第三十一話 影の異能
「あの男は影を自由に操れるようだ 気をつけて戦いなよ」
「わかりました」
2人が警戒する中、影の男は銃を出鱈目に撃ち始めた
影という影に銃弾は吸い込まれ、影という影から発射される
「ヘッドガード!」
スピルは自身の鎧で重点的に頭を守り、同じ装備をフィダイルにも巻きつけた
「助かる!」
フィダイルは間合いを詰めながら懐から刀を抜き出す
刀はワニの口のような形に変化していた
「噛みつけ!」
刀が開き、影の男を捉える
「噛み砕け!」
刀の両歯に力が入り、全霊の力で男が砕かれる
男の体は影になり溶けて消えていった
「えっ…!?」
スピルはフィダイルの容赦ない攻撃にも驚いたが、それ以上に敵の姿が跡形もなくなったことに驚いてた
「影の能力だ!説明してる暇はないが、同じのがもう一体いるはずだよ!」
「もう一体…」
あたりを見回すが、それらしき姿はない
(そう言えば、ビタが探知能力高かったから今まで気にしたことなかったけど、サソリにも探知能力ってあるんじゃないのか?)
サソリには腹部に櫛状板と言われる器官が存在する
この部分は触覚として地面の振動をはかりエサの場所を探る役割を持つ
人間であるスピルは、戦闘中に服を脱ぐことも腹部を地面に当てるように腹這いになることもないが、ブラッドスコーピオンの鎧には櫛状板に似た働きをする仕組みが備わっていた
(…斜め後ろの建物の影か!)
「ストライク!
男のいる方に尻尾を伸ばし高速で移動しながら斬撃をはなった
全ての影を切られた男は動揺し姿をあらわす
「くそっ こうなれば奴らを影の世界に落としてその隙に逃げるしかない!アラウン・ルンブラ!」
影にスピルたちを落とそうとする男 しかし、技は不発に終わった
「なぜだ!?まさか血の量の限界が…しかしまだ限界には程遠いはずだ!」
戸惑う男 その近くにフィダイルのワニであるジェニスとルーシーが近づいて、確実に男を捉えた
「しまった!」
「あんた、なんで夜に仕掛けて来なかったのか知らないけど、時間が悪かったさね
見てみな」
そう言ってフィダイルは空を指差した
「そうか…アミアザ(※正午のこと)か」
「アミアザであれば影は出現しない お前の負けだ」
スピルのロールが加わり、完全に逃げられなくなったように見えた男
しかし
「ここで終わるわけには行かない 我々は決してブラッドスコーピオンを諦めない」
男は自分自身とウツボ男の影に彼ら自身を溶かしていく
「逃げるな!」
「また会おう 鉄の王女 ブラッドスコーピオン 我が名はアンブラ」
男はそう言って影に消えていった
ロールを使っていたスピルは一瞬引きずりこまれかけたが、突然弾かれてしっぽが戻ってきた
「影に逃げる…あんな使い方もあるんだね」
「あれだけの異能の応用と血の量 最近覚醒したとは思えないレベルでしたね 戦闘は明らかに慣れていないようでしたが」
「あんなのがもし他の地下組織と合流したら面倒だね とりあえず本部に報告だ 行こう」
フィダイルに言われスピルたちは報告のためデーバの警察隊官舎へと向かった
続く




