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第三十話 影と男

影の中にスピルとウツボ使いの男はいた

(この影の空間に入った時、感覚としては落ちてきたような感じがした ってことは空に向かっていけば脱出できるのか?)

スピルは考え、剣伝いにしっぽを伸ばしてみる

空までは届かないがそれなりに高いところまではいけた

(このくらいが限界か…)

どうしたものかと足元を見た時、地面が割れてコンクリートの破片が辺りに散らばってることに気づいた

(破片は消えるわけではないのか もし異能だとしたら莫大な血の量が必要になると思うが、相当な使い手なのか?それとも一回出し切ったら維持コストはかからないみたいな仕組みなのか…ともあれこれならなんとかできるな)

スピルはあたりの建物を破壊して積み木のように重ね始めた

地面の高さを盛ったうえで、毒の応用で建物を接着していけばしっぽを伸ばせば届く距離まで積み上げられるだろうという目算だ

狙いは見事に当たり、空の境界線のような部分にしっぽがぶつかった

(ここを一気に飛び越えれば地上に上がれるかもな…それじゃあ)

飛び上がろうとして、ウツボ男のことを思い出した

(この空間はこいつの異能ではないんだろうけど、一応連れて行った方がいいよな?話も聞きたいし万が一出られなくなっても可哀想だしな…)

スピルはウツボ男をしっかりと背負い、しっぽを使って一気に飛び上がった

ーーーーーーーーーーーーーーーー

時間は少し遡り、スピルが影に落ちた頃

(やられたっ!やっぱり影使いの狙いはブラッドスコーピオンだったか)

フィダイルは咄嗟にジャニスを送り込もうとしたが間に合わなかった

「同じ手は何度も使わせませんよ 鉄の老女」

フィダイルの前に1人のスーツを着た男が姿を現した

「あたしの二つ名を知ってるってことは、かなりやんちゃしてきた子のようだね」

「ええ 警察隊の皆さんには何度もお世話になりました…これはその復讐です」

男はそういうと影から銃を持ち出し乱射し始めた

「ガード!」

フィダイルの言葉通り巨大な盾が出現しその身を銃弾から守る

「さすがに対策は完璧だ だが」

影の中から弾が出てきてフィダイルの肩に命中した

「なっーーー!?」

「前を守るだけではダメですよ 影も気にしなければ」

「やってくれるねえ ジャニス!ルーシー!」

フィダイルはワニたちに指示を出す 巨大な口が開き男を抑える

「デスロールかましてやんな!」

上半身と下半身を抑えられた男は逆方向に回転するジャニスとルーシーのデスロールによって真っ二つになった

だが、男の体は影に溶けていった

「私が何の対策もしてないと思いましたか?」

「影で作ったデコイは後二つありますよ」

「あなたたち警察隊に対処できるかな?」

(面倒な能力だね…しかしこの異能、動物由来ではない?もしかしてピンテアみたいにレアなタイプの異能か? 血の消費量もえげつないはず…)

フィダイル1人で突破口は見えてくるのか

「ん?これは…まさかあいつがやられたのか?」

そのタイミングで影の男が何かを感じ取った

瞬間ザバン!と勢いよくスピルが飛び出してきた

「フィダイルさん!」

「スピル!戻ってこれたんだね!でも感動の再会は後だ!すぐ戦闘モードに入りな!」

「はい!」

綺麗に着地し警戒するスピル

「ブラッドスコーピオン…仲間の分の仇も取らせていただきますよ…!」

ここまで至って冷静だった影の男の心が初めて揺らいだ

明日も更新予定です デーバ編にある程度区切りがつくかもしれません

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