52 いつも通りすぎた!
せっかくの恋人とのお家デートだというのに、なぜか普段と変わらないことをする二人。
「はい出来たよ〜」
「うわ〜いつも通り美味しそ〜」
「でしょ?今回も上手くいきすぎた」
「うん、それは良いんだけど…」
やっぱりいつも通りすぎる。
心花は料理をするのが趣味で、休日に百合と遊ぶ時はいつも試食に付き合わされている。今回もいつも通りの感じで彼女がチーズケーキを作り、それを机の上に出されたわけだけど。本当にこんなことでいいんだろうか?
「好きな人が笑顔になるようなお菓子を作る。あたしはそれだけで十分」
「まだ何も言ってないんだけど…」
「顔に書いてる。『本当にこんなことでいいの?』って」
「さ、流石幼馴染…」
長年一緒にいたからか、完全に心を読まれてしまっていた。正直それは恥ずかしいからやめてほしいけど、ちゃんと見てくれていた証拠だから嬉しくもある。
結論。早くケーキ食べたい。
「そんなことよりほら、早く食べて感想聞かせて?」
「うん!!任せて!!」
「急にやる気だね…」
ちなみに心花が作るお菓子は本当に美味しい。甘くて濃厚でとろけそうな、そんな感じのお菓子を毎回提供してくれる。まあ単に彼女が甘党なだけで自分が一番好きな味を作ろうとしているだけだろうけど、それでも結局美味しいからなんでもいい。
でも一応こっちも女の子だからカロリーとか考えてほしいな、うん。
「じゃあ、いただきます!!」
「召し上がれ〜」
恋人が見守る中、百合は早速チーズケーキを口に運んだ。
「ど、どう…?」
今まで聞いたことのない不安そうな声。いつもは自信満々なのに。やっぱり恋人に味わってもらうのは緊張するのかな?やったことないからわからないや。
まあ結局のところその不安は杞憂に終わることになるんだけどね。
「美味しい!こんなに美味しいチーズケーキ初めて食べたよ!」
「本当!?」
「うん!口の中でとろけてとっても美味しい!」
我ながら語彙力が無さすぎるけど、多分彼女相手なら表情だけで伝える事ができる。
「よかったぁ…!マズイとか言われたらマジで死にたくなるから」
「そんなこと言わないって。心花は大事な…か、彼女なんだから…っ」
「っ!!??…そ、そっか…彼女だからかぁ…」
顔を掻きながら目線を明後日の方向に向ける彼女は、とても愛らしくて今すぐににでも抱きしめたくなってしまう。
だがしかし長年一緒にいて今までそんなことをした事がなかったから流石に躊躇ってしまう。
「うん…。やっぱり大切な人には笑顔でいてもらいたいからね」
「!!??」
しかしちゃんと気持ちは伝え、心花を思い切りドキッとさせてやる。
「も、もぉ…!!アンタって子は…!!」
「お母さんみたいなこと言わないで」
「やっぱり女たらしだね!?」
「え!?いやそれはないって!?」
「いーやアンタは女たらしだ。あたしと七瀬さんを惚れさせてる時点で確定してるんだよ」
必死の否定も届かず、心花は一人で納得してしまう。
正直なところかなり心外なのだが、ぶっちゃけ一概には否定できないので受け入れるしかない。
でも本人にそのつもりはないことだけは知っていてほしい!そもそも高校でまともに恋愛できるなんて思ってなかったし!
でもまさか、幼馴染と恋人になるなんてね…。
「…何その目。あたしに何か不満でもある?」
「いーや別に?ただ幼馴染に告白されるなんてなぁって思ってただけ」
「っ…!!そういうのは言わなくていいの!!心の中に留めとくだけにして!!」
「ごめん、ごめんって__!」
ポコポコ殴られてしまう。でも全然痛くないのがまた可愛くて__
「いだっ__!?ちょ、力強くない!?」
「うっさい!!アンタが悪いんだから!!」
「えぇ!?てか普通に痛いんですけど!?」
もしかして心花にはDVの素質が…。それなら将来を考えるのは難しいな…。
いや、彼女はそんな子じゃない。こんな感じでツンツンすることもあるけど、根はちゃんと優しくて悩んでいる時とかは滅茶苦茶力になってくれるタイプだ。つまりかなりの優良物件である。嫁にもらうにはかなりの人材だ。
いや流石に嫁は気が早すぎるでしょ。てかその場合こっちも嫁だし。そもそも今の法律じゃ結婚も難しいだろうし…。
この辺は考え出したらキリがない。ひとまず今は可愛らしい彼女とのんびり過ごすことにしよう。




