66 疑われてしまった!
「じゃあその、行きましょうか」
「そうだね」
心花とお泊まりした次の日、学校が終わると同時に葵と教室を出た。
理由はもちろん、放課後デートをするからだ!
流石に心花ばかりに構うのも申し訳ないし、ちゃんと葵とも関係性を保っておかないと恐らく大変なことになるので、百合は休日だけでなく放課後にもデートを組み込むことにした。あまり長い時間は取れないが、確実に二人の時間が作れてとても良い感じになるはずだ!多分!
実際今だって葵と仲良く会話しながら歩いているわけで。
「あの、昨日のお話…聞かせてもらえますよね…?」
「え?あ、うん…。話せる範囲で…」
「話せないようなことをしたんですか!?」
「いやそれは違うから!?」
仲良く…??修羅場の予感がするんだが。
まあ今更遅いからもうどうなでもなれの精神で行くしかないんだけどね。
「私たちは至って普通のお家デートをしただけだからね?」
「そうなんですか…?まあ確かにお二人は幼馴染ですし、それもあり得るのでしょうか…?」
首を傾げながらブツブツ何か考察し始めた。
しかしこれ以上掘り返されると少しマズい気がするので、とりあえず話を変えておく。
「そ、それよりさ!!今からどこ行くか教えてくれない?」
「あ、そうですね」
ちなみに今日の予定は全て彼女に任せている。なので百合は何も知らなくて、それについて彼女に問うた。
すると葵は一旦スマホを開いて何かを探し始め、数秒後に目的地を発見してこちらに見せてくる。
「ここです…!!」
「んと…カフェ??」
「はい!!昨日のお話をじっくり聞かせていただこうかと」
「っ……」
どの道この話に辿り着く未来だったらしい。ならもう逃げても無駄だ。ある程度オブラートに包みながら話せばなんとか凌ぎ切れるだろうか?
(頼む…!!今日はずっと鈍感でいてくれ…!!)
もう心の中で祈ることしかできない。
でも葵は容赦なさそうに、不敵な笑みを浮かべていて。
「ふふふ…楽しく女子会、しましょうね…??」
「っ…うん…」
何かもう全てを悟られている気がする。
いやでも本当に何も無かったから負い目を感じる必要はないんだけどね?ただまあ触り合ったりしたからそれを指摘される可能性はあるけど。
でもあれはただの幼馴染同士のスキンシップだからどうにか許していただきたいところである。本日の機嫌が良いことを祈るばかりだ。
「百合さんがどのような浮気をしたのか、しっかりと確かめさせてもらいますからね…??」
「ん…!?」
いつも通り綺麗な笑みを向けてくるけど、なぜか一ミリも笑っているように見えない。何なら周りに負のオーラを纏わせながらとんでもない圧をかけてきている気もするから、正直言って滅茶苦茶怖かった。
しかし今回のデートはちゃんと彼女から許可をもらってからしたかは何も問題無いはずで、百合は臆さずに彼女に対峙した。
「いや浮気ではないからね!?ちゃんと許可だって貰ったじゃん!?」
「デートの許可はしましたけど、イチャイチャする許可は出してません」
「デートって基本イチャイチャするものじゃないの!?」
「ただ仲良く遊ぶだけのデートもあると思います。百合さんは恋愛というものを何も分かってませんね」
なんかすごい指摘をされてしまった。でもね、こんな誇らしげに言われても可愛いとしか思わないのよ。
結局百合は特に反省もせず、ただ胸を張って自慢げに語る可愛らしい彼女に見惚れていた。
「仕方ありませんし、ここは私が一肌脱ぐしかありませんね」
「服脱ぐの?」
「それはもちろん。百合さんのためなら服の一枚や二枚…って、そういう意味ではありません…!!」
なんか急に下ネタが頭に浮かんできてしまった。これも心花の影響だろうか?
いやそれ結構イヤかも。下ネタなんてキャラじゃないし。そういうのは心花の専売特許だから取らない方が良いだろうし。ここは一度頭をリセットして、葵の記憶を消すことに専念しよう。
「まず公の場で脱ぐわけないじゃないですか…!!」
「そうだよね…。ごめん、私何言ってるんだろう…」
「(まあその、完全に二人きりの時とかは…考えなくもないですけど…)」
「__っ!!??」
頬を赤くし、上目遣いで眺めてくる。
流石にその表情でその発言は破壊力が高すぎて、一瞬で百合の頭は破壊されてしまう。
「じゃあその時はお願いします…!!」
「は、はいっ…!」
気づいたらお願いしてしまっていた。
それに葵もなんか嬉しそうだし。これ押したら行けるんじゃないか?
いや行かないけどね!?流石に正式に付き合ってもない子と関係を持つのはマズすぎる!!
というわけでとりあえず今手を出すのはやめておこう。またいつか、ちゃんと付き合い始めた時にどうするか考えることにしよう。
「そ、それよりも早く行こ…!!喉渇いてきたし…!」
「そうですね…!!カフェ行きましょうか…!!」
そのようにぎこちない会話をしながらカフェに向かう二人であった。




