第三十三話 根源と正体
前回の戦いから4日後
夜のデーバの街
「キャー!」
女性の叫び声が聞こえた
街の周辺の吸血獣も含めて一掃した結果、縄張りを広げようとした吸血獣たちがポツポツ現れ始めた
「グアアアアア!」
吸血獣の咆哮が街に響き、民間人の命に刃が届こうとする
が、それよりも早く
ザシュッ!
ブラッドスコーピオンの刃が吸血獣に届く
『あ、ありがとうございます!』
「大丈夫でしたか!?早く警察官舎の方へ避難を!」
他の警察隊員の方へ民間人を誘導しながらスピルは櫛状板で周辺の音などをキャッチし吸血獣を探索する
「周辺には何もいないか…いや、この音は」
血装甲し防御の構えをとるスピル
その瞬間影が槍のように迫りスピルを掠めた
「惜しかったか」
「アンブラ…」
影の中からアンブラとギアニが現れた
「この間のリベンジを果たさせてもらう」
そういうと伸びた影で周辺が区切られてその中にいた人たちが引きずり込まれた
「なっ…!?」
思わず驚くスピル
後ろを振り向きさっき逃した女性と警察隊員が巻き込まれてないかを確認する
『危ない!』
隊員が声をかけてギリギリのところで影の進行を逃れ範囲外に脱出する
(危なかった…今までより巨大な範囲内攻撃だってのかよ…)
スピルの顔を見てか、ギアニが啖呵を切る
「どうだすげーだろ!俺たちだって、4日のうちにただ回復するのを待ってたわけじゃねえんだぜ!いけー!アンジェラ!」
影に落ち、影の世界の空から地上に降りる間、スピルは無防備に近い状態になる
その隙を狙ってギアニの叫びに呼応した巨大ウツボのアンジェラが姿を現し、スピルめがけて差し迫る
「あれか」
その時、スピルと共に影に落とされた男が冷静にアンジェラの弱点を見極め、叫んだ
「スペシエ・ビダレスター!」
アンジェラの横胴体に巨大な蛇のような生き物が齧り付く
「なっ」
「なんだぁ!?」
予想外の攻撃に驚愕する2人 それに対してスピルがニヤリと笑う
「悪いな お前らが強くなったのは感じるよ
でもこっちもチームなんでね 助っ人を呼ばせてもらった」
地面に着地する3人
その周りには警察隊の服を着た人間が3人いた
フィダイルとテイロス、そしてレア異能を聞きつけてやってきたピンテアである
「警察隊…!異能持ちか!」
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数日前 国立図書館にて
(首相の支持でピンテア隊長の警備の任務に就いたが、本当にここは大きいな…)
テイロスは見上げるほどの大きな書架に圧倒されていた
「ここなら君の本当の異能についても深く知れるし、調べてみてもいいんじゃない?」
「!?」
ピンテアの発言に思わずのけぞるテイロス
「あ、ごめんごめん 驚かせるつもりはなかったんだ」
「いえ、こちらこそ失礼しました…すいません、本当の異能というのは?」
「あれ、気づいてないんだ?君の異能のことはアイザック隊長から聞いてるよ
蛇の異能…だと思ってるでしょ?」
「だと思ってる…?」
「多分君の異能は蛇ではないんじゃないかなってのが私の見立て 理由としては大きく分けて二つ
能力の発現の仕方が半端なのと
あまりにも血を使いすぎてること
もちろん血の量が少ない異能持ちもいるし、その中でうまく鍛えてやりくりしてる人たちもいるけど、なんか君は話を聞く限りその感じではなさそうなんだよね
そもそも異能を使わない対吸血獣戦闘でも結構な好成績を残してるし
君の家系から考えても君の体は異能に慣れてるはずだ
多分同じことを首相も考えていて、だから私の警備に回したんだと思う」
自分の異能が自分の思っていたものと違う そんなことをテイロスは考えもしなかった
テイロスの家庭は、代々爬虫類 それも蛇に近い異能を発現することが多い血筋であった
かつては貴族としてその地位を保っていたが、社会主義革命により爵位を剥奪された
貴族の大半は一族ごと処刑されたが、テイロスの家系は蛇の異能を持ってることを理由に処刑を免れていたのだ
(だからこそ、私にも当然蛇の異能が流れていると思っていたが、違うのか…?)
軽い眩暈がテイロスを襲う
「ああごめん、急な話すぎたね あくまで私の考えだし鵜呑みにはしなくていいよ」
「いえ、【もし蛇でないのだとしたら】その考えはありませんでした
昔から…なにか違和感はあったんです 私の異能の正体、その縁をなぞられたような感覚がします ありがとうございますピンテア隊長」
それからしばらくの間、テイロスは調べ物にのめり込んだ
自身のルーツ 蛇の近縁種 この国の歴史 異能の歴史
元々頭のいいテイロスは急速に知識を蓄え、整理していった
そして一つの答えに辿り着く
「これが…私の異能の正体?」
続く
合計PVが1000を突破しました!ありがとうございます!
テイロスの異能違和についてはもう少し先の話でやろうかなと思っていたのですが、タイミングが良かったのでここで挟ませていただきました




