第七話 強敵、相対す
ビタがテイロスを運び始めた少し後
スピルたちもかなりの吸血獣を倒していた
「あらかた片付きましたけど…あの吸血獣が特別強かっただけみたいですね」
「そうだね 今どのくらいなんだろう…」
「目立つ吸血獣を探しつつ一回ビタたちと合流して数の擦り合わせをしてみましょうか」
「うん その方がいいかも」
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(……妙だな 吸血獣の気配が1箇所に集まっている?)
アイザックが森の異変を察知した
ミンクとネズミ、クマの吸血獣はアイザックの把握するところであった
しかしあの程度の強さであれば半人前の彼らであっても協力すれば倒せるだろうとも考えていたし、事実この3体は多少苦戦すれども倒すことができた
しかし、この異変はわけが違った
(多数を集めて群れをなすタイプか…?それとも強い個が他の吸血獣を食べている…? どちらにせよ危険だな)
アイザックの足はすでに森の方に向かっていた
スパルタじみた鍛え方をする彼でも、無謀な挑戦を許せるわけではなかった
(そして多分彼らはその無謀をしてしまうタイプだろう…レキンだけでなく、おそらく全員が)
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その頃森の中心部から少し離れた場所
「ゲッ」
「あ?」
レキンたちは偶然にも合流していた
「あっ!スピル!バルボラ!大変なの!テイロスが!」
ビタはキャンプに向かいながら状況を説明した
「すまない…私が迂闊に技を使ったせいだ」
「そうだぞ反省しろボンクラ」
「そんな言い方ないだろ 同じ状況になったら俺だってそうするよ」
「だからお前らはボンクラだって言ってんだ この修行の名目は能力安定訓練だぞ 本気を出して隊長に気に入られましょう大作戦じゃねえ 実力がない奴はないなりの戦い方ができるはずだ 自滅してたら意味ないだろ」
「お前なぁ…!」
「いや、良いんだスピル こればかりはレキンの言う通りだ」
「でも…」
「みんな、話はそこまでみたい」
ビタが話に割り込む
「とんでもないのがすごい勢いでこっちに来てる」
「あぁ?…ああ 確かに西から来てんな シャモア(※カモシカ)か?」
「この状況で吸血獣に襲われたらまずいんじゃ…」
ドォン!!
5人の心配を他所に4mを超える巨大なシャモアが姿を見せる
「なっ…」
「チッ 血装甲!」
間髪入れずにレキンが戦闘モードに入り、遅れてスピルとバルボラも構える
「バルボラさんは二人を守って!レキン!俺に合わせろ!」
「あぁ!?指図してんじゃねえよ! てめえこそ合わせな!」
口調は乱暴だが、二人のコンビネーションは粗雑ながらも噛み合っていた
スピルがスコープクアッド(サソリのしっぽ)を使い足を絡ませシャモアの動きを鈍らせる
その隙にレキンが連撃を叩き込み着実にダメージを与えていた
(あいつ、たまたまブラッドスコーピオンを引き当てた運だけのやつだと思っていたが、さすがに基礎はできてやがる これなら…!)
「おいスピル!大技を使う!ついてこいよ!」
「……わかった!ロール!」
シャモアを確実に縛り上げ動きを完全に止める
その時間は5秒にも満たない程であったが、スピルには十分な時間だった!
「くらいな!ハンマーシャークヘッド!」
血装甲を大きなサメにして飛ばす テイロスが使った「スペシエ・ビダレスター」に近い技であった
(荒々しいが力量は確実に私より上だ 認めざるを得ないな…)
「よし!これで…」
土煙が晴れていく
そこにシャモアの姿は…




