に発砲され白石へと銃弾が飛ぶ。


白石

「グアッ!」


白石はその場に倒れた。


門崎

「无雲さん!!」

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