46 気まずかった!
次の登校日。百合は普通に目を覚まし、普通に支度を済ませて家を出た。
「あ、おはよ…」
「お、おはよう…」
しかし今まで通りじゃないこともあった。それは幼馴染であり親友であった心花との関係性だ。
先日彼女に告白されて以来、百合はずっと心花のことで頭が埋め尽くされていた。新たにお試しで恋人となった心花とどのような関係を築いて行けば良いのか、ずっと考えていた。
しかしそう簡単に答えは浮かばず、結局その場任せにすることになってしまった。つまり今の百合は恋人とどう接すれば良いかわからなくておどおどしている陰キャなのである。
「どしたの…?なんかあった…?」
流石に様子がおかしいことを悟ったのか、心花は疑問符を浮かべている。それに対し、百合は慌てながらも恥ずかしそうに言葉を返す。
「そりゃありまくりだよ…!今まで親友だと思ってた幼馴染に突然告白されたんだから…」
「ま、そりゃそうか」
なんか思ったよりいつも通りだなこの人。こっちは色々気になって仕方ないのに!!
「でもあたしとしてはあんまり気にしないでほしいけどね。アンタはいつも通りでいてくれた方があたしとしてもやりやすいし」
「そんなこと言われても…」
百合の性格的に気にしないというのは不可能だ。というかせっかく告白したのに全く気にされないのは悲しくない?私だったら泣くほど悲しいよ?
まあでも、この子昔から細かいことは気にしないタイプだったし…いや全然細かくないなこの話。じゃあ本当にどうしてなんだろう?
「ちなみに理由を訊いても?」
「ぜひ辞めていただきたい」
「理由教えてくれないと気になって仕方ないんだけど」
「…まあ、そりゃそうか…」
彼女は諦めたように額に手を当てた。そして直後、頬をちょっぴり赤くしながら本当の理由を話してくれた。
「だってさ…恥ずいじゃん…。恋人みたいでさ…」
「!!??」
ドキッと、心臓が跳ねる音がした。それが心花が恋人候補になったからなのか、今まで見たことないような恋する女の子の顔をしていたからなのかはわからない。ただ一つわかったことがあるとすれば、それは彼女が想像以上に恋愛脳だということだ。
「いやまあアンタが今すぐに恋人になるって決めてくれるならそれでも良いんだけどさ?」
「ごめんそれはちょっと…」
「でしょ?だからさ、百合は今まで通りでお願い。じゃないとマジで恥ずかしくて死にそうになるから」
この前告白された時から心花がいろんな表情を見せてくれるようになった。まあ昔から顔に出やすいタイプではあったけど、この前からより露骨に感情がわかりやすくなった。ちなみに今は頬を赤くして目を逸らしているので、鈍感な百合でも照れていることは理解できてしまう。
「うん。心花が嫌がることはしないよ」
「…あんがと」
「でもその…完全に気にするなっていうのは無理かも。一応お試しでも恋人なわけだし」
「それもそうだよねぇ」
心花は普通に滅茶苦茶可愛いし、意識しないっていうのは無理があり過ぎる。とはいえ恋人が嫌がることはできるだけしなくない。少々難しい問題だ。
「んじゃあ、今週末あたしとデートしてよ」
「え??」
何がどうなってデートに繋がったんだ?
そんな疑問を抱えているのを察し、理由を説明してくれる。
「結局のところアタシが恥ずかしがってるのがいけないわけだし…。デートしてちょっとずつ慣れて行けばなんとかなるのかなぁって」
「な、なるほど…」
理解出来なくはないけど、なんか理由をつけてデートに行きたがっているだけな気がする。まあ別にいいけど。こっちだって心花と恋人としてデートすればどんな感じになるのか知りたいし。
というわけで百合は心花の意見に同意したわけけど…
「あたしの行きたいとこ?ん〜…そうだなぁ…ラブホとか?」
「!!??」
そういえば平気な顔して下ネタ言ってくるのを思い出した百合であった。




