51 何も変わらなかった!
葵に許可を貰ったことで、いよいよ胸を張って心花とデートが出来るようになった。ということで早速彼女からの誘いを受け、百合は指定された場所に向かった。
【YouWin!】
「あ!!ちょっとアンタそれズルすぎない!?」
「ふっふん。これが歴戦の猛者しか扱えない即死コンボ技ですよッ」
「クソッ…もう一回だ!!」
心花の部屋でゲームをする二人。いやこれデートって呼べなくない?
「ねぇ」
「ん!?」
「これってデートなの?」
「当たり前でしょ!?れっきとしたお家デートだっつの!」
戦いながらだから少し口調が強いが、言っていることは完全に乙女だ。しかしこちらも言いたいことがあるのでそれをハッキリと伝えておく。
「いやでこれじゃ前までと変わらないじゃん!?」
心花と二人で文句を言いながらも楽しくゲームをする。それは彼女から告白される前から、もっと言えば小学生の頃から日常的にしていたことだ。なので今更デートとか言われても全く特別感が無く、デートだという実感が一ミリも湧いてこないのだ。
だがしかし心花の意見は違っていて、ゲームに集中しつつ彼女の言葉で説明してくれる。
「でもあたしと百合が恋人に変わってるじゃん?」
「それはそうだけど…。でもやってることは変わってなくない?」
「そうだねぇ。あたしたち何も変わんないよね〜」
百合がこっそり発動させたコンボを交わしつつ、少しだけ頬を赤らめた。
「でも、あたしはこういうので良いんだ。アンタと家でゲームしたり映画見たり、そんな当たり前の事ができるだけで嬉しい」
それはデートと呼ぶ必要は無いのでは?
そう感じたが、直後の心花の言葉で納得させられてしまうことになる。
「だってさ?普通好きな人がそばにいるだけで嬉しいもんじゃん?理由がどうあれ二人きりで同じ時間を共有するのって、あたしにとっちゃ恋人の大切な時間だと思うんだけど…アンタは違うの?」
「…いや、違わないけど…」
チラッと彼女を見ると、照れくさそうに画面を見ている可愛い幼馴染の姿があり、不意にドキッとしてしまった。
葵は葵で可愛らしい一面があるけど、心花は心花でツンデレみたいでで滅茶苦茶可愛いな。まあ心花が可愛いのは前から知ってたけど、今回のこの感情はきっと今までとは違う、恋愛的な意味を持っているものな気がする。
「私も…心花と一緒にデートできて嬉しいよ…?」
「!!??…あ、アンタねぇ…っ」
「へ?」
「はぁ…なるほど。こりゃ七瀬さんも苦労するわけだ」
「マジでドユコト?」
「いいの気にしなくて。アンタはそのままでいな。そっちの方がその、あたしとしても嬉しいというか…」
なんかすごく嬉しいことを言ってくれてるな。今までこんなに褒めてくれたことなかったのに。
いやよくよく考えてみれば褒められてないなこれ。
「とにかく、百合は今まで通り接してくれれば良いの。二人きりの時はあたしが勝手にデートだって思い込むし、勝手に口説いたりするし」
「くどっ__!?」
「アンタのこと絶対落としてみせるから、覚悟しててね♪」
「っ!!??」
恋する乙女の、恥ずかしそうな笑顔を向けてくる。しかしそれは百合の心を大きく喜ばせ、自然と心花に視線を奪われてしまう。
【YouWin!】
「よし!」あたしの勝ち!!」
「へ??」
「ふふん!どうやら最強のあたしには敵わないみたいだね!!」
「………」
気づけばゲームで敗北を喫していた。それに気づいた百合はあまりの彼女の計画性の高さに驚嘆し、言葉を失った。
それと対象的に心花は嬉しそうに笑みを浮かべていて、両手を挙げてガッツポーズをしていたりもする。
「セコ!!??」
「セコくありませ〜ん。気を奪われた百合が悪いんで〜す」
「く…!!もう一回!!」
「別に良いよ?チャレンジャーの挑戦はいつでも受けて立つからね??」
「次は負けない…!!」
とても恋人とは思えない煽りを受けた後、百合は心に闘志を燃やしたのだった。




