06 断ってしまった!
ようやく彼女を屋上に連れ出した百合は、勇気を振り絞って話を始める。
「あの…っ!!実は話があって…」
「話、ですか…?はっ__もしかして!?」
急に顔を真っ赤にしてあたふたし始める。いやこれ多分勘違いされてる。
申し訳ないけど葵が考えていることとは真逆の話をしようとしているため、そこはキッパリと否定しておく。
「いや違いますからね!?告白とかそういうのじゃないですから!?」
「(この状況この空気そしてこの場所!!私に告白するためには絶好の機会!!いやしかしそんなことがあっていいんでしょうかまさか向こうも好きだったなんて私前世でどれだけ徳を積んだんですか__)」
「あの〜…」
なんか早口でブツブツ言ってるけど、正直全部聞こえてます。
というかこの子こんな感じなんだ。なんかもっと正統派美少女だと思っていた。全員に笑顔を振りまいて誰にでも優しく接するみたいな。
でも今、百合は自身と同じ波長を感知していた。そしてやや引いている。
「私の話を…」
「…はっ__!!す、すみません!!何でしょうか?」
「えーっと…」
なんか期待しているみたいだから言い出しにくい。しかしそういうわけにはいかないので勇気を振り絞って話を始める。
「実はその、告白の件なんですけど…」
「やっぱり告白!!??」
「いや違いますからね!?私が告白するっていう話じゃなくて!!」
「そうなんですか…」
そんな悲しそうな顔をされても無駄だ。百合は容赦なく続ける。
「今日、告白のしてくれたじゃないですか…ここで」
「あ、そっちの話ですか…」
「その件で一つ相談が」
「…はい」
かなり申し訳ないが、大切な事なのでハッキリ言わせてもらう。
「あの時、私はOKって返事したと思うんですけど…それ、無かったことにしてください!!」
「……へ?」
「私あの時困惑してて…でも後になって気付いたんです!!このままだと百合になっちゃうって!!」
「………」
言ってしまった。
そして案の定、彼女の目に光は消えた。
「そうですか…そうですよね…。普通に考えて女の子同士なんてありえないですよねすみませんしかも出会って間もない人に告白なんてされて正直迷惑ですよねすみません」
「ストップストップ!?色々誤解がありますよ!?」
また早口でブツブツと…。やっぱこの人こっち側の人間だ。
気づけば親近感が湧いて来て、彼女のことを放置できなくなる。
「別にその、嫌とかではないんですよ…。私だって七瀬さんは可愛くて魅力的な女の子だと思ってますし…」
「っ…!!」
急に顔を真っ赤にして目線を斜め下に向けた。そんなところも可愛いと感じるが、それはあくまで同性として、あるいは友人候補としてだ。そこに恋愛感情は無くて、恋人とかは正直言って考えれない。
百合はそういった自身の感情を整理し、そのまま彼女にぶつけた。
「でも私…正直女の子同士とかよく分からなくて…。いや告白してくれたのは素直に嬉しかったですけどね!?でもその、まだ困惑が勝ってるというか…できればお友達からお願いしたいといいますか…」
とうとう言ってしまった。こんなカースト上位の相手にこんな意見して、もう高校生方は終わりかもしれない。
でもそのリスクを犯してでもこれは解決したい問題だった。もしかしたら将来に大きく関わってくるかもしれないから。
そんな百合の考えのもと好き勝手に発言をしたわけだけど、葵の反応はというと…
「くぅ〜〜……っ!!!」
両手で顔を隠しながら唸っていた。




