07 結局こうなってしまった!
告白を承諾したのを一旦無かったことにしてほしいとお願いした直後、彼女は顔を真っ赤にして頭を下げた。
「本っ当にごめんなさいっ!!!」
「…へ???」
結果的に告白に失敗してしまったので泣き出したりするのかと思えば、なぜか謝られてしまった。
いや待ってカースト上位の人を謝らせるなんてダメじゃん!?早く辞めさせないと!!
そんな百合の考えを他所に、葵は小さな声で語り始めた。
「私、たまにこういう事があって…。自分の感情を抑えきれずそのまま相手に押し付けちゃうんです…っ!」
「…へ、へぇ…ソウナンデスネ…」
確かに葵の恋人(友人)が突拍子もないことをする子だって言ってたけど…本当だったね。いやおかしいとは思ってたんだけどね!?普通に考えて出会ったばかりの女の子相手に告白したりしないよね!?やっぱりこの子の性格には難がある…。
いや難があるのはお互い様か。告白されたときに普通に断っていればこんなことにはならなかったのに。我ながら女たらしすぎる…。
まあその辺はどうでもよくて、とりあえず雰囲気を明るくするために言葉をかけてみることにしよう。
「まあ大丈夫ですよ…!!それも七瀬さんの魅力だと思いますから…!!」
「でも結局断られてしまうなんて…。私はもうダメです。○してください」
「何言ってんですか!?あなたはもっと長生きしてください!!」
てかこの会話なに…。
早くあなたからの返事を聞きたいんですけど。
「…ごめんなさい。また取り乱しました」
落ち着いて来たのか、深呼吸をした後に冷静な表情で口を開いた。
「それで、付き合って早々別れたいという話でしたっけ?」
「ヴッ…ま、まあそうなるのかも…?」
なんか言い方に棘ありすぎない!?結構痛いんだけど!?
いやそれこそが彼女の魅力なのかもしれない。まあときめいたりはしないけど。
それが彼女を女として見れない要因…いやどうみても女の子でしょ。じゃあ異性として見れない…って同姓だった。
とにかく!!私は女の子同士なんてわからないの!!だから彼女とは付き合わない!!
確固たる意思を固めるものの、それは簡単に打ち崩されそうになる。
「すごい突拍子もないことをおっしゃるんですね。私でなければ引かれてますよ?」
「………」
(いやこっちのセリフなんですけど!!??)
何綺麗な笑みでブーメラン投げてんだこの人。
もうそういうのいいから真面目に話したい…。
「ふふ、冗談ですよ。そんな目で見られるとまた恥ずか死にそうになるので勘弁してください」
「あ、はい…」
笑って誤魔化してるけど多分結構恥ずかしがってる。だからもう冗談はやめて、真面目な話をすることにする。
「それで、どうなんですか…?私の話…」
「お友達から、ですか…。正直言うと…恋人からが良いです…」
「てかそもそもなんで私なんですか!?他にいくらでも良い人いますよ!?七瀬さんなら誰とでも付き合えると思うんですけど!?」
「それはその…」
顔を真っ赤にして、乙女のように恥ずかしがる。あ、乙女か。なんかもう頭がこんがらがって来て訳がわからなくなって来た。
そしてそんな百合に追い打ちをかけるように、葵は破壊力抜群の表情で小さく本音を打ち明けた。
「一目惚れ…です…♡」
「!!!!?????」
可愛すぎるッ!!!!
こんな顔でこんなこと言われてときめかない人この世に存在するの!?いやしない!!
(私だって年頃の女の子だから恋愛したいって気持ちはあるしできれば可愛い人と付き合いたいし!!!でももう引くに引けないし…!!)
あれ。可愛い人と付き合いたいなんて思ったことないはずなのに?一体この感情は何なんだろう。
百合はその感情の正体に気付くことはなく、そのまま直感的に思いついたことを口にした。
「ねぇ七瀬さん」
「はい…」
「折衷案。お試しで付き合ってみるのはどう?」
「…え?」
「私たちあまりにもお互いのことを知らなすぎるから。とりあえず一ヶ月お試しで付き合ってみて、もし良いなって思ったら付き合う。でもやっぱり恋人にはなれないって思ったら友達になる。これでどう?」
これが一番丸く治る提案だと考え、葵に伝えた。
すると彼女は窮地から救われたかのように顔をパァッと明るくし、満面の笑みで頷いてくれる。
「はいっ!!そうしましょう!!」
「決まりだね。じゃあとりあえず、連絡先でも交換する?」
「はいっ!!喜んで!!」
まさかこちらから連絡先を聞く日が来るなんて。人生何があるかわからないものだなぁ。
まあでも、これは良い転機になりそうだから頑張らないと。少しでも彼女に相応しくなれるように。
いや恋人としてじゃないよ!?友達としてね!?
しかしお試しでも付き合うことになった百合であった。




