79 言われてしまった!?
その後みんなで楽しくお茶を飲みながら女子会をし、関係性を深めていったわけだが。やはり百合がいないと物寂しさを覚えて、思い切り楽しむ事はできなかった。
「あの、もう一度百合さんの様子を見に行ってもいいですか?」
恋人のことが気になって仕方なかったのか、葵がソワソワした表情で発言した。
「やっぱりその、心配なので…」
「ええ。大丈夫よ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに感謝を伝える。しかし周りには彼女を揶揄う人間もいて、その少女はニヤニヤしながら葵のことを見つめていた。
「やっぱ大事な恋人のことは心配だよね〜♪」
「そ、それは…!そうですけど…」
葵は顔を真っ赤にしながら恥ずかしがる。しかしそれは心花に燃料を投下したことに等しくして、さっきよりも楽しそうに煽り始めた。
「愛する人が今もなお苦しんでいることを考えると居ても立っても居られなくなるなんて…優しすぎて感動しちゃうよ__っ!!」
「〜〜っ…!」
「心花ちゃん性格わる〜い」
「流石に可哀想ね」
姉妹からの声も飛び交うが、心花はその程度で止まる女ではない。
「これは百合も喜ぶだろうな〜♪可愛い恋人ちゃんにこんなにも心配されるなんてね〜♪」
「もうやめてください…っ!!」
「いいな〜百合はこんな美少女に心配されて。あたしなんて風邪ひいても百合ぐらいしか出てこないのに」
「え、そうなんですか???」
「あれ」
さっきまで恥ずかしそうに俯いていたのに、急に嫉妬の表情に変わった。
これには流石の心花も肝を冷やし、挑発するのはやめることにした。
「ご、ごめんね…??そこまで怒らせるつもりじゃ…」
「別に怒ってなんてないですよ??ただ心花さんは幼馴染で羨ましいなと思っただけです」
「めっちゃ怒ってるじゃん。かつてないほど嫉妬してるじゃん」
でも正直一ミリも怖くない。やっぱこういうところが可愛いんだよなこの子。流石に誰も勝てる気がしない。
「私だって心花さんみたいに好きな人に看病されたいのに…っ」
そう、こういう暴走気味になった時はマジで誰も止められない。
「ちょ__!!??」
「え??」
「あら、私の耳がおかしいのかしら?」
「ううん。あたしもそう聞こえたから大丈夫だと思う…」
完全に空気が重くなってしまった。驚愕する恋塚家三人、心臓を破裂しそうなぐらいバクバクにする心花、そして状況の理解が追いついていない葵と菫。
「あれ…??今私…??」
「ん??どういう事だ??話が見えたいんだが」
なぜか言い放った本人まで困惑している。
というかこの状況マジでどうするの。流石に修羅場すぎてどうしようもないんだけど。
「よし!!あたしたちは外に遊びに行こう!!」
「そ、そうね!!じゃあ私たちはしばらく外出しておくから!!」
「ご、ごゆっくり〜…!」
「ちょっと待って…!!??置いてかないで!!?」
嵐のように外に消えていった三人。そしてリビングに残されたのは葵と心花と菫の三人のみに。
「………」
流石に空気が重すぎる。この前百合と葵の関係を華恋にだけ黙っていた時の感じにすごく似ている。
じゃあこの後怒られちゃうやつじゃん。もう修羅場確定じゃん。
そんな心花の予想通り、重たい空気が流れ続ける。
「朝日奈…いや心花。説明してくれるよな??」
「…はい…」
なぜこんな流れになってしまったのか。もう少し時間が経って百合との関係がちゃんと決まってから報告するつもりだったのに。
それもこれも葵が口を滑らせたのが悪い。彼女が暴走すると何でも言っちゃう性格なのがいけないんだ。
「ごめんなさい…」
涙目になりながら謝られても修羅場は抜け出せない。でも正直滅茶苦茶可愛いから許しちゃう。美少女ってずるいわ本当。
「早くしてくれないか?気になって仕方がないんだが」
「はい……」
結局逃げ道などなく、心花はことの経緯を全て話した。




