54 いじめてしまった!
心花の母が帰宅したことで外に逃げ出した二人は、そのまま近くの公園に向かった。
「ふあ〜…っ!久々にこんなに動いたよ〜…!」
「はぁ…はぁ…走る必要あった?これ」
「ううん全然。そういう気分だっただけ」
「そんなぁ…」
こっちは息切れで死にそうになっているというのに。これだから乙女心のわからない女は。
まあそれは百合にも当てはまることなんだけどね。本人は知らんぷりしてるけど。
「で…どうしてここに…?」
百合は息を荒げながら問う。そしてそれに対して心花は空を見上げながら答える。
「ちょっと、昔を思い出してね…⭐︎」
「何それ気持ち悪…」
「冗談じゃん!?あと気持ち悪いは普通に悪口だから!!あたし傷ついちゃうから!?」
「まあ心花なら良いかなって」
「あたし一応恋人のはずなんだけど!?」
なんかこれ、いつもと立場が逆でめっちゃ面白い。これが惚れた弱みというやつか。なんか、もっと虐めたくなっちゃう!
「はぁ…こんなことも受け入れられないようじゃ私の恋人は務まらないよ…もう別れちゃう?」
「それは嫌__っ!!ごめん何でもするからそれだけはやめて!!」
「何でもって、何でも?」
「うん…私にできることなら、何でも…」
「ふむ、なるほど」
どんな凄いこと要求してやろうか?多分今ならどんなにHなことでも許されるよな…。
(いや何考えてんだ私!?お試しで付き合い始めたばっかりの幼馴染相手にそれはキモすぎるって!?)
流石の百合も危機感を覚えた。オタク脳は現実では通用しないと理性が忠告をし、百合の邪な心を何とか制御した。
「じゃあまずは」
「っ…!!」
いやそんな固唾を飲んで見られても。もしかして期待してる?
まあそれなら仕方ないか。同意の上なら何をしたって問題無い…わけないよね知ってる。
やはりオタク脳というやつは厄介であることを悟った百合は、今までの自分を忘れて現実に向き合うことにした。
「…一緒にブランコ、乗ろ?」
「え?」
「へ?」
「そんなことで良いの…?」
「うん?」
流れがおかしい気がする。これってもしかして…
「あ、期待してた?」
「ちがっ__そういうわけじゃなくて!!」
「あはぁん♪まさかあの心花ちゃんが公衆の面前でいやらしいこと考えるだなんて♪友達が知ったらどう思かなぁ?♪」
「本当に違うから!?何勝手に調子乗ってんのバカァ!!」
「イダッ!?」
なぜか頬をぶたれてしまった。てか本当に痛いなこれ。普通乙女のスキンシップは全然痛くなくて可愛らしいものじゃないの?
まあそれは流石に葵に影響されすぎか。普通は叩かれたら痛いよね。
でも心花にとってこれは愛情表現みたいなものだから痛みも受け入れるよ。だってそんなところも可愛いんだもん。
「もぉ!!アンタのせいで変な気分になっちゃったじゃん!!」
「変な気分?」
「だから違うの!!アンタどんだけ変態なの!?」
「いやそれは違うからね!?」
何も違いません。百合は正真正銘の変態です。
でも彼女プライドだけは謎に高いから正直に認めないんだよね。心花がどれだけ苦労してきたことか。そして多分これからもずっと苦労することになるだろうから、まあ頑張ってください。
「全く…これだから心花は困っちゃう女の子だよ」
「なんであたしが悪いことになってんの!?元はといえば変なこと言い出した百合が悪いんじゃん!?」
「人に罪をなすりつける人は嫌いだよ?」
「ごめんってぇ!!何でもするから許してぇ!!」
「今何でもって__」
「もうこの流れやめない?」
「そだね」
急にノリに冷めた二人。結局色々ありつつ仲良しな幼馴染だ。これだけ親密なら将来の事とかも鮮明にイメージできるし、心花と結ばれるというのは選択肢としてアリなのかもしれない。
しかしぶつかる問題も多いため、それを打ち破るためにも今は必死で頭を回して考えていかないと。
「てかコンビニ行く?」
「行く」
「おけー。あたし新作のアイス気になってるんだよね〜」
「あ、それ見たことあるかも」
「マジ?あの百合が流行を知ってるなんて…この後大雨でも降るのか!?」
「酷くない!?私だって流行ぐらい知ってるよ!?」
「百合も成長したねぇ〜」
「そりゃもう女子高生ですから」
「確かに、ここも立派に育っちゃって〜♪」
「ひゃ__!?」
明るい時間、しかも公園で普通に胸部を弄ってくる心花であった。




